ハイレゾ音源のファイル容量は意外と大きい
しかし実際にハイレゾを体験しようとすると、ちょっとした壁にぶつかることもある。そのひとつが購入した楽曲の管理だ。
ハイレゾ音源はまずパソコンで購入し、内蔵のHDDやSSDに一度ダウンロード。そのうえで様々な機器に転送して使うのが普通だ。一度NASに移してしまえば、あとはPCレスで、ひたすら快適に使えるのがネットワークオーディオの特徴だが、それだけになおさら、新しい音楽を聴きたいと思った際に、机に向かってパソコンを立ち上げ、ちょこまかとファイル操作をするのが面倒だ。
ハイレゾ音源は結構データのサイズも大きく、24bit/96kHzの標準的な品質でもアルバム1枚で1GB程度。24bit/192kHz、あるいはDSD 5.6MHzなどより高音質なファイルになると、その数倍の容量が必要だ。配信サイトによっては一括ダウンロードする仕組みがなく、1曲1曲手作業で落とさなければならない。当然ダウンロードや転送に時間がかかる。
実は最近のハイレゾ配信サイトは、スマホ対応している場合が多く、購入自体はスマホで寝っ転がりながらできる。だからパソコンが必要になるのは、本当にダウンロードとNASへの転送する際だけなのだ。
最終的にはNAS上で管理して様々な機器と共有するのに、「なぜ一度パソコンのローカルディスクを経由しなければならないか?」 買えば買うほどそんな疑問を強くしてきたわけだ。特に最近のモバイルノートは高速だが容量が少ない、SSDを搭載するのが主流だ。必然的にローカルではなく、外部(NAS)中心に楽曲を管理したくなってくるわけだ。
それを解決してくれるのが、e-onkyo musicが昨年末から開始した、ハイレゾ楽曲の自動ダウンロードサービスだ。
簡単に言うと、スマホで買ったら、あとはNASが勝手に楽曲をダウンロードしてくれるサービス。対応する「オーディオNAS」が必要となるが、ユーザーとしては寝っ転がった状態や外出先で欲しいファイルを購入する操作だけで済む。あとはe-onkyo musicのIDと紐づいた機器(NAS)が、30分~数時間置きに更新がないかをチェックし、自動でファイルを落としておいてくれるのである。
もちろん複数楽曲を購入した場合でも、処理は一括で完了。アーチスト・アルバム名に沿ってきちんと整理して保存してくれる。購入して聴き始めるまでの負担が軽減されるだけではなく、楽曲の落とし忘れや整理の手間も防げる。画期的なサービスなのである。
このサービスを利用するための「オーディオNAS」の種類はまだ少ないが、使い勝手も含めてよく考えられた製品が登場している。それがアイ・オー・データ機器の「RockDisk for Audio」だ。使いやすく、多機能で、自動ダウンロード以外の機能も充実している。ここではこの製品を使って、ハイレゾ再生はもちろん、外出先でスマホを使った音楽の再生、そして購入した貴重な楽曲データを安全に守るバックアップまで、オーディオライフを快適にしてみよう。
パソコン上でもネットワーク再生すると便利
ハイレゾ音源を楽しむ方法には、大きく2種類がある。
ひとつは本文でも触れているように、Hi-Fi機器として専用に設計された「ネットワークオーディオプレーヤー」を利用する方法。もうひとつが「USB DAC」とパソコンを組み合わせ、「Foobar 2000」など、ハイレゾ再生に対応したアプリケーションで再生する方法だ。ヘッドフォンリスニングを中心に考えており、パソコンに向かう時間が長いというのなら、シンプルな機器で完結できるUSB DACの導入にもメリットがある。
ただしこの場合も保存先としてNASの利用を検討したい。Foobar 2000には「UPnP/DNLA Renderer, Server, Control Point」というプラグインがあり、これを追加することで、ネットワークプレーヤーと同じように、NASに保存した楽曲ファイルをアーチスト名やアルバム名で絞り込み、簡単にプレイリストを作れるようになる。
ハイレゾ音源のファイルサイズは大きく、アルバム1枚でも数GBに達する。大容量のHDDを積んだデスクトップを使っているのであればいいが、容量の少ないSSDを搭載したモバイルノートやタブレットのユーザーの場合、その大半をOSやアプリケーションが占有してしまうはず。数十GBしかない残り容量のやりくりに悩んでいる人にもオーディオNASは検討に値する周辺機器だ。
(次ページでは、「RockDisk for Audioの機能に迫る」)