マウスコンピューター社長 軣 秀樹氏インタビュー
「ユーザーが欲しいPCがラインアップに必ずある」 製品力を高めて、その状態を目指すマウスコンピューター
ASCII読者にはテレビCMや黄/黒の2色のロゴでおなじみであろうBTO PC界の雄、マウスコンピューター。昨年6月に同社の新社長として軣 秀樹氏が就任して以降、ゲーミングPC「G TUNE」ブランドのロゴ変更など、積極的な動きが見られる。
就任から1年を前に、軣社長にマウスコンピューターでの新たな取り組みや今後の製品の方向性について話をうかがった(聞き手はASCII.jp副編集長の岡本善隆と角川アスキー総合研究所 顧問 首席研究員の遠藤 諭)。
マウス軣社長はモニターの開発から始まり
マウスコンピューターの品質を向上させてきた
――あらためて社長に就任されるまでの経緯をお聞かせください。
軣氏(以下、同) 入社したのは91年に飯山電機(後にiiyama)です。当時はブラウン管のCRTで、その後は液晶モニター。液晶ではプログラムを含めて開発させていただいて、生産の立ち上げ、営業支援、アフターサービスといろいろな経験をさせていただいたのが今に生きていると思っています。
そのiiyamaがMCJグループに入ったのが2006年。マウスコンピューターでも開発や品質管理、生産の部分を担当させていただいて、前社長の小松(小松永門氏)とともにずっとやってきました。
マウスコンピューター以前はずっとモニターだったので、あらためてPCのものづくりを学んだのですが、品質を上げなければ生き残ることはできないということですね。今だから言えますが、当時の(マウスコンピューターのPCの)品質は悪かったです。品質を上げていくことを最優先で進めて、改善が見られるというのは楽しかった部分があります。
たとえば、一番不良率が高い電源の部分からメスを入れて、電源メーカーと協力しながら場合によっては中の回路を大きく変えたり、部品の選定もしました。そうすると劇的に品質は上がりますよね。メーカーも自分たちの製品の品質を上げるために、私たちをうまく使ったというところもあるので、彼らとしてもメリットがあったのかなと思います。
「あらためて製品力を高めていこう」がファーストメッセージ
――では、新社長就任されたときの心境は? また、この1年で最初に取り組まれたことは?
実はまったく想定していなくて。前社長から、退任して完全に引退すると聞いたときは本当に驚きました。では、誰が社長に就任するのかという話になったとき、小松と一緒にやってきたマウスコンピューターを自分がさらに伸ばしていきたいなという気持ちに変わったのが1つですね。
それでこの立場を引き受けるにあたり、マウスコンピューターをどういう会社にするべきか、何が足らないかを考えたときにやっぱり製品力が少し弱くなっているかなという印象がありました。
マウスコンピューターのいいところとして、新しいものにどんどん挑戦する。スティックPCであり、Windows Phoneであり、本当に小さいノートPCであり、過去にはいろいろなことにチャレンジしてきたのですが、ここ数年はそういうマウスらしさが薄れてきたかなという部分があるので、あらためて製品力を高めていこうというのが(従業員への)ファーストメッセージです。
昨年はまずいろいろなお客様のところを回らせていただきました。(法人のお客様を中心に)40社を超えています。法人のお客様が何を必要としているのか、当社が得意としているハイスペックのPCでは何が必要とされているのか。しっかりヒアリングして、製品企画に取り込んで半年先、1年先に製品にできればそのお客様に持って行けます。そういうことをやっていく必要はあるんじゃないかなと。
――AIやゲームといった用途で、ハイスペックなPCの需要は増えていますが、同時に最近のPCは随分高くなってしまった印象もあります。
以前は製品の世代が代わると、価格は据え置きでスペックが上がったのですが、今は価格がかなり上がってしまうことがある。それが本当にお客様のためになるのか、求めているものなのかと考えます。なので、お客様の求めるものがしっかりあるラインアップにしていく必要があると思っています。
ただ、一方でコンシューマーの方は最新を常に追っていく必要もあり、NVIDIA RTX 5000シリーズの製品も最優先で導入できました。
「ものづくりを大切にする」をメッセージとして打ち出す
「エンジョイ」を重視することでアイデアをどんどん出てきてほしい
――軣社長が就任されて1年、記者会見やウェブ上のメッセージでも「ものづくり」を大切にするということを発言されています。
ものづくりを起点とした取り組みをしっかり社内に浸透させる必要があるかなと思い、社内向けには、大切にしてもらいたいものづくりの精神を10項目にまとめ「ものづくり10」として題して発信しました。また、5つの項目を事業方針として出させていただきました。
事業方針の最初の項目は当然「品質」(マウスクオリティ)。次にマウスらしい製品の企画・開発をすること(オリジナリティ)。それからお客様の意見をしっかり聞いてそれを製品に結びつけていきましょうということ(ユーザービリティ)。あとはSDGsを含めた持続可能な企業体制を作っていくこと(サステナブル)。
それから「楽しく仕事をする」(エンジョイ)。みんなで考えて、楽しく仕事をすることで、そこから生まれるアイデアが計り知れないと思いますし、若者世代の意見もそこから出てくる。それが経営にも役立ちますし、製品力を上げるためにも必要なアイデアがドンドン出てきてほしいなと思ってメッセージとして出しました。ちなみに余談ですが、5つの項目を英語にして頭文字をとると「MOUSE」になるんです。
――あとアフターサービスも3年保証や24時間365日電話サポートと強化されていますが、特に重視されている部分はありますか?
メーカーの中でアフターサービスって、やっぱり肝だと思うんです。PCの開発から生産まで半年、長いものでは1年以上かかるものもありますが、そのくらいの期間なんです。生産も弊社の場合は1日か2日。でも、お客様が買った後は5年間(ほど使う)。この期間の方が圧倒的に長いわけです。
この期間に満足して使っていただくためにはアフターサービスがしっかりしていないとお客様に失礼ですし、安心して使い続けていただけない。1日も早く修理してお返しするには、翌日に荷物を送れる場所に拠点を設ける必要があるのではということで、広島にサービス拠点を設立したのです。
新しいG TUNEのゲーミングPCは抑えめのLEDにマウスらしさあり!
ユーザーが求めるPCがラインアップに必ずある状態を目指す
――少し話は変わりますが、軣社長が「これはマウスコンピューターらしい」「ここがすごい」というような製品やエピソードはありますか。
「ここがすごい」というのを決めるのは私たちではなく、お客様だとは思うのですが、新しいものは大好きなので、水冷BOX付きのノートPCはそれですね。
それからG TUNEの新製品。これはマウスらしい製品の1つだと思ってます。ゲーミングPCは煌びやかなLEDが光って、それが見えるというのが今の流行だと思うのですが、それだとマウスらしくないなということで、G TUNEカラーと同じ赤で内部も光るのですが、それ以上はやめて、ちょっと抑えた形にしています。
――最後にマウスコンピューターの製品について、あらためてアピールいただければ。
私たちは、国内で開発、組み立て、サポートをやっていて、安心を感じていただきたいということ。また、最新の技術をより早く届けたいという思いは変わりませんので、マウスコンピューターならいち早く体験できるんだよというところは進めていきたいと思います。
最終的にはマウスコンピューターなら、お客様が求める製品がラインアップに必ずあるという状態は作っていきたいと思っています。
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