さまざまな業界で「as-a-Service(アズ・ア・サービス)モデル」、あるいは「XaaS(X-as-a-Service)」という言葉が聞かれるようになりました。従来とは異なる新たなビジネスモデルを指す言葉ですが、ここにもIoTの進化と普及が大きく影響しています。
as-a-ServiceモデルはIT/コンピューターの世界から始まった
as-a-Serviceとは、モノや機能を「所有」する(させる)代わりに、サービスとして一時的に「利用」する(させる)モデルを指します。よく聞くものとしてはMaaS(Mobility-as-a-Service)、RaaS(Robot-as-a-Service)、EaaS(Equipment as a Service)などがあります。
そして、XaaSの「X」はあらゆるもの(Everything)の意味です。つまり、あらゆるas-a-Serviceの総称が「XaaS」です。
as-a-Serviceという表現が最初に使われたのは「SaaS(Software-as-a-Service)」でした。それまでは、高額を支払って購入(ライセンスを所有)していたソフトウェアを、より安価な月額や年額で使えるようにしました。販売側から見れば、従来の売り切りモデルから継続契約モデルへの転換です。
ユーザーにとって「使ったぶんだけ支払えばよい」革新的なモデルは、瞬く間にIT/コンピューターの世界に広がりました。現在ではSaaSだけでなく、IaaS、PaaS、FaaS、DBaaS、STaaS、DaaS、IDaaS……と数多くのXaaSが存在し、ソフトウェアやハードウェアを「所有せず利用する」スタイルはごく当たり前のものになりました。
モノの世界へのXaaSの広がり、それを実現したIoT
それでは、IT/コンピューター以外の世界でXaaSが登場したのは、いつなのでしょうか。
実は「所有せず利用する」スタイルそのものは、SaaSが登場するはるか以前から存在しました。「リース」モデルです。産業機械や航空機、業務用自動車、コピー機など、所有(購入)に大きな初期投資が必要なモノを、一定の契約期間、リース会社に月額料金を支払うことで利用できます。コンピューターの世界でも、所有するには高額すぎるハードウェア(メインフレームなど)はリース契約で導入されることがあります。
ただし、リースは固定月額料金+長期契約が基本ですが、XaaSでは従量課金+利用期間は自由という形が中心です。
さらに、従量課金で「何を基準に課金するのか」の対象も、XaaSでは利用期間だけではありません。たとえば次のようなものがあり、これらのハイブリッド(複合型)というケースもあります。
・利用時間:利用する時間(期間)に対する課金です。年/月/日といった長い期間ではなく、時間/分という短い単位で課金するXaaSも多くあります。例:クラウドのコンピュートリソース、シェアカー/シェアサイクル、コワーキングスペース、など。
・消費量/数:「使った量」で課金額が変動するXaaSもあります。例:クラウドのストレージ=データ容量、生成AIサービス=トークン処理量、カーシェア=走行距離、プリンター/複合機=印刷枚数、など。
・利用の成果:XaaSの利用で「どれだけの成果が出たか」「あらかじめ定めたKPIを達成できたか」を課金の対象にするものです。例:デジタル広告=クリック/コンバージョン、営業支援SaaS=売上額の向上(レベニューシェア)、エネルギーサービス=削減エネルギー量、産業機械=正常な稼働時間/故障発生率、産業用ロボット=良品の生産個数、など。
さて、いずれの指標を従量課金の対象とするにせよ、それらのデータを正確に計測し、管理システムで集計し、ユーザーに月額を請求する仕組みが必要です。デジタル(IT/コンピューター)の世界ならば比較的簡単ですが、モノの世界で「シェアサイクルが何分使われたか」「産業機械が何時間、正常稼働していたか」といった細かなデータは、人間では計測できません。
そこで、IoTの出番となるわけです。モノに搭載されたセンサーが計測を行い、それをクラウドに収集して集計、課金額を決定する。ユーザーにも、リアルタイムに「今月の課金額はいくらか」といった情報を見せることができます。
このように、モノの世界へのXaaSの広がりには、IoTが深く関わっています。言い方を変えれば、IoTがなければモノの世界のXaaSは成り立たず、“リース止まり”だったかもしれません。
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