日本にいながらにして、世界トップレベルのWeb技術者に会える――。そんなユニークなイベントが、毎年秋に東京で開催されている「Web Directions East」(WDE)だ。WDEはオーストラリアを拠点に世界各地で開催されているプレミアムイベント「Web Directions」の日本版にあたり、本家Web Directionsと同様、豪華スピーカー陣によるカンファレンスと少人数制のワークショップで構成される。
2010年11月に東京で開催された「WDE 2010」のカンファレンスでは、jQuery作者のジョン・レッシグ氏が登場。日本のWeb制作者/開発者に向けて、開発中の「jQuery Mobile」を初めて披露し、多くの来場者の注目を集めた。
PCに比べてブラウザーやデバイスの種類が多いモバイルWebの現状を指して「クレイジーな環境」と表現するレッシグ氏は、「ポピュラーなモバイルプラットフォームに対応するライブラリーを作る」ことを目標に「jQuery Mobile」を開発した。jQuery Mobileではさまざまなデバイス、プラットフォームを調査し、「数千ドル分の実機を購入して」(レッシグ氏)検証を重ねているという。
レッシグ氏は、jQuery MobileのUIとサンプルコードを示しながら、jQuery Mobileを紹介。jQuery Mobileのもう1つの特徴である「手軽さ」をアピールした。
オバマ大統領のデザイナーやベストセラー著者も
WDE 2010では、バラク・オバマ大統領のキャンペーンサイトやホワイトハウスのWebデザインを手掛けたデザイナーのスコット・トーマス氏、ベストセラー「iPhoneアプリケーション開発ガイド」の著者として知られるジョナサン・スターク氏、海外で評価の高い「Introducing HTML5」の著者であるブルース・ローソン氏らが登壇した。
トーマス氏はオバマ氏のキャンペーンサイトのプロトタイプを示しながら、デザイン決定までのプロセスを詳細に解説した。
スターク氏は、「あらゆるプラットフォーム向けにネイティブアプリを作るのは現実的ではない」として、jQTouchやPhoneGapを使ったWebアプリケーションの開発手法を紹介した。
ローソン氏はHTML5策定の歴史的経緯から、HTML 4.01との違い、新しいマークアップ要素やフォーム機能の拡張などを中心に紹介した。
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世界のWebの潮流にいち早く触れる機会として定着した感のあるWDE。TwitterやFacebookで今後の動向に注目しよう。