「情報はすべてBacklogにある」状態をつくりナレッジ活用の基盤にも

東急、会員250万人のポイント基盤刷新プロジェクト 合意形成の舞台裏にBacklog

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ヌーラボは、東急における、プロジェクト・タスク管理ツール「Backlog」の事例を公開した。同社では20年ぶりとなる「TOKYU POINT」のシステム刷新プロジェクトにBacklogを導入。チーム総数150名という大規模プロジェクトの進捗を可視化して、円滑な合意形成を実現している。

一度は頓挫した大規模システムの刷新に着手

 鉄道から不動産、生活サービス、ホテル・リゾートまで、幅広い事業を手掛ける東急グループ。

 同グループは2023年、会員数約250万人を擁する共通ポイントサービス「TOKYU POINT」のシステム刷新を決断。モバイルアプリと会員サイトを対象としたこの大規模開発では、今後の機動力を高めるべく「内製」という選択がとられた。

 約20年ぶりとなる刷新において、最大の壁は「関係者の多さ」だった。関連システムは20にも及び、複数のグループ会社から総勢150名のメンバーが参画。フラットな企業文化ゆえに、要件調整や合意形成に多くの工数を要する。かつて様々な理由でシステム刷新が頓挫した際にも、メールやExcelでのプロジェクト管理が上手くいかなかった苦い経験もあった。

 こうした中、システム部門でもビジネス部門でも使いやすい設計を評価して、既存プロジェクトでも利用実績があったBacklogの導入に至っている。

「情報はすべてBacklogにある」状態をつくる

 同プロジェクトでのBacklogの取り組みは以下の通りだ。

■運用ルールとテンプレートの活用で共通認識を形成

 グループをまたぐ150名のメンバーへBacklogを浸透させるべく、運用ルールの周知から始めている。課題の作成から更新、完了までのルールをドキュメントで明文化。さらに、課題テンプレートで、「期限日の設定理由」や「課題の完了条件」が記載されるよう設計し、「締め切りの温度感」が伝わるよう工夫している。

課題テンプレートの活用

■意思決定プロセスの可視化で合意形成を促進

 会議体の運営にもBacklogを活用した。アジェンダを事前に登録し、各議題の関連資料を紐づけ、Backlogを見ながらタスクの確認や議論が完結できる体制を構築。プロジェクトの情報が「すべてBacklogにある」という状態ができた結果、業務のルーティンに自然とBacklogが組み込まれていった。

 決定事項だけではなく、そこに至るまでの経緯や背景も記録されるため、「なぜその判断に至ったのか」を誰もが追え、認識のずれも発生しづらい。口頭での依頼にとどめずBacklogに記録する運用が定着して、部門やグループ間においても円滑な合意形成が可能になった。

■リリース後の運用フェーズも支える基盤に

 2026年2月、新システムは無事リリースを迎え、運用フェーズにおいてもBacklogが継続利用されている。重要度の高いシステムアラートが自動で起票される仕組みが構築され、顧客からの問い合わせも現場で検知された不具合もBacklogに集約。タスク漏れを防ぐと共に、世代をまたいでナレッジが継承される基盤を確立している。

「証跡を残す文化」が醸成され、ナレッジ活用の基盤に

 このようなBacklogによる情報の可視化によって、タスク漏れやリスクの早期発見が容易になり、メンバー同士が論点を整理しながら対話をする「証跡を残す文化」が根付きつつあるという。そして、プロジェクトの全工程が蓄積されることで、ナレッジの共有も容易となり、引継ぎ業務もスムーズになった。

 東急では、「『Backlog AIアシスタント』の活用も視野に入れ、チーム全体の自律的なアクションをより一層加速させていきたい」と今後の展望をコメントしている。

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

過去記事アーカイブ

2026年
01月
02月
03月
04月
2025年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2024年
04月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2020年
01月
08月
09月
2019年
10月
2018年
05月
07月