Wi-Fi通信が集中していても遅延への影響は少ない!
ここまでは主に機能面を見てきたが、性能面でも優れているのがGS-BE7200Xの強みだ。例えば、LAN経由で動画ファイルをコピーするなど、家庭内LANで重たい通信が発生している場合にありがちなのが、他の通信がつながりにくくなってしまうこと。
Wi-Fiは通信中の機器が増えるほど速度が低下するのは当然だが、それ以上に困るのが、サーバーへと接続できなくなったり、通信そのものが途切れてしまうこと。具体的には、遅延が大きくなって無反応扱いとなり切断されてしまう、というような状況だ。
そこで、LANの通信状況によって応答速度(Ping)がどう変わるか、簡単にテストしてみよう。
応答速度は「みんなのネット回線速度」の「Ping測定(複数地域のPing測定)」を使用。LAN内の通信はiperf3を使用し、「ROG Zephyrus G14」(Wi-Fi 7)をサーバー、「ROG Xbox Ally」(Wi-Fi 6E)をクライアントとして実行。常時800Mbps前後のデータを送受信する状況としている。また、同時通信となるストリーム数は1つの場合と、5つに増やした場合の2パターンで試した。
参考:みんなのネット回線速度「Ping測定(複数地域のPing測定)」
https://minsoku.net/ping
この負荷状態で、「ROG NUC」(Wi-Fi 7)からPing速度がどう変化するかをテストした結果をまとめたのが下のグラフだ。なお、表示されるPingの値は複数回の平均となっているが、時間によっても変化する。誤差を減らすために5回測定し、その平均をPing値として採用している。
LANが混雑すると遅延が増えていく様子が確認できたが、最も大きい北海道での差でも10.26ミリ秒。他は5~7ミリ秒しか変わっておらず、影響ないというのは言いすぎだが、気にならない範囲の変化にしかなっていなかった。これだけ影響がないなら、気にすることなく使い続けられるだろう。
もうひとつ、Wi-Fiへの負荷がある場合、有線LAN側にも影響があるのかが気になったので、ROG NUCを2.5GbEで接続した場合も測ってみた。
結果は見ての通りで、有線LANへの影響はほぼナシ。Wi-Fiの状況によって遅延が変化するのが気になるという人は、有線LANを積極的に利用するといいだろう。
なお、無負荷状態でのWi-Fiと有線LANとの比べてみると、確かにWi-Fiの方が遅延は大きいが、その差はわずか数ミリ秒。よほどシビアな競技性のあるゲームでない限り、Wi-Fiでも問題なくプレーできるレベルとなっていた。
Wi-Fiはもちろん、WAN 10Gbps&ゲーム専用2.5Gbpsで有線LANにも強い!
GS-BE7200Xが優れているのは、なにもWi-Fiだけではない。有線LANも充実しており、10GbEのWANに加え、2.5GbE、4×1GbEのLANも装備している。
しかもこの2.5GbEポートはゲーム専用ポートとなっており、特別な設定なしにゲーミングトラフィックを自動的に優先してくれる。つまり、ゲーミングPCをこの有線ポートに接続するだけで、通信が優先されるようになるのだ。
最近では、1Gbpsを超える光回線サービスも提供エリアが広がっているだけに、高速なWANを備えているのはうれしいポイントだ。また、デスクトップPCでは2.5GbEの搭載が標準となりつつあるため、LANにも高速なポートが用意されているのも魅力といえる。
iperf3を使用し、Wi-Fi 7(ROG Zephyrus G14)と2.5GbE(ROG NUC)間の速度を測ってみたところ、約2.2Gbpsとなっていた。Wi-Fi 7のリンク速度は2882.4Mbps、有線LANは2500Mbpsという点を考慮すると、かなり高速だ。ちなみに、Wi-Fi 7同士の速度は、約1.04Gbps。同じ経路を2つの機器で使用するため、速度は半減していた。
なお、2.4GHzと5GHzをまとめて使えるマルチリンクオペレーション(MLO)を使った場合のWi-Fi 7同士の通信も試してみたが、5GHzではリンク速度2882.4Mbpsで接続できるのに対し、2.4GHzでは最大344.2Mbpsでしか接続できないため、速度にほとんど差が出なかった。MLOは高速化を目的とするより、安定したシームレスな通信を実現するものと考えておく方がいいだろう。
インターフェースでおもしろいのは、USBを装備し、これを使ったサービスが複数用意されていること。HDDやSSDを接続してNASのように使えるほか、USBプリンターのネットワークプリンター化、3G/4Gモデムやスマホを接続してモバイルネットワークをWANとして使う、MacOSのTime Machineとして使う、Wi-Fiルーターだけでファイルをダウンロードする、といった機能が利用できる。
とくに、NASのように使える「サーバーセンター」は便利。ネットワーク上のどのデバイスからもアクセスできるファイル置き場にできるため、写真や動画、音楽などの退避先として活用したい。





