セキュリティーに対する重要性は理解したけれど、用語が難しくてという声を聞くことがよくあります。そんな方に、「今だから学ぶ!」と題して、連載でセキュリティーの頻出用語を解説します。第15回は、「エクスプロイト キット」についてです。
エクスプロイト(exploit)は、元々、偉業や快挙という意味の英単語です。これが転じて、システムに侵入できたり、攻撃できたりするうまい方法を見つけた、つまり、偉業を達成したという意味となりました。
現在では、エクスプロイトとは、システムの脆弱性を攻撃するプログラムのことを指します。主にInternet Explorer、Firefox、ChromeなどのWebブラウザーの脆弱性を狙ったり、ブラウザーからアクセス可能なプログラムであるAdobe Flash Player、Adobe Reader、Javaなどのセキュリティーホールも悪用したりします。そして、エクスプロイトは、ペイロードと呼ばれるデータを破壊する操作を実行する コードを配布します。
このエクスプロイトをすぐに利用できるソフトウェア パッケージにしたものをエクスプロイト キットといいます。非常に簡単にパッケージを利用でき、マルウェアの散布をできることから、多くのサイバー犯罪者は、エクスプロイト キットを使用しています。
今までに、Blacole、RED Kit、Styx Exploit Kitなど、さまざまなエクスプロイト キットが世界に流通してきました。その中でも、特に2014年後半から猛威を振るったのが、Anglerエクスプロイト キットです。
Anglerは、「サービスとしてのサイバー犯罪(Cybercrime as a Service)」という考えにつながる、熟練した技術がなくても使用でき、闇市場で簡単に入手可能なエクスプロイト キットです。Anglerは、ファイルレスの感染、仮想マシン、セキュリティ製品の検出を回避する機能などを提供しています。そして、配布するペイロードも、オンライン バンキングを狙うトロイの木馬、ランサムウェア、バックドアなど、さまざまな種類のマルウェアにわたっています。
主なエクスプロイトへの対策としては、OS、Java、Webブラウザーやウィルス対策ソフトウェアなど、使用するソフトウェアを常に最新にし、脆弱性を防いでおくことが大切です。
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