「デジタル資産×現場データ」の勝利の方程式とは?

フィジカルとAIをつなぐOODAループはもう実装可能 ソラコムとセンシンロボティクスが語る「リアルワールドAIプラットフォーム」

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

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「企画してから2年で価値」はもう遅い だから「プラットフォーム」

大谷:センシンロボティックスもプラットフォームを提供していると思うのですが、改めてどのような価値を提供してきたのか教えてもらえますか?

諸藤:どの会社からも言われるのは、目の前の課題である現場の業務負荷を下げることです。そもそも業務の負担が減らないと、新しいことに着手する余裕が生まれないからです。ここで重要になってくるのが、スピード。IoTプロジェクトを立ち上げ、企画を策定し、ヒアリングや構築まで行なって、実際に価値が出るまで2年かかりますだともう遅いんです。

私も先日、虫歯を治しましたが、これが「2年後に完治します」だと困ります(笑)。まずは痛みを和らげる応急措置を行なって、本格的な治療に進んで、虫歯ができないように習慣を付けていくのが、望ましいやり方です。

大谷:確かに2年は待てないですね(笑)。まずは部分最適化を目指して、スタートすることが肝要ですね。

諸藤:IoTにおいて、このスピード感を実現するのが、プラットフォームだと思っています。本当にやりたいことまで遠いのであれば、まずは用意されたプラットフォームを使ってもらって、やりたいことを明確にしてもらえます。

大谷:センシンロボティクスのプラットフォームについても教えてください。

諸藤:われわれは「SENSYN CORE」という業務自動化統合プラットフォームを持っています。ドローンやロボットのようなデバイス、AI、エッジ、APIなどをセットにしているので、まずは2週間くらいでプロトタイプが作れます。すぐに現場にお届けするという点で、プラットフォームはとても大事だと考えています。

現場にこだわる諸藤氏が作成した工場の模型

大谷:スピードという価値はソラコムのプラットフォームも共通ですね。

松下:結局、基礎や土台となる部分は誰が作っても同じようなものになるんですよね。それだったら、時間をお金で買うような感覚でプラットフォームを利用してもらった方がよい。むしろみなさんが今やりたいことにスピーディにたどり着いていただいく仕組みです。

諸藤:大谷さんも記事書く過程で「この対談記事、どこかで書いたことあるぞ」というデジャブ感があると思うのですが、システムを組むわれわれにもあるんですよ(笑)。業界内で困っていることは共通しているし、なんなら業界またいでも悩んでいることは同じです。

大谷:確かにありますね。具体例はありますか?

諸藤:どの会社も1社だけで閉じていません。ゼネコンとサブコンとか、委託業者がいるとか、会社間での連携はどこもテーマです。最新の資料が共有できないとか、転記が必要といった課題に対しては、自動読み取りの仕組みはどの会社でもありがたがられます。

リアルワールドAIプラットフォームの未来が見えた1つの事例

大谷:では、プラットフォームという話題を掘り下げたので、続いてリアルワールドAIプラットフォームについて改めて説明してください。

松下:ソラコムは今「AI×IoTのプラットフォーム」を提供しています。ソラコムから見ると、生成AIって単純にコンピューターに問い合わせると答えが戻ってくるというだけではなく、問いすら作ってくれるという点が革新的です。

今までAIは現場で何が起きているのかを聞くだけでした。でも、AIが問いを作ってくれるとなると「こんなことができそう」とか、「こんなことを見つけられそう」とか、データを中心にしてわれわれに寄り添ってくれる存在になります。

このAIにデータを提供するには、Webブラウザ経由で行なっていました。言い方を変えると人手がかかっていたとも言えます。われわれはこのデータ入力を人間の代わりにやってくれるソリューションをIoTと捉えています。

われわれはChatGPTがリリースされた2022年11月くらいから、人間によるデータのみならず、人間以外が入力したデータをAIに読み込ませたら、どうなるのかを考えてきました。その試行錯誤の末、「リアルワールドAIプラットフォーム」というコンセプトを発表できるようになったのは、2025年7月です。

大谷:どのような経緯でこのコンセプトに行き着いたのでしょうか?

松下:お客さまとさまざまな案件を積み重ねてきた中で、IoTという現実世界をデータ化する仕組みと、そのデータを分析・利活用するAIとの相性のよさがわかってきました。明確に成果が出てきたのは、AIで空調のコントロールを最適化しようとした三菱電機さんとの実証実験です。

この実証実験ではファインチューニングなどを一切行なっていないChatGPT(当時:GPT-4o)を利用することで、快適性を下げることなく、48%の電力削減を可能にしたんです。現実世界のデータを適切に渡すことで、AIを思い通りに動かすことができるという体験をできたんです。

大谷:ここは「データを適切に渡す」というところが鍵ですね。

松下:はい。この話も公開されているのですが、実は空調機と部屋の温度データだけではうまくいかなかったんです。部屋の温度って、窓を介した温度変化や、部屋の中にいる人の熱にも影響を受けます。だから、外気温のデータや部屋の中にいる人数など、いわゆるIoTで取得するのと異なるデジタル資産が必要だったんです。

実際、実証実験では気象サービスの外気温データをAPIで取得したり、三菱電機さんがお持ちのヒートマップデータを取り込んだ結果、先ほどの電力削減48%が達成できました。弊社のエンジニアも「データを掛け合わせれば、AIはもっとよい成果を出してくれるはず」という感覚は持っていたようです。その肌感覚に対して、三菱電機さんや協力してくれた松尾研究所からのアドバイスを受けて、AIをより活用できるようになりました。

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