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グロービスが挑んだ可視化 鍵は現場とのコンセンサス

「1ミリの曖昧さもなく」データを定義 決め手はトップの「もうExcelは見ません」宣言 

大谷イビサ 編集●ASCII

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「Excel禁止宣言」だけじゃない緻密な定着までの作戦

 業務と会議のひも付けいう観点では、まずトップから「Excel禁止宣言」が出たのが大きかった。これまでは拠点ごとにExcelでの集計が行なわれていたが、「長年活用され、各拠点で工夫が積み重ねられてきたExcelからの移行には、時間と丁寧な対話が必要だった」と佐藤氏は振り返る。

 そのため、組織のトップを説得し、納得してもらった上で、全部門長が参加する会議で「もうExcelは見ません」と宣言してもらったという。これにより、これですべての報告がダッシュボードに移行できたという。「ツールや仕組みは確かに重要だが、その前に組織としての覚悟を示し、文化を変えていくことがとても大切だと感じた」と佐藤氏は語る。

「もうExcelは見ません!」

 また、業務にダッシュボードをひも付けるべく、会議と業務、チームにどのダッシュボードを使うか、明確に定義づけた。「指標を並べるだけではなく、このチームがなにを見たいのか、顧客のどのフェーズの対応しているときの指標なのかを設計した」とのこと。

 具体的には縦軸にチーム、横軸に顧客フェーズを割り当てたマトリックスを作り、それぞれに該当するダッシュボードを定義し、ナレッジツールで公開しているという。必要なダッシュボードを抜け漏れなく作れるだけでなく、利用者も目的に合ったダッシュボードにすぐたどり着けるという。「結果として、業務に数値が直結した実用的なツールとして機能するようになった」と佐藤氏は語る。

会議とダッシュボードをひも付ける

 最後はダッシュボードの利用を支える体制面の説明。「せっかくツールを導入したのに使ってもらえない」ということは起きがちだが、RevOpsチームでは散らかりがちなサポートをSlackチャンネルに一本化し、運用支援体制を構築した。「こうしたルールの徹底は地味ではあるが、コミュニケーションの交通整理はかなり効果がある」とのこと。

 また、アンバサダー制度を設けた。各営業チームに1名のアンバサダーを任命し、ダッシュボードや指標についてのOJTを実施したり、チーム内の疑問や要望を取りまとめる役割を担ってもらっているという。「要望が多岐に渡る中で、アンバサダーに集約・調整を担ってもらうことで、対応の効率化と質の向上を両立させた」と佐藤氏は説明してくれた。数字の妥当性の検証や指標の見直しも定期的に実施。「ダッシュボードは作っておしまいではなく、継続的に使ってもらうための仕組みを用意するのが大事」と佐藤氏は指摘する。

データ活用が現場に根付く 脱Excelと数値の認識合わせを実現

 プロジェクトから3年経った現時点では、ダッシュボードのログイン数とアクセス数が増加し、活用は日常業務に根付いたという。発足当時10だったダッシュボードはすでに80となり、利用者数も15から120人程度に増加した。週のビュー数は50から60倍の3000程度に増加。なにより一人あたり8時間くらいかかっていた営業報告の準備がゼロになったのが大きい。

プロジェクトの成果

 定量的な効果としては、やはりExcel運用からの脱却が大きい。数値定義の認識合わせや集計・報告準備にかかっていた工数がゼロになり、日次・週次・期次の定型集計業務が不要となり、議論や顧客接点への時間が確保できるようになった。

 もう1つの成果としては、KPI定義を統一したことで、活動成果が横断的に把握できるようになった。「集客やナーチャリングのボトルネックがはっきりわかるようになった。その結果、数字に基づいて施策を仕切っていける体制が整った」と佐藤氏は説明。まとめとして「指標定義の厳密化と可視化の徹底」「経営層のリーダシップにデータ文化の浸透」「データ連携の内製化による省力化と人的資源の最適化」の3点を挙げた。

 舞台に戻ってきたCDataの疋田氏は、「手触り感のある取り組みの中で、実際にはモダンなデータパイプラインとクラウドDWHを駆使し、よいダッシュボードを作られている。データの定義やガバナンスをしっかり行ない、データ管理を能動的に行なっている。みなさんが求めているものと近いのではないかと」と感想を語る。

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