小さな企業やサイトで役立つユニバーサルアナリティクスの便利な使い方を紹介する本連載。今回はユニバーサルアナリティクスに追加された「Measurement Protocol」でHTMLメールの開封率を調べる方法を解説します。
応用自在のMeasurement Protocol
Measurement Protocolは、Googleアナリティクスに直接データを送信する仕組みのことです。<img>タグなどのソースに、パラメーター付きのURLを指定することで、JavaScriptをユニバーサルアナリティクスに何かの指標の元になるデータを送信できます。
◇Measurement Protocol の概要 - Google アナリティクス Google Developers
https://developers.google.com/analytics/devguides/collection/protocol/v1/?hl=ja
アプリのスクリーンヒット、イベント、ソーシャル、eコマースなど、Measurement Protocol を使うと、Googleアナリティクスで扱うデータはおおむね送信できます。
店舗のPOSシステムのデータなど、Webやアプリ以外のデータを送れるため、汎用性が高く、今後発展が期待されるO2OやIoTなどあらゆる分野でトラッキングを可能にする期待の計測方法です。
<Measurement Protocolの特徴>
- クライアントサイドもサーバーサイドもトラッキング情報を送信可能
- JavaScriptが稼働しないときもURLを呼び出すだけでトラッキングが可能
- Google アナリティクスサーバーに直接データを送信するため多くの環境で柔軟に運用可能
Measurement Protocolの使い方
Measurement Protocolはとても簡単に使えます。
Google アナリティクスに用意されているデータ送信用のURL (エンドポイント)にパラメーターを付与して送信するだけです。
エンドポイント
http://www.google-analytics.com/collect
SSLでデータを送るときは、エンドポイントが以下になります。
https://ssl.google-analytics.com/collect
以下の4つのパラメーターはエンドポイントに必ず追加します。
<img>タグで呼び出す場合は以下になります。
<img src="http://www.google-analytics.com/collect?v=1&tid=UA-XXXX-Y&cid=0000000&t=pageview">
加えて必要なデータをパラメーターで指定します。
パラメーターや指定方法は、Measurement Protocol のリファレンスで確認できます。
以下のURLで「ページ」に「homeだよ」を送信してみましょう。
http://www.google-analytics.com/collect?v=1&tid=UA-XXXX-Y&cid=0000000&t=pageview&dp=%2Fhomeだよ
dpは「ページ」を指定するパラメーターです。tidはご自身のプロパティ IDに変えてください。 ブラウザー上には1x1ピクセルの画像が表示されます(小さいので見えませんが、タイトルにcollect(1x1)と表示されます)。
Googleアナリティクスで見ると、リアルタイム解析で計測されていることがわかります。
メルマガ開封数を調べる
HTMLメルマガに<img>タグを入れ、データ送信用のURL (エンドポイント:http://www.google-analytics.com/collect)に以下のようにパラメーターを付けてデータを送信すると、Measurement ProtocolでHTMLメルマガの開封数を調べられます。
http://www.google-analytics.com/collect?v=1&tid=UA-XXXX-Y&cid=0000000&t=pageview&dp=%2F開封
HTMLメールを配信するASPによって貼り付け方法は異なります。たとえばGmailなら、「写真を挿入」の「ウェブアドレス(URL)」でMeasurement Protocolを以下のように指定します。
メルマガが開封され画像が呼び出されると、データが送信され、レポートで確認できます。
メルマガ配信して、リアルタイム解析で開封状況を見ると担当者の気持ちが盛り上がります。Google アナリティクスで計測した開封数とメルマガ送信総数から、メルマガの開封率を算出します。
Measurement Protocolは、IPアドレスとユーザーエージェントが送信されるため、セグメントでメルマガを開封したデバイスがPC、モバイル、タブレットなのかも分析できます。
(2015年8月27日追記)同一のクライアントID(cid)で配信すると同一セッションとみなされるので、ヒット数が500件を超えると、管理画面に反映されなかったり、 APIで出力されなかったりする場合があります。cidに乱数を割り当てるなどの対応が必要です。
パラメーターの注意点
便利なMeasurement Protocolですが、パラメーターの付け方によってはトラブルの元になります。
- 長い文字列は切れる可能性がある (例:「dr」の最大文字数は 2048 バイト)
- 送信データは全てUTF-8エンコード、URLエンコードが必須 (例:「dp」と値「/my page ?」を送る場合、dp=%2Fmy%20page%20%E2%82%AC とする)
また、Measurement ProtocolはURLを呼び出すだけで簡単にトラッキングできるので、不用意にアクセスしてしまうと、集計されてしまいます。デバッグや動作確認の場合は、プロパティを分けたり、IPアドレスでフィルタリングしたりする工夫があるとよいでしょう。
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Measurement Protocolは、URLを送信するだけで、通常のトラッキングコードが設置しづらい場合も使えますので、計測の幅が広がります。