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10年目を迎えたソラコム 今の玉川社長の頭に中にあるモノとは?

AIは、これから現実のモノと結びついていく──IoTの次は「リアルワールドAIプラットフォーム」

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

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 創業10年目を迎え、IoTとAIを包括した「リアルワールドAIプラットフォーム」を発表したソラコム。IoTやクラウドのデータをAIにつなぎ込むという新しい戦略はなぜ生まれたのか? 創業10年を経て見えてきた風景とは? アフターAIを標榜する新しい組織や売上比率40%を超えたグローバル展開、パートナー戦略まで、ソラコム代表取締役社長CEOの玉川憲氏に深掘りした。(インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ)

ソラコム代表取締役社長CEOの玉川憲氏

40%を超えるグローバル売上の高さ 決め手はチーム作り

大谷:まずは個人的な関心から聞きたいのですが、SORACOM Discovery 2025の基調講演で驚いたのは、40%超えという海外売上比率の高さです。どのように実現したのか振り返ってもらえますか?

玉川:ソラコムは創業時からグローバルプラットフォームになると表明しており、2016年の頭にはグローバル展開を開始しています。実際にグローバルで利用できるSIMを提供開始し、北米チーム、ついでヨーロッパチームも立ち上げています。だから、グローバルに関しては、10年近くやっていることになります。最初は思った以上に苦労して、現地チームの立ち上げもうまくいかず、スクラップ&ビルドでやり直してきました。

ただ、この2~3年くらいで、北米も、ヨーロッパも、ソラコムらしいチームができあがってきました。3リージョン体制で、現地のリーダーがしっかり回してくれるようになったのが大きいです。

大谷:では、基本的にはチーム作りに成功したということなんですね。

玉川:今思えば、最初に北米のチームを作ったときは、あまり腹が据わっていなかったですね(笑)。ある意味、現地任せだったので、うまくいかなかった。でも、どこからか開き直って、「うちはこういう会社なんだ」というカルチャーを浸透させたら、現地メンバーの議論の仕方も、雰囲気も、すごくソラコムらしくなっていきました。

大谷:「ソラコムらしさ」をどのように作ったのでしょうか?

玉川:ビジョンやミッションに共感してもらい、リーダーシップステートメントを理解してくれる人に入ってもらいました。さらにCTOの安川がアメリカ法人のトップに就任し、ヨーロッパチームにも日本のビジネスやカルチャーを経験したメンバーを赴任させることで、いっしょにチームを作りあげていきました。これがよかったんだと思います。

日本で当たり前にやっているサポートが海外で重宝される

大谷:グローバルのユーザーはSORACOMのどこに魅力を感じるのでしょうか?

玉川:どのお客さまも、自分たちのやりたいことが明確に決まっています。

たとえば、安川のセッションにも登壇いただいたSollatekは、冷蔵庫の温度管理にIoTを使っています(関連記事:コカコーラも、ペプシも、ハイネケンも導入するIoTサービス SORACOMで世界中の40万台を見える化)。アフリカや中東、東欧などはコンビニのようなものがないので、おばあちゃんがやっている地元の商店で飲料を販売しています。しっかり冷やして売らないと飲料メーカーのブランドが毀損するので、冷蔵庫を飲料メーカーが提供しているんです。

Sollatekはこれまで、こうした冷蔵庫の電圧管理をやっていたのですが、IoTで温度管理をやろうという方向性にシフトしたときに、頼れる通信会社がいなかった。そんな事情があり、彼らは私たちを見つけてくれたんです。

大谷:ユーザーがSORACOMを探してきたんですね。

玉川:はい。使ってもらったら、「どの国でもつながるし、マルチキャリアだし、全部APIで操作できる。しかも親身にサポートしてくれる」とSORACOMをすごく評価してくれました。日本で当たり前にやっているサポートが、グローバルでは親身に見えるんです。IoTソリューションを本業として提供している通信事業者は、そんなに多くない。だから、サポートが部分的になってしまうこともあります。その点、当社にはクラウドも、通信も、デバイスも、熟知しているチームがいるので、きちんとサポートできます。

最近はグローバルでも認知度も高くなりました。SollatekやBus Patrolのようなパワーユーザーが「困ったらソラコムに相談したら?」と言ってくれているらしいです。

大谷:ユーザーの声は強力ですね。国や地域によってユーザー層は違うのでしょうか?

玉川:微妙に違いますね。北米は車両管理や農業での利用が多い。コロナ禍で一気に伸びたのが、遠隔医療のニーズ。国土が広いこともあり、遠隔で医療情報をモニタリングするという用途が多かったです。最近ではアメフトのヘルメットを販売しているRiddelがヘルメットにIoTを入れてくれています。すごくアメリカっぽいユースケースです(笑)。

ヨーロッパは決済端末が多かったんですけど、最近は先ほどのSollatek、さらにコロナ禍を経てセルフヘルスケアデバイスのお客さまも増えています。ユースケースの拡大はどこでも感じますね。

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