Nulab Conference 2025内講演「北海道ガス×西部ガスに学ぶ、チームワークマネジメントの実践」より
いきなり仕事量がドカンと増えたら、どうやって管理しますか?
突然増加した、膨大なタスク
ガス業界には、かつて競合他社との競争がほとんどなかった。
国によって地域ごとの供給権が割り当てられていたため、企業間で争う必要性が少なかったのだ。顧客は、自然と地域のガス会社を利用していたため、ガス会社の“顧客を開拓する”意識も薄かった。
結果的に、マーケティング施策もほとんど必要とされなかった。「安定して供給し続けること」を最優先に、日々の業務は淡々と進められていた。
ところが、2017年の「エネルギー自由化(都市ガス小売全面自由化)」によって状況は一変する。
市場がオープンになり、顧客は、自身が使うガス会社を選択できるようになった。突如競争力が問われるようになったガス会社は、迅速なマーケティング施策の展開が不可欠になった。さらに、増えたタスクを効率的に実行するために、根本的な社内業務の見直しが必要になるケースも少なくなかった。
こうした流れの中で、外部と協業して進める業務や、社内システムの大規模な見直しといった「それまでになかった仕事」が、ガス業界には一気に押し寄せた。
……そして現在も、こうした業務の効率化に奮闘している人々がいる。
電話やメールでは仕事が回らない!
さまざまな企業の担当者が登壇し、Backlogの活用法を共有したNulab Conference 2025。「北海道ガス×西部ガスに学ぶ、チームワークマネジメントの実践」では、北海道ガスと西部ガスHD、それぞれの担当者が登壇し、Backlog導入の経緯や運用方法について話した。
松元亮氏は、福岡に本社を置く明治創業のガス会社・西部ガスHDでマーケティングDXグループ マネージャーを務めている。
松元氏は以前の業務を振り返り「戦っていくために、マーケティング業務を素早く打っていかなくてはならない状況の中で、電話やメールを使って外部と連携するのは、とても難しかったです」と話す。
同時並行でさまざまな業務を急いで進めていく場合に、電話やメールのみに頼ったコミュニケーションでは、状況を俯瞰できず、見落としが発生しやすいことは、想像に難くない。
プロジェクトを進める際には、シートに情報をまとめて先方に送付していたものの、バージョン変更が頻繁に行われると、「いつの最新版が、本当の最新版なのか」を把握できていない人が現れるという問題もあった。
500行の表計算ソフトに苦しむ
北海道ガスもまた、明治創業のガス会社だ。同社 エネルギーシステム部 係長の峠幸寛氏は現在、社内基幹システムの刷新を担当している。
峠氏は従来の業務の進め方について、「基幹システムの刷新は、大規模な開発です。社内の4〜5部門にまたがって承認を取る必要があることも多く、さらに外部とのベンダーの協業も必要になります。以前は表計算ソフトを使って管理をしていましたが、500行などのボリュームの大きなファイルになってしまい、どの工程まで進んだか、誰が何を決めたかといった確認だけでも、大きな手間がかかってしまっていました」とコメント。
表計算ソフトは工程管理などにも活用できるものの、複数部門や外部パートナーとの作業を同時並行で管理するには限界がある。特にシートが複数枚になり、情報が分散してしまうと「どこに何が書いてあるのか」「誰がどれに記入するべきなのか」が曖昧になり、収拾がつかなくなることもある。


