矢野経済研究所は、電子決済市場が2012年度に推計で前年度比6.9%増の約44兆6000億円まで拡大したと調査結果を発表した。13年度には9.3%増の48兆8000億円規模になると予測している。
同調査は、非接触IC型電子マネーの決済額やプラスチックカード型プリペイドカードの発行額、ネットワーク型電子マネーの発行額、デビット決済サービスの決済額、クレジットカード決済におけるショッピング取扱高などを合算して電子決済市場規模としている。
電子決済市場の動向として、オンライン上ではネットショッピングの利用増によりクレジットカードやデビットカードなどを使ったオンライン決済が増えたこと、オフライン上では実店舗で電子マネーカードを使った支払いが増えたことが挙げられる。スマホ普及の影響も大きく、スマホからのネットショッピングやスマホを使った決済サービスの利用も増加しつつある。
将来の動きでは、まず、今年4月の消費増税により10円未満の端数の支払いが増えることが予想される。そこで、支払う側も支払いを受ける側も1円玉を使うわずらわしさからキャッシュレス(脱現金)での決済の増加が見込まれる。また、国が訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)を推進しているほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定したことで、今後ますます訪日外国人数は増えていくが、訪日外国人の日本での支払いには現金よりもキャッシュレスのほうが利便性が高いため、こうした点も電子決済市場の拡大を後押しする。
矢野経済研究所の電子決済市場の将来予測では、14年度に50兆円、16年度に60兆円を超え、17年度には66兆3900億円にまで市場が成長するという。決済の電子化が生むビジネスにチャンスが広がっているようだ。