生成AIを「自社の専門家」に育てる!社内データ連携がもたらす精度向上が圧倒的だった
難易度の高いテクサポとコンテンツローカライズをどう効率化? AI活用のリアルな実践例
提供: CData Software Japan
「CData Connect AI」で社内データを生成AIが利活用できる環境を構築することで、業務を爆速・高品質化したCData Software Japan。前回は営業現場での生成AI活用を見てきたが(関連記事:商談準備と後処理の時間が6分の1に!営業マンが実践する「AI×社内データ」フル活用術)、今回は社内勉強会で披露されたテクニカルサポートとマーケティングでの活用事例を。前回と同様、CData Software Japanの杉本和也氏に説明をお願いした。
製品も連携先も多いCData 大変すぎるテクサポ業務を効率化したい
社内データと生成AIの掛け合わせで、業務はどこまで効率化できるのか? 今回紹介するCDataのテクニカルサポートでは、まずWebサイトからの問い合わせをSFAに登録し、テクニカルサポートチームが内容に合わせて調査を実施。回答を作成し、メールで返信するという流れになる。
CDataでのテクニカルサポートの難しさは、製品数も、連携しているSaaSやAIの数も多いこと。「ドライバー、クラウド、データなどさまざまな連携サービスがあり、特定のSaaSやAIの特有の事情もあるので、検討すべき内容や調査項目が多岐に渡っている点が課題です。類似の問い合わせが特定しにくいのが悩みどころです」と杉本氏は語る。
難易度の高いテクニカルサポートを効率化するため、テクニカルサポートチームでは、問い合わせ(ケース)の受け付け、分析、調査、回答の作成、クロージングまで一貫してClaude CodeとClaude Skillを利用している。
Claude Skillとは特定のタスクを反復可能な方法で完了する方法をClaudeに教えるための指示、スクリプト、リソースのまとまりを指している。タスクとしては、会社のブランドガイドラインに従ったドキュメント作成、組織固有のワークフローを使用したデータ分析、または個人的なタスクの自動化などが挙げられるだろう。
また、利用の前提としてClaudeから社内データを検索できるようにしておく。CData Connect AIを活用し、CDataの製品情報、ヘルプ情報、ブログ、SFAの過去ケース、Jiraの課題・バグ履歴などを取得できるようにしておくことで、ClaudeをCData製品の専門家に育てることができるという。「やはりClaudeは社内データを渡してあげることで、返信文面生成の精度が段違いに上がります」と杉本氏は語る。
問い合わせメールだけで返信しない 生成AIと対応方針を目線合わせする
初動対応ではケーススタートというClaude Skillを利用する。ここではSFAに登録されたケースに対して、どのようにアプローチしていくかというプランニングが重要になるという。
具体的にはケースIDをCData Connect AI(MCPサーバー)経由でSFAを探索し、アカウント情報やこれまでのメールの履歴を取得し、プランを検討する。「たとえばライセンスエラーが出たら、SFAやJiraから類似ケースを調べ、分析結果をファイルにまとめるところまでをClaude SkillとMCP で実施します」と杉本氏は説明する。
初動分析によって問題の特定と類似ケースを用意し、コンテキストが明らかになった段階で、どのように対応していくのかを計画を作成する。バージョンアップで解決できるのか、設定変更などが必要なのかなどがわかった上で、問い合わせに対する返信メールを生成する。
ここでのポイントは、問い合わせメールのみを情報源にしないこと。「問い合わせメールに対してだけをコンテキスト・情報源にすると、Claudeでもよい返信を生成できません。お客さまの状態や過去のやりとり、類似ケースを調査した上で、しかるべき対応プランを作成した上で、そのプランを人間がレビューし、AIと合意ができた段階を経て、返信メールの生成に移ります」と杉本氏は語る。
返信メールの生成に関しても、ただ生成するだけではなく、どのような観点で生成したのか? という情報も追加して人間にレビューを依頼するようなプロセスとしている。「レビューって、単にダブルチェックしてくださいと言われても困るじゃないですか。どういう観点でレビューするべきか不安にならないよう、なぜこの返信案を採用したのか、採用しなかった案やリスク、レビューに必要なメモまで含めて、生成AIに整理してもらい、サポートチームメンバーがレビューします」(杉本氏)とのことだ。
