「Nulab Conference 2025」にて日本クラウドの盟友たちがかく語りき
境界を越えた“新陳代謝”が生き残りの鍵に サイボウズ青野氏、さくら田中氏らが考える「未来のチーム・組織」
チームの境界が溶けていく未来、個人はどうしていくべきか?
蜂須賀氏:最後に、ここまでの話を踏まえて、未来のチームがどうなるかを教えてください。
田中氏:青野さんと一般社団法人ソフトウェア協会の役員をやっているのですが、それもやっぱりチームです。ソフトウェア業界で働く人の地位向上について議論していますが、会社を越えた大きなチームであれば、変化を起こせる可能性も広がります。「定数を変数に変える」には、いかに境界をなくしていくかが重要です。
橋本氏:付け加えると、昔と比べてひとつのプロジェクトを完了させるために、より多くのスキルが必要となっています。でもそのスキルは、プロジェクトが終わると要らなくなるため、部署や企業という枠を超えた、寄せ集めのチームがポンポンと形成される時代になってくると思いますね。そうなると、コミュニケーションの質がより問われることになりそうです。
蜂須賀氏:未来のチームのために個人がやるべきことを挙げてもらいセッションを締めたいです。
青野氏:境界がなくなって、チームが作られては解散するようになると、いくつものチームに同時平行で参加する生き方に向かっていきます。皆さんは、それを前提に、会社の仕事以外も兼務できないか、社外のプロジェクトや地域のコミュニティに加われないかなど、スキルを色々なところに適用して、引き出しを増やして欲しいです。
田中氏:より解像度を上げると、皆さんの会社はどこかしらしらの業界団体に入っていると思いますので、そこに参加してみるのもひとつの方法ですね。一番怖いのは、依存しているコミュニティが少なく、選択肢を失っていくことです。社外コミュニティでキャリアパス、ライフパスを充実させることが重要になると思います。
橋本氏:チームなどから「声がかかる存在」を目指して欲しいです。そのためには、オープンマインドでいること、そして声がかかった際に打ち返すためのスキルを2、3個磨いておくことが大切だと思います。
Backlogはチームを支えて続けて20周年、チームワークマネジメントのツールに
Nulab Conference 2025は、プロジェクト・タスク管理ツール「Backlog」の20周年を記念したカンファレンスでもある。ヌーラボの橋本氏は、「いままで支えてくださった皆様のおかげ。今後も30年、40年と使って欲しい」と感謝の意を示した。
Backlogは、福岡市で受託開発をしていた橋本氏らが、「オンラインでも使えるプロジェクト管理ツール」が必要と考え、自身らで開発を始めたことから生まれている。
その後、2005年には無償版がリリースされ、翌年には商用サービスを開始。リリース当初は、ワンルームのマンションでノートパソコン2台で運用しており、とある炎上で落ちてしまうという苦い思い出もある。一方で、まだ珍しかったASP型サービスへの挑戦を応援する人たちの支えもあって、順調にユーザー数を増えていく。
そして、今年15周年を迎えたオンラインホワイトボードツール「Cacoo」も生まれ、ワークフローを支援するサービスに専念すべく、受託開発から脱却。「当時はクラウドもSaaSもなかったが、今では当たり前の時代になった。それと同時に、ワークスタイルも変わり、チームのあり方も大きく変わったのがBacklog20年の歩み」と振り返った。
今では、こうしたチームが効率的に目標を達成するためのの概念として「チームワークマネジメント」を提唱し、Backlogも、チームワークマネジメントを支えるツールとして進化を続ける。基調講演後も、ヌーラボやユーザー企業から、チームワークマネジメントの実践知が共有された。





