第554回 SORACOM公式ブログ

ソラコム公式ブログ

東洋製罐グループが語る!現場データを“武器”に変える製造DXの全貌

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 本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「東洋製罐グループが語る!現場データを“武器”に変える製造DXの全貌」を再編集したものです。

本記事では、7月16日に開催されたSORACOM Discovery 2025のセッション「現場データを“武器”に変える!データ連携で加速する製造DX」の内容をご紹介します。IoTプラットフォーム「SORACOM」の最新事例として、東洋製罐グループホールディングス株式会社 IoT・ロボット推進室/リーダー 森 健司氏および、IoT・ロボット推進室/ITスペシャリスト 菊地 隆之氏に登壇いただきました。

製造業の未来を創造する「Group Digital Vision 2030」

東洋製罐グループは1917年創業の100年を超える企業で、飲料缶をはじめとするあらゆる包装容器の製造に加え、関連する周辺事業も展開しています。しかし、少子高齢化といった社会環境の変化により、将来的に製造継続が困難になる懸念を抱いています。これに対し、同社はデジタルの力を活用して価値向上を図るべく、「Group Digital Vision 2030」を制定しました。

このビジョンを実現するためには、ビジネス拡大を目的としたデータ分析による価値創出としての「攻めのDX」と生産性向上・効率化を目指したデータ活用による業務革新としての「守りのDX」の両面からのアプローチが不可欠であると考えています。

「SaTeras」によるデータ統合基盤の構築と具体的なDX推進事例

東洋製罐グループは両面からのアプローチを可能にするため、自社開発のソリューションシステム「SaTeras」(サテラス)を構築しました。SaTerasは、基幹系データを含む様々な製造現場のデータを一元管理し、ユーザーが利用しやすい形でアウトプットするシステムです。製造現場の大量のデータを扱うため、SORACOMのサービスを活用してクラウド上にシステムを構築しています。これにより、基幹系データとの連携も可能となり、情報の一気通貫を実現しています。

具体的なDX推進事例として、以下の取り組みが紹介されました。

生産現場の見える化

容器製造において、1分間に2000缶というスピードで製造を行っているため、わずかな時間でも大量の製造ロスが発生する可能性があります。そこで、製造情報や品質情報をリアルタイムで表示し、改善スピードの向上と生産性向上につなげています。これにより、確認作業の短縮、ダウンタイムの低減、時系列分析、遠隔監視が可能になりました。

環境DX

環境配慮型製造への社会的な要請に応えるため、製造現場のデータとエネルギー消費量を関連付けて表示することで、環境配慮の製造エビデンスを確保し、現場の環境意識向上を促すことでエネルギー削減活動につなげています。ラインで使用されるエネルギーを「診せる」ことで、現場の意識向上が期待されます。

ソラカメとの連携による現場作業環境の向上

充填事業における給排水設備の目視確認作業にソラカメ(クラウド型カメラサービス)を導入することで、確認作業の短縮と遠隔監視を実現しました。高温多湿な洗浄工程では、目視チェックで不良品を検出していましたが、カメラ映像を活用し、人の雇用が難しい環境では自動化を進めています。今後は、SORACOM Flux(ローコードIoTアプリケーションビルダー)と連携させ、水レベルの自動チェックと設備への自動フィードバックを目指しています。

生産に関する因果関係を数理モデル化し、AI活用へ

因果関係を数理モデル化することで、人間の感覚による予知・予兆をAI化する基本技術を養っています。検査工程での不良検出を前工程の成形データで事前に予知できる可能性を見出し(確信度の目安を60%としている)、製造ロス削減、生産効率の向上、作業環境の向上を目指しています。AIを活用することで、データ前処理の時間短縮が可能になると考えています。

製造業DX推進の課題と解決に向けたアプローチ

1. 新しいことへの取り組み姿勢の温度差

100年を超える歴史を持つ企業ゆえに、変革の必要性に対する意識の差が大きいことが課題です。これに対しては、トップ層が明確なビジョンを示し、現場には具体的な体験を提供することが重要であると考えています。

2. IoT・DX推進エンジニアの「手段の目的化」

システム導入が本来の目的を見失う「手段の目的化」が発生する可能性があります。これを防ぐためには、KGI・KPIを常に意識し、「データは活用により価値を生む」という認識を徹底することが重要です。

3. 製造現場と繋ぐ意義

データは現場にあり、データ活用の課題も現場にあるため、現場との連携は不可欠です。運用開始がゴールではなく、継続的な活用が重要であり、そのためには現場との密なコミュニケーションが必須であると認識しています。

東洋製罐グループは、これらの活動を2024年度以前から行っており、既に効果が出始めています。2027年度には年間10億円の効果目標を掲げ、2030年に向けてはSaTerasを容器製造業になくてはならないソリューション基盤として構築していくことを目指しています。

最終的に、同社にとって現場データを“武器”に変えるとは、「儲かる仕組みを提示し、価値提供を加速させること」であると語られました。これは、上層部から現場まで、全員が納得できるような「儲かる仕組み」を再構築することが重要であり、データはそのための強力な武器になると考えています。

過去の事例

ソラコムはDX推進のパートナーとして選ばれています

東洋製罐グループがDX推進に活用しているIoT基盤には、クラウドネイティブな通信とデータ活用を支えるSORACOMプラットフォームが採用されています。

ソラコムは、IoTや製造DXの企画段階から、PoC・本格運用までを一貫して支援しています。無料相談もご提供していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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