「インストールされない」「使われない」「儲からない」ーー100本超のアプリ運用実績を持つ「エキサイト株式会社」の事例から、アプリを失敗で終わらせないためのノウハウを学ぶ書籍『事例に学ぶスマホアプリマーケティングの鉄則87 企画からプロモーション、分析、マネタイズまで』。本書の中から、現場ですぐに使える「鉄則」を厳選して紹介します。
課金ユーザーを分析して傾向を調べると、収益を増やすヒントが得られます。分析結果からアプリ全体の収益を最大化する施策を検討しましょう。
課金ユーザーの傾向から改善策を導き出す
アプリ内課金は、非課金ユーザーをいかにして課金ユーザーに転換するかがマネタイズの大きなポイントですが、単に課金ユーザー数を伸ばすだけでなく、アプリ全体の収益を最大化する施策を考えることが大切です。課金ユーザーの傾向を分析すると、収益アップにつながる新たなヒントが得られることがあります。
「寝たまんまヨガ」は、無料コンテンツに満足したユーザーに8つの有料コンテンツを販売する、アプリ内課金モデルのアプリです。Googleアナリティクスでユーザーの利用状況を確認したところ、アクティブユーザーの7割が一度も有料コンテンツを使用していない、非課金ユーザーでした。
さらに、アクティブユーザーの3割に相当する課金ユーザーについて絞って分析したところ、課金ユーザーの83%は複数の有料コンテンツを購入しており、コンテンツを1つしか購入していないユーザーは17%に過ぎないことが判明しました。
このことから、コンテンツを1つでも購入するユーザーを増やせれば、2つ目、3つ目とコンテンツを追加で購入するユーザーが増え、その結果、全体の売上アップも期待できるのではないか、との仮説が立てられます。
分析から次のアクションへとつなげる
7割の非課金ユーザーに対し、有料コンテンツの購入を促す仕掛けを導入します。「寝たまんまヨガ」では、以下の施策を実施しました。
- セグメント:非課金ユーザーの中で、無料コンテンツを複数回利用した経験を持つユーザー
- タイミング:利用頻度の高い曜日と時間帯
- 方法:「有料コンテンツを使ってみませんか?」とダイアログを表示し課金を促進
- 頻度:設定したタイミングで繰り返し表示(一度課金したら非表示)
施策の実施中は、購入促進のダイアログで「はい」がタップされた確率と課金に至ったユーザー数を週1回のサイクルで検証します。あわせてダイアログの文言をA/Bテストで変更しながら、コンバージョン率を高めていった結果、課金ユーザーの拡大に成功しました。
施策の目的を忘れないように
課金ユーザーが増えるにつれて、1人あたりのコンテンツ購入数にも多少の変化はありましたが、ほぼ当初の仮説どおり、コンテンツを1つでも購入したユーザーは複数購入する傾向にあり、アプリ全体の収益を高めることに成功しました。
分析や施策の目的はあくまでも収益の最大化であり、課金ユーザーをただ増やすことだけを考えるのは本末転倒です。アプリ全体の収益をいかに伸ばしていくかを考え、PDCAを回すことが重要です。