Zoomで変わる! 導入企業事例

Zoom活用事例:スパイダープラス株式会社

属人営業に別れを告げる。スパイダープラスが挑む「科学する営業組織」への変革

文●貝塚/TECH.ASCII.jp

提供: ZVC JAPAN

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スパイダープラス株式会社 ビジネスグループ セールス本部 営業二部 部長 平野雄一氏(写真左)と、二課 松本姫奈氏

 建設業界では、現場の施工管理をはじめとしたDX推進が加速しており、その流れは営業やバックオフィスといった間接部門にも広がっています。いま、業界全体として業務効率と生産性の底上げが強く求められています。

 そうした潮流のなか、施工管理業務向けDXソリューションを提供するスパイダープラス株式会社が重視しているのは、単なる営業部門の効率化ではなく「すべての顧客に十分な価値提案を届けること」。そのためには、属人化しやすい商談ノウハウを標準化し、ロールプレイングやフィードバックを通じた教育プロセスを再設計することが不可欠でした。

 この課題に対応するため、同社はZoomの「Revenue Accelerator」を導入。商談スキルを可視化・数値化し、個人や部門ごとの改善点を明確にすることで、受注率の向上と、同社が掲げるミッションの実現につなげようとしています。

スパイダープラス株式会社が、Zoom導入前に抱えていた課題:建設業界全体でDXが進むなか、営業部門では商談ノウハウが属人的になりやすく、再現性のあるプロセスが不足していた。従来の営業トレーニングには一定の効果を感じていたものの、個々の課題に正しくアプローチできているかが不明瞭だった。

“経験”に頼る商談スキルを、データで可視化

 スパイダープラス株式会社は、ゼネコンやサブコン(電気設備や空調設備など、専門領域に特化したゼネコンの協力会社)を中心に、施工管理業務のDX支援SaaS「SPIDERPLUS」を提供している企業です。

 建設現場ではこれまで、手書きで図面に情報を書き込み活用するアナログな手法が主流でしたが、手作業は膨大な時間を要するだけでなく、情報伝達ミスや認識のズレが生まれやすいといった課題がありました。

「建設業の仕事は、本来“ものをつくる”という楽しさを持っていて、その楽しさに憧れて志す人の多い業界です。作業に忙殺されることなく、この“楽しさ”に集中できる環境を作ることが、当社のミッションだと考えています」(ビジネスグループ セールス本部 営業二部 部長 平野雄一氏)

 同社のアプリケーション「SPIDERPLUS」は、図面データをデジタル化し、進捗管理や修正指示の効率化を実現します。さらに検査機器とBluetoothで連携し、測定データを自動で取り込むといった機能を設けることで、煩雑な手作業を大幅に削減することが可能です。

 こうしたソリューションの開発・提供によって、現場の生産性向上を支え続けてきた同社。一方で、実際にソリューションの価値を顧客に伝える役割である営業活動においては、事業の成長とともにスキルやノウハウの属人化という新たな課題が浮き彫りになっていました。

 特に商談プロセスは、個々人の経験に依存する部分が大きく、改善もフィードバックやロールプレイングに頼らざるを得ない状況が続いていました。「エキスパートの感覚に頼った定性的な評価ではなく、定量的に評価する方法はないか?」という考えのもと、同社はツールの選定を始めます。

「全てのお客様にソリューションの価値を十分にお伝えするため、当社では以前から、統一された営業フレームにのっとり、ロールプレイングやフィードバックを数ヶ月単位で行ってきました。その取り組みが本当に営業力向上につながっているのか、各人の課題に正しくアプローチできているのか、不透明な部分も多かったのです」(ビジネスグループ セールス本部 営業二部 部長 平野雄一氏)

 こうした課題解決のため、スパイダープラス株式会社はRevenue Acceleratorを導入。商談内容を録画・蓄積し、分析して効率化に役立てる体制を構築しました。Revenue Acceleratorの導入によって、属人的だった営業活動を「見える化」することで、組織全体の課題抽出が可能になりつつあるといいます。

「お客様に情報を十分に伝えられなかった場合、それを商談の課題として“数値”化し個人単位で把握できるようになりました。従来は見えづらかった弱点や傾向が、よりクリアに浮かび上がる体制が築けつつあると思っています」(ビジネスグループ セールス本部 営業二部 二課 松本姫奈氏)

スパイダープラス株式会社の導入ソリューション
Revenue Accelerator

同社は、Revenue Acceleratorを活用して、経験頼りだった「データドリブンで再現性のあるプロセス」へと変革しようとしています

属人営業から”科学する組織営業”へ

 Revenue Acceleratorを活用した同社のスコアリングは、単なる数値化にとどまりません。オリジナルのプロンプトを用意し、営業担当者ごとに「課題特定ができているか」「十分な情報提供の後に合意形成の手順を踏めたか」など、スコアの低い項目を明確化することを可能にしました。この仕組みによって、個々の特性や商談における“苦手なポイント”まで可視化できるようにしています。

 またマネージャークラスの社員は、このスコアリング結果に応じたロールプレイングやトレーニングを実施できます。営業組織全体で「弱点克服のサイクル」を回す仕組みを構築したといえるでしょう。

 現時点では、導入からまだ2ヶ月ほどと日が浅いものの、平野氏は「今後、商談データのn数が蓄積されれば、仮説と実データの整合性を検証し、より精度の高い改善に活かせる」と話します。

「属人的なスキルに頼った教育体制や、暗黙知に頼った業務の進め方は、“気合いを入れて、なんとかする”といった性質の強いものです。こうした仕組みは、人が変われば実現できなくなってしまい、持続可能性があるとはいえません」(ビジネスグループ セールス本部 営業二部 部長 平野雄一氏)

 こうした取り組みは、これまで「経験」に頼る部分も多分にあった商談を、「データドリブンで再現性のあるプロセス」へと変革していく試みです。属人的スキルに依存しないスパイダープラスの体制づくりは、着実に進んでいるのです。

ノイズ環境下でも活きるZoom。今後は現場利用も視野に

 今後、建設業界ではDXが進むにつれ、現場や移動中といったノイズ環境下での商談が増加していくと見込まれます。平野氏は、Zoomが持つノイズキャンセリング技術の進化にも期待を寄せています。

「現場からの商談でも安定した音声品質が保てれば、営業活動はさらに広がります。今後もZoomの機能進化を活かし、より効率的かつ高度な営業活動を目指していきます」(ビジネスグループ セールス本部 営業二部 部長 平野雄一氏)

 スパイダープラス株式会社の挑戦は、これまで「人」に依存してきた営業という領域を、「組織として科学的に磨き上げる」取り組みであり、また、非効率な作業が常態化していた建設業界に、持続可能性と透明性をもたらす試みでもあります。

 単なる効率化ではなく、デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや組織のあり方を変革するためにこそDXはある。その本質を、スパイダープラスは自らの挑戦を通じて、私たちに改めて示してくれています。

スパイダープラス株式会社、Zoom導入の効果:商談内容を録画・蓄積・AI分析し、属人的だった営業活動を可視化・数値化する仕組みによって、個人ごとの課題や苦手ポイントを明確化し、それに応じたトレーニングやロールプレイングを実施する「弱点克服のサイクル」構築した。

会社名:スパイダープラス株式会社
設立:2000年
本社所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-2-1 住友不動産虎ノ門タワー27階
業界:IT、DX

URL:スパイダープラス