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G-Tuneの“持ち運べるハイスペックPC” LITTLEGEAR

「取っ手つきPCしか考えていなかった」VR業界待望のマシンが生まれたワケ

文●鈴木誠史/ASCII.jp

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マウスコンピューター、G-Tuneブランドから登場した「LITTLEGEAR」。ハンドル(取っ手)が特徴的な小型デスクトップだ

 Oculus Rift DK2が発売し、ユーザーに届き初めた2014年秋。マウスコンピューターが「LITTLEGEAR」の企画がスタートしたのはその頃だ。VRの普及にともないOculus Riftの体験デモが各地で開催されるようになり、そのたびに開発者たちは大型の高性能デスクトップを持ち運んでいたのだ。

 かねてよりVR開発者やOculus Japanチームから“小型の高性能デスクトップを開発してほしい”という声が、マウスコンピューターへ多く寄せられていたという。そうしてスタートした“小型の高性能デスクトップ”の企画は、約1年の開発期間を経て「LITTLEGEAR」という形になった。

 ハンドル(取っ手)付きで持ち運びやすいコンパクト筐体でありながら、最上位ビデオカード「GeForce GTX TITAN X」の搭載も可能という特徴を持つLITTLEGEAR。小型さと高性能さはいかにして両立できたのか、マウスコンピューターの小林 俊一氏(コンシューマー営業統括部 コンシューマーマーケティング室主任)に語ってもらった。

見ただけでわかる「G-Tuneらしいもの」に仕上げたかった

マウスコンピューター 小林 俊一氏。LITTLEGEARの正しい持ち方はこう

「LITTLEGEARは、『これだけのハイスペックを持ち運べる』を形にした製品です。これを実現するために、特にこだわったのが剛性です。ハンドル部分は本体のフレームの倍の厚さ(1.6mm)の板金を使い、50kgまでの荷重に耐えられるようにしました。本体についてもフレームに折り曲げの加工を施し強度を高めています。

 また、デザインにも強いこだわりを持っています。開発から『この形を金型でやるの!?』なんて話が出ることも当然ありますが、見ただけでG-TuneだとわかるG-Tuneらしいものに仕上げたかった。湾曲した正面・天面は特に、相当な回数の試作を繰り返しましたね」

― 7月のG-Tune:Garage移転オープンの際にLITTLEGEARのプレ発表がありました。あの時点からの変更点はありますか?

「M.2 SSDのスロットを急遽追加したのと、LEDの部分に変更を加えました。単にスモークで全体的にぼんやり光らせていましたが、これは違うなと。中に切り込みを入れて『拡散しつつシャープ』なイメージの光に変更しました。レンズの赤色の配合具合だとか、そういった細かい部分まで調整しています。数あるパターンの中から最終的にこのレンズを選びました」

横一閃に赤く光るLITTLEGEARのLED。光の見せ方にもこだわった

場所にとらわれない、自由なデスクトップPC

― VR開発者やeスポーツプレーヤーに向けて開発した(※)とのことですが、実際にVR関係者やeスポーツ界からの反響はありましたか。

「プレ発表後、『早く欲しい』『いくらなの?』『お高いんでしょう?』とポジティブな反応をいただきました。それもあって、エントリーモデルは税別5万9800円~と手に取りやすい価格で提供できました。ええ、頑張りました。

 ですからVRやeスポーツだけでなく、“小型で持ち運べるハイスペック”の新しい活用方法をいろんなお客様に見つけてもらいたい。場所にとらわれず自由な場所で、必要な性能を必要なときに使いたい。そんなニーズにLITTLEGEARがフィットすればいいなと期待しています」

※LITTLEGEARの用途のひとつとして、VRとともに、eスポーツの「LANパーティー」(複数人がPCを持って集まり、LAN接続してオンラインゲームをプレーすること)も想定しているという。Oculus Riftと同じように、ゲームのプレーにもそれ相応のスペックを持つPCが必要になる。

マウスコンピューター/G-Tune

(次ページ、「初めからハンドルありきの製品だった」)

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