サイバー犯罪ネットワークの体系的な撲滅へ。世界経済フォーラムCybercrime Atlasを通じた連携強化

文●フォーティネットジャパン 編集●ASCII

提供: フォーティネットジャパン

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本記事はフォーティネットジャパンが提供する「FORTINETブログ」に掲載された「フォーティネット、世界経済フォーラムのCybercrime Atlasを通じてグローバル連携を強化」を再編集したものです。

 フォーティネットは世界経済フォーラムのCybercrime Atlasの創設メンバーとして、サイバーセキュリティのグローバル連携において主導的な役割を果たしています。世界経済フォーラムのAnnual Meeting on Cybersecurity 2025に先駆けてリリースされた「Cybercrime Atlas: Impact Report 2025」では、マルチセクター連携を通じてサイバー犯罪ネットワークの解体と大規模なレジリエンスの構築で具体的な進捗を達成したことが紹介されています。

 現在、Cybercrime Atlasは運用2年目を迎え、公共セクターと民間セクターでインテリジェンスとリソースを共有することで、サイバー犯罪の撲滅に対する戦略および持続可能性が強化されることが証明されました。Cybercrime Atlasイニシアチブは、国家および業界を超えて連携するための中立的で信頼できるプラットフォームを提供するために、Fortinet、Microsoft、PayPal、およびBanco Santanderの支援を受けて2023年に開始され、世界経済フォーラムで開催されました。

共有されたインテリジェンスを現実世界の行動に転換

 Cybercrime Atlasは、オープンソースインテリジェンス(OSINT)を使用してサイバー犯罪エコシステムを紐付ける研究プロジェクトとして開始された後、運用の連携、トレーニング、協調的な撲滅を実現するグローバルネットワークに進化しました。

 2024~2025年にかけて、Cybercrime Atlasの調査部門は、INTERPOLが主導する、AFRIPOLと連携して19ヵ国で実施されたSerengetiおよびSerengeti 2.0作戦を支援しました。これらの活動全体で、以下の結果を達成しました。

・2200人以上を逮捕
・14万500件以上の悪意あるネットワークを取り締まり
・9700万ドルの違法資金を回収

 各作戦では、専門知識の共有を、法執行機関、民間企業、市民社会の間で行うことで、サイバー犯罪ネットワークの体系的な撲滅につながることが実証されました。

モデルを構築しシステムレベルでインパクトを実現

 2025年のレポートでは、単独ではサイバー犯罪に対抗できない事実が強調されています。この課題に対処するために、2024年後半にCybercrime AtlasのResearch and Mapping Group設立され、フォーティネット、Banco Santander、Mastercard、Group-IB、Recorded Future、およびその他の主要組織から専門家が集まり、犯罪インフラストラクチャの永続的な撲滅を実現する重要な「チョークポイント」を特定しました。

 Cybercrime Atlasの参加組織はグローバルなサイバーレジリエンスを強化することを目標に、これらの戦略的な撲滅ポイントに注力することで、法執行機関や民間セクターのパートナーは、対象を絞ってより効率的に活動を行うことができます。

フォーティネットの見解:大規模に責任を負わせる

 Cybercrime Atlasは、サイバー犯罪の状況、犯罪活動、ネットワーク、インフラストラクチャの紐づけを行うことで影響力を高めています。また、サイバー犯罪活動の特定および撲滅の役割を担うコミュニティに対して実用的な調査結果を提供することで、サイバー犯罪活動の撲滅をサポートしています。

 Cybercrime Atlasは、公共政策の改善を具体化したり、実用的なガイダンスを策定するためのエビデンスに基づく推奨事項の情報源となっており、サイバー犯罪に対抗する活動の連携を強化します。このアプローチは、フォーティネット自身の理念である「実用的なインテリジェンスを広く共有し責任を持って利用する」という考えも反映されており、これは有意義なサイバーセキュリティを進める基盤です。

 フォーティネットのチーフセキュリティストラテジスト兼脅威インテリジェンス担当グローバルバイスプレジデントであるDerek Mankyは、このレポートに記載されている連携の緊急性について次のように強調しています。

