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地元中小製造業のセキュリティ対策支援と同時に、地元デジタル人材の雇用拡大と育成を図る

“サイバーセキュリティの地産地消”目指せ フォーティネット×SYNCHROが山口県で新モデルに取り組む

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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ユーザー企業も登壇、中堅中小製造業におけるセキュリティの現状

 同発表会には、県内中小製造業のセキュリティ対策を支援する山口県産業技術センターや、SYNCHROからのセキュリティ支援提供を受けている製造業顧客(栃木日東工器、メンテック)も登壇し、製造業と工場におけるセキュリティ対策の実情や課題を語った。

山口県産業技術センターでは、工場セキュリティ対策の実証実験を実施。その中でフォーティネットの「OTセキュリティ簡易診断」Webサービスも活用している

部品製造業の栃木日東工器では、DXの推進にセキュリティは欠かせない要素と考え、協力会社も含めたセキュリティ意識/対応力強化に取り組んでいる。工場でセキュリティ対策が進まない原因を「合意形成」として、DXで成果を出しながらセキュリティを推進する必要があると述べた

リサイクル製紙技術のコンサルティング/製品販売を行うメンテックは、IoTによる製紙プロセス最適化システムの開発/販売において、セキュリティパートナーとしてSYNCHROを選定した経緯を紹介した

県も情報産業振興とデジタル人材雇用に注力、3つの事業をスタート

 SYNCHROとフォーティネットジャパンの説明会に先立って、同ビル(ニューメディアプラザ山口)内の別会場で、山口県が主催する「山口県 情報産業振興・人材確保定着関連事業」説明会も開催された。山口県知事の村岡嗣政氏と、SYNCHROの中村氏が登壇した。

山口県 情報産業振興・人材確保定着関連事業説明会で登壇した、山口県知事の村岡嗣政(つぐまさ)氏

 知事の村岡氏はまず、情報産業振興に向けた取り組みを進める背景として、「若者の県内定着」という課題を挙げた。

 前述したとおり、山口県内にある大学では近年、情報系学部/学科の新設が相次いでいる。その結果、2030年(令和12年)には、500名を超える情報系人材が学部/学科卒業する見込みだ。一方で、県内の情報サービス業の事業所数はおよそ260件(2023年時点)と少なく、その賃金水準も大都市圏には及ばない。こうしたことから「県外就職が拡大するおそれがある」と危機感をつのらせる。

山口県内の大学では情報系学部/学科の新設や、文系学部におけるDX人材育成が進み始めている

 村岡氏は、この課題に対して山口県では、令和7年度(2025年度)から新たに3つの事業に取り組むと説明した。

 1つめは、情報/デジタル関連企業を山口県に誘致する事業で、山口県の優秀なデジタル人材を大都市圏の企業にPRし、山口県への訪問ツアーも実施して、地方拠点開設を促す。2つめは、県内のデジタル関連企業と異業種を含む他企業との連携を促進する事業で、デジタル関連企業の実績、得意分野などを紹介するWebサイトの公開、見本市の開催などを行う。3つめは、県内の情報系学部/学科に所属する大学生と企業の交流を進めて県内就職を促進する事業で、大学と企業の交流イベント、情報系学生向けのデジタル職種特化イベントを開催する。

新しい3つの事業の正式名称

3つの事業の全体イメージ

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