楽天は、無料通話・メッセージングアプリ「Viber(ヴァイバー)」を運営するキプロスのViber Media(ヴァイバー・メディア)を子会社化すると発表した。総額9億ドルでの買収となる。
ヴァイバーは、世界で約2億8千万人の登録ユーザーを持ち、月間利用者数が1億人を超える無料通話・メッセージングアプリ。iOSやアンドロイドのほか、ウィンドウズやウィンドウズフォン、ブラックベリーにも対応。ヴァイバーアプリをインストールしていないスマホやパソコンをはじめ、固定電話などとも通話できる機能「Viber Out(ヴァイバー・アウト)」も備える。
MMD研究所の調査によると、2013年に最も利用されたアプリのジャンルは「無料通話/チャット」(30.5%)で、2位は「SNS」14.5%、3位は「ゲーム」9.5%。また、米国のアプリ市場調査会社アップアニー(App Annie)の調査では、iOS/アンドロイドアプリの世界売上ランキングの上位に「LINE」(1位)や「Skype」(6位)、「WhatsApp Messenger」(9位)など、無料通話・メッセージングやSNSアプリが多数ランクインした。今回の買収によって楽天が同ジャンルに参入した意義は、この点から見て大きいと言える。
ヴァイバーアプリにとっても、楽天のユーザー数が2億規模に及ぶため、仮に楽天ユーザーがヴァイバーアプリを利用するようになればユーザー数が世界で約5億にまで膨らむ。LINEアプリのユーザー数が世界3億4000万(6日に発表されたLINEの2013年通期業績より)であるのと比較すると、ヴァイバーのユーザー数はLINEに肩を並べるか上回る可能性を秘めることになる。
楽天は、楽天の既存ユーザーにヴァイバーユーザーを加えた5億ユーザーに及ぶ「楽天経済圏」が新たに構築されることに意気込む。14年が楽天にとって世界への飛躍の年となるのか、今後の動向からは目が離せられない。