「私たちは、サイバー犯罪の世界的な蔓延の継続に正面から取り組む必要があります。また、サイバー犯罪者に対して、自身の犯罪の責任を体系的かつ大規模に負わせる必要があります。サイバー犯罪を効果的に阻止するには、グローバルな連携的なアプローチが必要です」

 この原則は、フォーティネットがCybercrime Atlasとの関係を継続する推進力になっており、官民連携の世界的な撲滅キャンペーンを支えるFortiGuard Labsの脅威インテリジェンスの取り組みの使命とも一致します。

範囲と機能を拡大

 「2025 impact report」では、Cybercrime Atlasの拡大するグローバルフットプリント(世界的な影響力)について取り上げています。

・INTERPOLやEuropol EC3との協力(共同研修プログラムやアドバイザリー参加を含む)
・人身売買に関係するサイバー詐欺ファームと戦うSTOP THE TRAFFIKとの連携
・組織数は30、国数は40に拡大し、幅広いインテリジェンスの共有および能力開発を実現

 「Cybercrime Atlas: Impact Report 2025」では、民間セクターのイノベーションと公共セクターの法執行が結び付いた信頼できるパートナーシップが、影響力と範囲の拡大にどのように寄与しているか紹介しています。

使命を継続

 Cybercrime Atlasコミュニティの次のフェーズの中心は、調査ネットワークを拡大し、地域間でデータを活用した連携を強化することです。フォーティネットにとってこのイニシアチブに参加することは、「デジタル世界を保護するには、信頼、透明性、および共通の目的の上に構築された統一的な防御が必要である」というコアの考えを強化することになります。

 世界経済フォーラムの「Annual Meeting on Cybersecurity 2025」に世界中のリーダーが集まる中、フォーティネットはすべての人にとってより安全なサイバースペースを実現するため、引き続きCybercrime Atlasおよび共同の取り組みを全力でサポートします。
 
関連資料
・Fortinet Helps Launch the World Economic Forum 
・Cybercrime Atlas Initiative (2023)
Cybercrime Atlas: An Effective Approach to Collaboration in Cybersecurity (2024):Cybercrime Atlas: サイバーセキュリティの協力体制に向けた効果的アプローチ

・World Economic Forum: Cybercrime Atlas Impact Report 2025 (Embargoed until October 13, 2025)

Cybercrime Atlasに関するFAQ

世界経済フォーラムのCybercrime Atlasとは?
 Cybercrime Atlasとは、世界経済フォーラムが主催する世界的な官民連携の共同の取り組みです。オープンソースインテリジェンス(OSINT)を利用してサイバー犯罪ネットワークを紐づけ、インフラストラクチャの脆弱性を特定し、法執行を通して共同の撲滅活動をサポートします。

Cybercrime Atlasでフォーティネットが果たす役割は?
 フォーティネットは、Atlasコミュニティの創設メンバーであり、継続的なコントリビュータでもあります。FortiGuard Labsを通じて専門知識を提供し、インテリジェンスを活用した同イニシアチブの撲滅フレームワークをサポートしています。

SerengetiおよびSerengeti 2.0作戦とは?
 INTERPOLおよびAFRIPOLが主導する、Cybercrime Atlasのインサイトを活用したサイバー犯罪の取り締まりであり、19ヵ国にまたがる国境を超えた逮捕、インフラストラクチャの押収、および金銭的な回収を連携して行いました。

Cybercrime Atlasと他の脅威共有プラットフォームとの違いは?
 Cybercrime Atlasは従来の情報共有のやりとりとは異なり、オープンソースの調査と積極的な活動協力を組み合わせ、サイバー犯罪の状況、犯罪活動、ネットワーク、インフラストラクチャ、およびサイバー犯罪行為を紐づけることで、サイバー犯罪行為を体系的かつ大規模に撲滅し、その延長として、公共政策の改善に向けたエビデンスに基づく推奨事項を策定します。

本レポートが重要である理由は?
「2025 Impact Report」は、WEFの「Annual Meeting on Cybersecurity」の開催に合わせて作成され、サイバー犯罪ネットワークの世界的な撲滅活動を定量的に紹介し、サイバーセキュリティにおける国際協力の価値を再確認しています。

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