AI時代の“新しい営業の形”が語られた「Zoomユーザー会」レポート
“Zoom×HubSpot×AI”で営業組織は強くなる? 急成長のスタートアップ企業が実践してみた
提供: ZVC JAPAN
スタートアップ営業の悩みとAI時代の組織づくり
ここからは、営業システム構築と営業組織立ち上げプロによる、AI時代の成長モデルに関するディスカッションをお届けする。
登壇したのは、HubSpotの日本法人設立前から同ツールの導入を支援する100(ハンドレッド)の代表取締役である田村慶氏。そして、スタートアップや展示会に特化したコンサルティングを手掛けるセールスのタクミの代表取締役である佐藤匠氏だ。
最初のテーマは、スタートアップの営業組織が今抱えている課題だ。
100の田村氏は、「HubSpotやSalesforceといったCRMを導入するスタートアップ企業が増えている」と切り出す。ただ、米国での調査結果をみると、CRMを使いこなせていない企業が6割にも上るのが現状だ。同社の調査では、日本企業においても同様の状況だという。「問題はやはり定着化。獲得したリードを商談化して、成約するまでの一連の流れが管理できていない」と田村氏。定着率が下がる“失敗あるある”として、「CRMがあるのにスプレッドシートで管理している」、「CRM内のデータ精度が悪い」、「取得できていないデータがある」などを挙げる。
一方、セールスのタクミの佐藤氏は、スタートアップの失敗の大部分が、営業以前に、商品設計に問題があると指摘する。「特にSaaS企業は、従量課金で大企業が決裁しづらい、最低限のセキュリティ要件が満たされていない、そもそもプロダクトの課題感と価値が合っていないというケースが多く、その場合は営業をどう頑張っても伸びない」と佐藤氏。
その上で佐藤氏は、「スタートアップ営業の属人化は悪か」と問う。同氏の答えは「属人化しましょう」だ。ビジネスの最初は、社長やトップ営業の単価や受注率が組織の売上に直結するため、属人化を極めることが重要になる。その後に、Zoomなどを活用して、彼らのノウハウを汎用化する。ただ、トップ営業の属人化で売れるものと、汎用化で売れるものとは乖離があるため、どちらかに偏らず、商談によって振り分けることが重要になるという。
続いてのテーマは、AI時代にどう営業組織をつくっていくかだ。
田村氏は、事例を披露したパートナープロップも推進する「RevOps」を紹介する。シンプルに言うと「収益を最適化」する考え方であり、営業とマーケティング、カスタマーサポートを一元管理し、一気通貫な顧客体験によって、収益を最大化するアプローチだという。ちょうど営業やマーケティング組織が立ちあがるフェーズが、RevOpsに着手する良いタイミングになる。
この、RevOpsのフレームワークを進める上で、AIが効果を発揮する。自社のビジネスモデルを把握した上で、各部門の活動内容を整理し、成長戦略を立てる「事業分析」のフェーズでは、対話型の生成アシスタントに相談・支援してもらいながら、分析や戦略策定を進める。その後の、KPIや管理システムを定めて、オペレーションに落とし込むフェーズでは、業務の実行を補助してくれる自律型エージェントが役に立つ。
加えて、CRM自体もレコメンデーションから、需要・購入確度予測、コンテンツ生成、データ品質向上、業務の自動化など、当たり前のようにAI機能が組み込まれるようになっている。「CRMのいち機能をAIが担う時代になっている。業務を自動化するエージェントも既に実装され、これらをいかに活用して効率化していくかが今後の大事なポイント」(田村氏)
一方の佐藤氏は、AI時代にも「日本のBtoBマーケティングチャネル」は変わらないと強調する。それは、問屋文化といった歴史的背景により、「関係構築と丁寧さ」を重視する日本市場の特性が、BtoBマーケティングのカギになり続けるからだ。また、AIもあくまで手段であり、セールスを型化したり、マーケティングの転換率を挙げたりする根本の取り組みは、今後も人による最適化が必要になるという。
最後に、ZoomとHubSpotの組み合わせについて、田村氏は、「受注までの商談の回数を減らしつつ、営業活動の濃度を上げるに効果的」と評価。佐藤氏は、「セールスの型化において、議事録は必須。それだけならどのツールでも良いが、営業・マーケティングに必要なものをワンプラットフォームで実現できるのがZoomとHubSpot。効率性を考えたら一択」と強調した。
今後も機能強化を続ける「Zoom×HubSpot」連携
今回のユーザー会では、Zoomのコミュニティにおける、新しいコミュニティリーダー3名も発表された。任命されたのは、導入企業として登壇したパートナープロップの磐崎友玖氏と、プラグマの武石留理子氏、そしてフリートの古里拓氏だ。
既に、テテマーチの出口潤氏が第1号に任命されており(参考記事:AI・データ活用もはかどるクラウドPBX 「Zoom Phone」ユーザー4社が語るビフォー・アフター)、リーダーたちがZoom製品のインフルエンサーになって、ユーザーコミュニティを盛り上げていく予定だ。
本イベントを企画したZVC JAPANの佐藤伸介氏は、「Zoomはよくも悪くもウェブ会議ツールで認知されている。ただ、Zoomのプラットフォームは、営業組織を立ち上げる、強化するのに役立つサービスを拡充している。特にベンチャー企業は、社長や1人目の営業メンバーが属人的なトップセールスであることが多い。Revenue Acceleratorを利用して、そのエッセンスを他のメンバーにいかに横展開していき、いかに組織力を高めることができるかが、中長期での収益向上には重要」と説明。
そして、「ZoomとHubSpotを連携では、今後もたくさんの機能強化を控えているので楽しみにして欲しい」とイベントを締めくくった。
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