「デジタル資産×現場データ」の勝利の方程式とは?

フィジカルとAIをつなぐOODAループはもう実装可能 ソラコムとセンシンロボティクスが語る「リアルワールドAIプラットフォーム」

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

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人間の認識、判断、行動を実現する技術スタックが揃ってきた

大谷:AIとつなぐことで、既存のIoTソリューションをどのように拡張できるか? どのような価値が出せるかのフレームワークと課題の話ですかね。

諸藤:人間って、まずは周囲の状況を認識して、判断して、行動するというフェーズを踏みます。私がリアルワールドAIプラットフォームと聞いたとき、このフェーズを拡大しているんだと思います。

人間は耳で聞いただけ、目で見ただけではリアルワールド(現実世界)の状況を把握できません。そのため、センサーやカメラ、 LiDAR などのセンシングデータで状況を把握します。

次に判断というフェーズになるのですが、これに関してはわれわれはお客さまに業務のヒアリングを行なっています。たとえば、「どういう判断に基づいて、修理が必要か」をつまびらかにします。これを元にわれわれは判断をAIエージェントで実現しようとしています。最後の行動は人にメールや通知で行動を促すパターンと、ロボットで作業を代替するというパターンが考えられます。

松下:驚きました! ほぼ同じスライド持っています(笑)。

僕は観察、判断、決定、実行というOODAループにひも付けています。観察はまさにセンサーやカメラによる現実世界の認識で、その認識を元に判断するのがLLMやVLMと呼ばれる技術。ただ、判断だけではなく、リアルワールドにおける実行のための決定が必要になるため、そこでAIエージェントの出番です。

これがサイバーワールドで閉じていれば、このAIエージェントがシステムを最適化するんでしょうが、リアルワールドまで戻すと、ロボットやモビリティ、ドローンが行動主体となります。おそらくこの4象限をグルグル回すループこそが、最近よく話題になるフィジカルAIなんだと思っています。

リアルワールドとサイバーワールドの境界線を越える

諸藤:この話で議論になるのは、どこまでがリアルワールドかという境界線ですね。

松下:私はこの図を真っ二つに割るとリアルワールドとサイバーワールドの境界線になると思っています。つまり、観察と実行がリアルワールドで、判断と決定がサイバーワールドだと捉えています。

でも、この境界線を越えること、観察から判断、決定から実行というベクトルが大きな壁だと思っています。これらをつなぐのがデータであり、超えるための仕組みがプラットフォームの役割だと思います。ただ、判断に至るためには、観察で得られたデータだけでは足りない。だから、サイバーワールドのデジタル資産が必要になるというのがわれわれの認識なんです。

リアルワールドAIプラットフォームとOODAループ

諸藤:われわれの感覚だと、観察のフェーズでは、センサーやカメラを用いたデータのほか、ユーザーのメールや入力データが入ってきます。判断に至るには、IoTデータだけではなく、AIが読める構造化データや前述したコンテキストが必要になります。

たとえば、計画業務と呼ばれるワークフローは、なんらかの外部入力をトリガーにして、過去の実績や会社のルールに基づいて、スケジュールを立てたり、手法を策定します。これをシステム化すると、書類をVLMで読み取り、AIエージェントで計画を作り、アウトプットとして計画書ができます。ロボットを前提とすると、その計画書を前提に指示を生成できます。

松下:先ほどの三菱電機さんの事例では、判断のフェーズまでAIを組み込んだことで、サイバーワールドまでたどり着けた感触があります。ただ、空調機の制御、つまり、決定と実行の部分はまだ人間がやっています。

新しいデバイスやソフトウェアの場合は、AIによる決定まで踏み込めるんですが、既存の製品に後付けする場合、接点をどのようにコントロールするのか 勝手にコントロールしてトラブルになったらどうするんだといった議論が必要になるので、リアルワールドにおける実行にまではまだ踏み込めない。これが一つの壁ですね。

諸藤:実績や安全性という観点で、完全に自動運転ができるのかは確かに課題ですね。

逆に弊社でよく議論になるのは、判断の部分ですかね。建設現場であっても、同じ認識で現場ごとに判断は異なります。これがオープンなデータを学習している汎用AIだけだと難しいところ。だから、われわれは業界個別のデータをお客さまからいただいて、現場のニーズにあったAIを構築しています。たとえば、立ち入り禁止の建設現場の写真をいただいて、サビやクラックを検知するAIを作るみたいなことをよくやっています。

大谷:これに関しては、まさに自動運転で行なわれている議論と同じフェーズを踏んでいくんでしょうね。

松下:観察から判断、判断から決定、決定から実行などをつなげる技術的なハードルや法制度、意識改革はまだまだ欠けていると思います。昔あった「家の外からエアコンを稼働させるのは法律的にOKなんだっけ?」みたいな議論は改めて進めて行く必要があると思っています。

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