マークダウン形式でカスタマーノート作成 コンテキストをすぐに復帰できる
これで返信メールの作成も完了。ユーザーの問い合わせに対して、人間とAIが共同で分析し、プランを立案し、最適な回答を得られるまでキャッチボールを続けるという。「Claudeに対して、どれだけ正しい業務知識を与えられるかがポイント。そのために担当者は、自らの業務プロセスを棚卸しを行ない、どのような観点で問題を解決に導いていくのか、調査方法や参照できるデータをスキルとして定義しています」と杉本氏は語る。
もう1つテクニカルサポートチームが進めているのは、顧客ごとの対応履歴をカスタマーノートとして残しておく取り組みだ。顧客ごとの対応履歴はコンテキストウィンドウのサイズの制約から、生成AIに残しておくのが難しい。そのため、クロージングした対応の要約や顧客環境情報・アーキテクチャを「Obsidian」というマークダウンエディタに登録しておくことで、顧客ごとのまさに「カルテ」として利用できるという。
Obsidianで作成されたカスタマーノートには、顧客ごとの問い合わせ履歴のほか、前提となるインフラ構成やサービスの利用方法なども登録されている。マークダウン形式のファイルなので、次に同じ顧客から問い合わせが来た場合でも、改めてメールやSaaSを検索しなくても、生成AIはすぐにコンテキストを復帰できるわけだ。
単なる翻訳だけじゃない コンテンツのローカライズに魂を入れるAI活用
3つ目のユースケースは、マーケティングチームの活用事例だ。外資系企業であるCData Software Japanのマーケティングチームでは、グローバルコンテンツのローカライズを担当している。迅速なコンテンツのローカライズに寄与しているのが、Claude Codeとプロジェクト管理ツールのJira、Confluenceだ。
具体的には、CDataがグローバルで利用しているWebサイトのCMSを調べ、ローカライズしていないコンテンツを抽出するところからスタートする。「今まではExcelで記事リストを並べて、抽出していたのですが、これをClaude Codeで自動化しています」(杉本氏)とのことだ。
対象コンテンツが抽出できた段階で、これをローカライズしていくわけだが、単なる翻訳だけだと、不自然な表現も多い。そのため、マーケティングチームでは単語と訳語をペアにしたデータベースをClaudeのコンテキストに取り込んだ上で、翻訳をかけている。続いて、Claudeで翻訳をかけたコンテンツをMCP経由でConfluenceのページ、Jiraのチケットとして登録し、レビューを実施。「翻訳のパイプラインを構築して、品質を向上させています」(杉本氏)とのことだ。
その上で、コンテンツのローカライズで重要なのは、「マーケティングコンテンツとして適切かどうか」。単に翻訳するのみならず、対象読者に届き、きちんと満足度を上げられるコンテンツに仕上げることが大事だという。そのため、ユーザーターゲットやキーワードなどを意識して、Claudeで適切な表現や訳語を割り当てているという。
また、公開したコンテンツのアクセス状況をGoogle Analytics やGoogle Search ConsoleのデータをMCP経由で取得し、Claudeに分析を行ってもらうダッシュボードも用意している。これにより、翻訳やキーワードの設定の適切さに対して改善を重ねながら取り組めるプロセスを作っている。
前回と今回で営業、テクニカルサポート、マーケティングという3つの業務でCData JapanのAI活用を見てきた。AIをフル活用することで、業務のスピードのみならず、精度が大きく向上している点が印象的だった。
では、なぜこうしたAI活用が可能だったのか? CData Connect AIにより、Claudeが社内データを存分に利用できる環境を構築している点はもちろん重要だと思うが、本質的には「少ない人数で、多くの業務をこなさなければならないから」(杉本氏)だという。これはCData Japanのみならず、人手不足・タスク過多の多くの日本企業が抱える課題だ。
「データが増えると、それを処理するための人間の負荷も上がります。野﨑まどさんの『know』のように脳にチップを埋め込む世界にならない限り、現時点ではAIに処理を任せるのが現実的です。業務課題とスキルを持ったメンバーがAIを試行錯誤することで、大きな効果が出せたと思います」と杉本氏はまとめてくれた。
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