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10年目を迎えたソラコム 今の玉川社長の頭に中にあるモノとは?

AIは、これから現実のモノと結びついていく──IoTの次は「リアルワールドAIプラットフォーム」

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

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IoTコネクティビティの分野では「ラストスタンディングマン」

大谷:今後の方向性について教えてください。リアルワールドAIプラットフォームということで、AI関連の新サービス、事業者との提携やM&A、あるいはロボットやセンサリング、通信などの新技術への投資など、いろいろ考えられるのですが。

玉川:まず、今までやってきたIoTプラットフォーム、通信やクラウドは僕たちの足腰にあたる部分なので、これは着々と進めます。国ごとのカバレッジやマルチキャリアの拡大、新しい通信技術の採用といった部分はしっかりやります。

その上で、リアルワールドAIプラットフォームを実現するためのサービスを拡充していきます。たとえば、Discoveryで発表したMCPサーバーも期待できる技術です。現時点ではAIクライアントからMCPサーバー経由で情報を取得するという方法がメインですが、コントロールも可能なのでロボットアームを動かすことも可能です。

とはいえ、これを正しく作ろうとすると、権限管理やセキュリティも重要なので、そういったサービスはきちんと提供していきたいと考えています。空想的なプロジェクトではなく、実際のお客さまの声を聞ける実プロジェクトで知見やノウハウを溜めながら、現地・現物に向き合っていく。未来の構想と現場を行ったり来たりしながら、いいものを作っていきたいです。

大谷:インタビューのたびに聞いているのですが、現在SORACOMとガッツリ競合するところってあるんでしょうか?

玉川:IoTコネクティビティという領域では、ある意味「ラストスタンディングマン」になっているかもしれません。私たちは、実装の難易度が高いと言われるIoTというフィールドに信念をもって立ち続け、さまざまな業界のお客さまのユースケースを通じてノウハウを身につけてきました。加えて、MVNO事業は、設備投資やビジネス協業も必要で、生成AI時代になっても真似しにくいビジネスモデルでもあります。

でも、IoTの通信はいまだに大きなマーケットがあり、必要とするお客さまがいます。MVNOの重い設備投資や高い信頼性かつ効率的な運用、顧客ごとの支援などのタスクをリーンかつ粛々とやれる事業者だけが残るはず。ここはオペレーショナルエクセレンスを重視するAWSの遺伝子とソフトウェアの開発能力を持っているソラコムだからこそできると思っています。

だから、この業界を支える自負を持ってビジネスを進めて行きたいし、生成AIが有機的に結合されているプラットフォームは拡大しかない。今こそ、日本発のソラコムが進む道だと思っています。

大谷:最後にリアルワールドAIプラットフォームの未来について聞かせてください。私がSFの読み過ぎというのもあるのですが、正直まだ未来感のあるセンサリングやIoTの世界は来ていないと思っています。この会議室だって、通信できるデバイスがごくわずかです。これって変わっていくのでしょうか?

玉川:人間が日常的に生活する環境って、必ずしもデジタル化され尽くしている方がいいとは限らないと思っています。

昨日、協業先のスズキ様の本社に行ってきたのですが、昔ながらの建物でありながら、調度品や家具もきちんとメンテナンスされているので、とても居心地が良いと感じました。そういったUX部分は無理にデジタル化する必要はないのかなと思いました。

一方で、生産現場とかはどんどんリアルワールドAIプラットフォームの世界になっていくかもしれません。ロボットが動き回り、バルブや機械にはどんどん通信が埋め込まれて、自動制御がどんどん進む。自然災害の被災地や農業などの現場でも、どんどんリアルワールドAI化しそうです。

リアルワールドAIプラットフォームをいっしょに作っていくワクワク感

大谷:最後にユーザーやパートナー、リアルワールドAIプラットフォームに共感する方々にメッセージをお願いします。

玉川:われわれソラコムは10年間ずっとIoTをやってきて、モノをつなぐという世界を探求してきましたが、その過程でお客さまやパートナーと信頼感を培ってきたと思っています。初期は小さなプロジェクトが多かったですが、今では大きな事例がどんどんでてくるようになりました。この10年いっしょにやってきてくださったことにまずは感謝したいです。

その上で次の10年に向けて新しい戦略として「リアルワールドAIプラットフォーム」を掲げました。お客さまの課題も深く理解できるようになったので、AIで価値を出せる、新しいビジネスモデルをお客さまといっしょに作っていけるというワクワク感があります。改めて「Still Day One ― 今日が1日目」という気持ちで、次の10年を今日ここからまた一緒に歩んでいただきたいと思っています。

確か2年目くらいの取材の時に、「まだ富士山の1合目です」みたいな話をしていたんですよ。でも、今は10合目にきたと思ったら、その先にエベレストがみえてきたという感覚です(笑)。

玉川社長、ありがとうございました。

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