第590回 SORACOM公式ブログ

ソラコム公式ブログ

いま知っておきたい!進化するeSIM / iSIMの基礎と実装ポイント

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 本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「いま知っておきたい!進化するeSIM / iSIMの基礎と実装ポイント」を再編集したものです。

はじめに:SIMテクノロジーは今、大きく進化している

SORACOM Discovery 2025ではソラコムの堀尾(ニックネーム: Hori)が「進化する eSIM / iSIM の基礎と実装実務」をテーマに講演しました。本ブログでは、イベントに参加していない方にもわかりやすく、SIMの基本構造から最新トレンド、実装時のポイントまでをまとめて紹介します。

SIMの役割と進化:なぜいまeSIM / iSIMが重要なのか

SIM(Subscriber Identity Module)は、端末と回線契約を切り離すための技術であり、SIMフリー端末等、セルラー通信のオープンなエコシステムを支える存在です。これまで主流だったカード型SIMに加え、基板実装型のeSIM(Embedded SIM)、通信モジュールに完全統合された iSIM(Integrated SIM) が登場したことで、端末のさらなる小型化・省電力化・高い耐久性が実現可能になりました。

ソラコムは自社でSIMを発行しているため、カード型・eSIM・iSIMのすべてに対応可能であり、国内外向けの幅広いサブスクリプションを各フォームファクタで提供しています。

小型化の背景:端末進化が SIM を変えた

SIMの物理サイズは、クレジットカード大の初代SIMからnano SIMを経て、eSIM / iSIMへと小型化してきました。この背景には、ウェアラブルやスマートメーターなどのIoT端末の小型化ニーズがあります。

特にiSIMは、通信モジュールと一体化しており、「物理SIMが存在しない」ため、もっとも省スペースな構造を実現しています。村田製作所やQuectelのモジュールへの実装を通じて、すでにソラコムでも提供が進んでいます。

物理から“無線書き換え”へ:OTAが生む新しい柔軟性

端末とSIMを一体化すると「回線をあとから変更できない」という課題が生じます。しかし、いまは OTA(Over-The-Air; 通信を用いた更新)によるプロファイル書き換えが可能となったことで物理的な差し替えが不要になりました。
ソラコムは、複数の回線契約をまとめて扱えるサブスクリプションコンテナや、SORACOM Connectivity Hypervisorにより、他社プロファイルも統合的に管理できる環境を提供しています。

iSIM 実装の実務:製造工程で何が変わる?

ゲストとして登壇したKigen株式会社 西野氏は、iSIMの製造工程について次の2方式を紹介しました。

方式1:モジュール製造時に書き込む方式

  • 同じ通信モジュールと回線の組み合わせで大量生産するには適している
  • 通信モジュールは回線との組み合わせでSKUが分かれてしまい、在庫コスト・管理コストが増加
  • 端末製造時の不良により、iSIMデータも同時にロスが出てしまう

方式2:端末出荷前に書き込む方式

  • 通信モジュールのSKUを増やさずに済み、在庫・管理コストも方式1に比較して容易で、調達リードタイムも短くできる
  • モジュール組み込み後・出荷前の時点で、書き換え工程が必要

方式1は、通信モジュールにあらかじめSIMが組み込まれているため、端末機器メーカーからすると、これまでと同じ通信モジュールの実装工程だけで、SIMの組み込まれた端末が製造できます。端末の製造工程に影響しないという点は、端末機器メーカーにとってのメリットになりますが、一方で通信モジュールのSKU管理は複雑になり、在庫や製造不良時のロスも発生しやすくなります。そのため、西野氏によると、今後は方式2の採用が広がるのではとのことでした。

「SORACOM Connectivity Hypervisor」は、標準化団体 “GSMA” 策定の「SGP.32」に準拠した、SIM 内部の書き換え機能です。これにより、 eSIM や iSIM でもオープンなエコシステムが実現できます。

今後のトレンド:IoT 向け eUICC / オフライン書き込みへ

SGP.32 の整備により、OTA 書き換えの環境が整いつつあります。さらに将来は、SGP.42 によって“SIM工場以外の場所”でも回線データを書き込めるようになり、オフライン環境での設定も視野に入ります。これによりIoT端末開発や大量展開がさらに加速していくと期待されます。

まとめ:用途に応じて最適なフォームファクタを選ぼう

  • SIMカード:端末と回線が独立。今後も利便性から一定の利用が継続
  • eSIM:耐久性・小型化に強く、すでにソラコム SIM の半数以上が採用
  • iSIM:最小サイズで、省電力・高効率。今後さらに普及が進む見込み

ソラコムはすべてのフォームファクタに対応し、用途に応じた最適な回線・実装方式の選択を支援します。本セッションの資料は、こちらのページで公開しています。併せてご覧ください。

IoT端末開発でSIM の選択に迷った際は、ぜひソラコムまでご相談ください。豊富な事例と共に、ご提案いたします。

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