改めて知る「Zoom」の真価。“知ってる”から、“会社の武器”へ
AI時代の“新しい営業の形”が語られた「Zoomユーザー会」レポート
“Zoom×HubSpot×AI”で営業組織は強くなる? 急成長のスタートアップ企業が実践してみた
2025年06月26日 09時00分更新
“コミュニケーションとコラボレーションのプラットフォーム”に生まれ変わり、進化を続けるZoom。営業領域でも同様であり、AIを活用した、営業組織を強化するためのサービスを拡充している。
ZVC JAPAN(Zoom)は、2025年5月29日、営業領域でのZoom活用をテーマとしたユーザー会を開催。特に、営業・マーケティング向けの支援ツールを提供する「HubSpot」との連携に焦点があてられた。
今回は、ZoomとHubSpotによりビジネスを成長させたスタートアップ企業の事例セッションと、営業・CRMのプロによる、AI時代の営業組織づくりについてのディスカッションの様子をお届けする。
営業活動の推進からデータ分析までを“ワンプラットフォーム”で
まずは、営業領域におけるZoomのAI機能とHubSpot連携について紹介しよう。
あらゆる企業向けサービスにAI機能が実装されていく中、導入企業を悩ませているのが「定着化」の問題だ。ZVC JAPANの小笠原拓也氏は、「多くの場合、『AI活用のアプリケーションが一本化されていない』ことが障壁になっている」と説明する。
Zoomでは、商談の機会をつくるクラウドPBX「Zoom Phone」、オンライン商談を担う会議ツール「Zoom Meetings」、営業データを活用するためのアドオンサービスとして「Zoom Revenue Accelerator(以下Revenue Accelerator)」を用意。これらがひとつのプラットフォーム上でシームレスに利用でき、データ連携するのが特徴だ。
Zoom Phone・Zoom Meetingsは、会話や商談の内容を自動録画・録音。さらに、Revenue Acceleratorを活用することで、これらの営業データをAIで要約したり、より高度に分析・管理できたりするほか、HubSpotなどのCRMに自動転記することも可能だ。「情報をCRMに手入力する時間を、営業活動に充てられる」と小笠原氏。
営業データを分析する、Revenue Acceleratorの代表的な機能が「コーチング」だ。事前にヒアリング項目などを設定することで、商談内容をスコア化し、実データに基づく教育や評価ができる。AIに過去の商談について質問することで、単なる要約では分からない顧客の課題を見つけることも可能だ。「Zoomを活用することで、商談の質を高め、受注までの時間短縮と成約率向上を図れる」(小笠原氏)
on the bakery:営業スキル平準化を「Zoom+HubSpot」でショートカット
ここからは、ZoomとHubSpotの連携を活用するユーザー企業を紹介する。
まずは、ノーコードでオンラインガチャや診断アプリを作成できるSaaSサービス「クロワッサン」を展開する、on the bakeryの事例だ。同社の代表取締役の井戸裕哉氏は、「最初は、社用携帯のために、Zoom Phoneを契約しようとしていた」と振り返る。
4年目のベンチャー企業であるon the bakeryは、2025年に社員が急増。それまで井戸氏がトップセールスとして動いていたが、営業組織が整ってきたことで、営業スキルを平準化して、商談内容を定量的に見直せる仕組みが必要になっていた。
実はその時、某コラボレーションツールを全社展開したばかり。それでも、営業組織の課題を解決でき、HubSpotとも連携できることを決め手に、Revenue Acceleratorを含めたZoomプラットフォームを導入した。
Zoom導入により得られた成果は3つあるという。ひとつ目は、「コア業務への集中」だ。商談や会話の要点は、自動抽出され、HubSpotにも自動で記録される。商談が可視化されると共に、議事録作成も不要になり、提案やフォローに専念できるようになった。
2つ目は、「商談の質向上」だ。商談の分析やコーチング機能で、定量的なフィードバックができるようになり、優れた商談を「型化」できるようになった。最後は、「教育コストの削減」だ。トップ営業の録画はそのまま育成コンテンツになり、商談の振り返りも容易になった。「商談の質を上げる平準化にかける時間をショートカットできた」(井戸氏)
かつては、同社のママさんセールスマネージャーが、教育のために、家事の合間に録音を聞いていた。今ではスコアが低い商談を中心に、事実ベースのフィードバックができるようになり、教えられる側にも納得感が生まれた。Zoomの導入はまだ2か月だが、受注率が2倍以上になるなど、定量的な成果も現れているという。
パートナープロップ:RevOps推進の基盤を「Zoom+HubSpot」で構築
続いては、PRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)のSaaSツール「PartnerProp」を手掛けるパートナープロップの事例だ。パートナーマーケティングのリーディングカンパニーとして、急成長を続けており、同社のVP of Salesである磐崎友玖氏は、「社員の入社時には、必ずZoomアカウントを追加している」と説明する。
同社の営業組織は、収益を最大化するために、営業やマーケティング、カスタマーサービスを統合する「Revenue Operations(RevOps)」の考えで設計されている。RevOps推進の基盤として、営業データを部門間でシームレスにつないで、一元化できる、ZoomとHubSpotを選択。「バラバラにツールを導入すると、プロダクトがサイロ化され、折角の会話データが引き継げない。Zoomは、わざわざ紐づけしなくても、商談しているだけで、適切なリードに対するログが残る」(磐崎氏)
部門間でのデータ連携が進むことで、通話・商談での合意形成が可視化され、抜け漏れが解消され、引継ぎも容易になったという。さらには、コーチングの機能で、営業ごとの商談の傾向を定量分析しており、データに基づく人材育成も実現している。「初回商談でスコアが100点の企業は受注しやすい。100点じゃない案件に営業マネージャーが積極介入するような使い方もしている」と磐崎氏。
営業データを基にした、提案書作成の自動化にも取り組んでいる。Zoomで商談の書き起こしを出力し、生成AIが提案構成を作成、自社フォーマットに反映するというプロセスを自動化している。顧客ごとにカスタマイズした提案が必要な中で、新規メンバーが提案書作成に3~4時間要していたのが、15分以内に短縮されたという。
こうしてRevOpsのための基盤を築いたことで、受注率は2倍、商談化率は1.8倍に向上。同社は前回ラウンドから約半年でシリーズAに到達するなど、成長を加速させている。

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