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Backlog 20周年企画 チームワークとマネジメントを語り合う

Backlog20周年記念対談 チームワークとマネジメントの関係とは?

成長の限界を超える組織作りとは? ヌーラボとベイジで「最良の方法」を考えてみた

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ヌーラボ

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ガラス張りの組織は果たしてよいのか?

大谷:チームと会社という組織の違いでマネジメントに差はありますか? 

枌谷:僕ら経営者のマネジメントって、それはそれで難しさはあるんですけど、現場のマネジメントの方が難しそうと感じることもあります。僕らはある程度会社の状況を理解してくれる上層部とやりとりしているんですけど、現場ってもっとカオスなはず。だから現場のマネージャーすごいなあと思っています。

大谷:ここらへんはまさに現場のマネジメントに苦労しているヌーラボの原田さんも聞きたいところです。

原田:すでに僕のチームも30人くらいになっていて、それなりの会社くらいの規模になっています。でも、30人くらいのチームになると、現場でなにが起こっているか見えづらい。全員とコミュニケーションとるのも難しくなるし。そういった課題がちょうど起こりつつあるので、やっぱりルールを作らなければとは思っています。

ヌーラボ ビジネスグロース部 部長 原田 泰裕氏

大谷:現場マネージャーの役割はどう考えますか?

原田:通訳ですね。経営層から言われたことを、メンバーに翻訳して伝えて、納得して動いてもらう。そのあたりはけっこう気を遣ってコミュニケーションしています。もちろんメンバーからのリクエストもいっぱいあるので、それを経営層に通訳して伝えたり、あるいは止めることもあります。

大谷:やはり通訳は重要ですよね。全員がすべて同じ情報を見ても、立場や担当が違うと、受け取り方も違うじゃないですか。だからコミュニケーション設計が重要になるし、マネージャーも必要になる。

枌谷:確かに、たとえば経営者のしゃべっている言葉をそのまま伝えても、受け取る側の視座が全然違うんですよね。だから、間に入って通訳してくれる人が絶対に必要だと思います。

たとえば、僕が「Web制作みたいに作っている仕事ばかりしてもダメだから、お客さまの本当の課題に向き合うコンサル的な性質の仕事にシフトしないとダメ」とか言うじゃないですか。会社の方針としては確かにそうなんだけど、デザイナーやエンジニアが聞いたら、ここで仕事していて大丈夫なの?とか不安になりますよね。だから、会社の方針としてはそうだけど、あなたの場合はデザインやコーディングに集中してみたいなコミュニケーションをマネージャーがとってくれると、僕としてはすごくやりやすいです。

橋本:僕も組織は全てが透明じゃなくてもいいと思いますね。自ら求めたら答えが見つけられる程度の透明性が大事だと思います。

大谷:透明性を維持しつつ、必要な情報だけを探せるコミュニケーション設計が大事なんですね。

チームワークマネジメントの観点で大事なところ、苦労しているところ

大谷:組織やチーム作りの難しさやこだわりについて聞いたので、原田さんにチームワークマネジメントの観点で、お二方に大事にしているところ、苦労しているところを聞いてみましょうか。

原田:チームワークマネジメントというのは、チームワークだけではなく、異なる職種や部門のメンバーで形成されたチームが、助け合いながら、共通の目的に向かって自律的に動けるチームを設計・運営するための概念です。「チームワークだけよくてもダメで、ワークマネジメント(業務管理)も必要だよね」ということを両者に掛け合わせた概念として発信しています。個人的にはコミュニケーションが一番大事だと思っているのですが、枌谷さんはどうですか?

枌谷:この中で大事にしているのは、リーダーシップですかね。

プロジェクトを経験することで、社員に学んでほしいかというと、お客さまに提案して、納品して、喜ばれましただけじゃなく、自分がイニシアティブを握って仕事することです。「お客さまから言われたことをちゃんとやりました」は契約としてはそれでいいんですけど、学んでほしいことはその先のイニシアティブですね。

たぶん多くの会社でも、部下が「どうしたらいいですか?」と聞いたら、上司は「どうしたらいいと思いますか?」と返されると思うんです。その意味では、チームワークマネジメントの中で一番大事にしているのはメンバーに主体性を持ってもらう「リーダーシップ」という考え方ですかね。

大谷:うちは苦労しているのは、コミュニケーションですね。量と種類が多いのに加えて、いろんな方向から来るので、コミュニケーション設計の必要性を感じています。枌谷さんが苦労しているのはなんでしょうか?

枌谷:この5つの中にないんですが、一番苦労しているのは不確実性のマネジメントなんですよね。不確実性にはすべてを崩す可能性が秘められています。社員を疲弊させ、最悪プロジェクト自体が失敗するリスクです。かといって不確実性を確実になくすことも不可能で、共存する胆力も必要。この不確実性のマネジメントに一番関連するのはどこなんだろう?という目で見ていました。やっぱりコミュニケーション設計なんですかね。

大谷:どの要素も連携していますよね。心理的安全性がないと、不確実性に対応するためのアイデアが出てこないし、目的が共有されていないと、本来やりたいことからずれてしまい、不確実性が増しますよね。

枌谷:直接の影響があるかどうかだと、やはりコミュニケーション設計と目的の共有ですね。不確実性が高いときに、この2つを迅速に再設計できるか、最初のやり方に固執してしまって、グズグズと傷口を拡げてしまうか、どちらかかもしれません。

大谷:ヌーラボさんはどうですか?

原田:役割の明確化は比較的できているかなと思います。ただ、不確実性な事案が発生したときに、誰がリーダーシップを発揮して、それに対応するみたいなところは、まだ一部難しいですね。一番難しいかもしれません。

大谷:いずれにせよ、不確実性に対応するためには、チームワークだけでも、ワークマネジメントだけでもダメで、両者を意識する必要があることがわかりました。その点、チームワークマネジメントの5つの要素を考えることは、不確実性に対応し、成長の限界を超えられる組織作りのヒントになりそうですね。本日はありがとうございました。

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