ROG Strix GeForce RTX 5070 Ti 16GB GDDR7 OC Editionをレビュー
マルチフレーム生成は真のゲームチェンジャーなのか? ROGのRTX 5070 Tiを旧世代と比較
2025年05月27日 10時00分更新
マルチフレーム生成の力を検証
基本的なグラフィック描画性能は上記のテストの通りだが、RTX 50シリーズ最大の利点はやはり「DLSS 4」の“マルチフレーム生成”だろう。
RTX 40シリーズ以降、NVIDIAのアップスケール技術であるDLSSに、フレーム生成機能が追加された。AIによって、ゲームの描画フレーム間に中間フレームを生成することで、フレームレートを向上させる機能だ。
RTX 50シリーズではこれがさらに強化され、フレームを最大3フレームまで生成できるようになった。これにより、処理負荷を抑えながらより滑らかなゲーム画面を楽しめるようになっている。
3DMarkのDLSS機能テスト。こちらはRTX 4070 Tiでの画面だが、フレーム生成の部分に「2x」しか設定がない。これは1フレームにつき+1フレーム生成するということ。つまり従来の“フレーム生成”だ
3DMarkにはDLSSの機能テストがあり、ここでフレーム生成の力を確認することができる。RTX 4070 Tiによる通常のフレーム生成と、RTX 5070 Tiによるマルチフレーム生成の結果を比較してみよう。
素のGPUパワー向上もあるが、DLSS込みで2.2倍近く向上しているのはかなりの効果と言える。DLSSおよびマルチフレーム生成を使用するにはゲーム側で対応している必要があるが、この差は大きい。
実際のゲームではどのくらい効果があるのか、『サイバーパンク2077』で確かめてみる。ここではフルスクリーンモードでグラフィックのプリセットを「レイトレーシング:オーバードライブ」に設定し、DLSS品質は「自動」に。
フレーム生成は、RTX 5070 Tiで「4X(マルチフレーム生成)」、RTX 4070 Tiで「はい(通常フレーム生成)」、RTX 3070 Tiで「いいえ(非使用)」と、各GPUで最高のフレームレートを出せるように設定した。ゲーム内のベンチマーク機能でフレームレートを計測している。
サイバーパンク2077は、ひと昔前ではグラフィックを最高設定にするとハイエンドGPUでも厳しいフレームレートになる場合が多かったが、フレーム生成によってかなり快適度が向上しているのがわかる。
特にRTX 5070 Tiなら、マルチフレーム生成を使うことでゲーミングディスプレーのパフォーマンスをしっかり活かせるくらいまでフレームレートを伸ばせるというのが大きい。
直近の大型タイトルとして、『モンスターハンターワイルズ』の公式ベンチマークでもスコアーを計ってみた。本作はマルチフレーム生成には対応していないものの、通常のフレーム生成は利用可能だ。
グラフィックプリセットは「ウルトラ」にし、アップスケーリングモードは「クオリティ」に設定している。レイトレーシングは今回はデフォルトの「オフ」に設定している。
スコアー上、RTX 4070 TiとRTX 3070 Tiの差はあまりないように見えるが、平均フレームレートでは大きく差が付いている。フレーム生成によるフレームレートの算出方法のためだろうか。
4Kのテストだと、ゲームの予想VRAM使用量が8GB前後になり、VRAMがGDDR6X 8GBのRTX 3070 Tiでは「設定変更を推奨します」という評価になっていた。近年のゲームでは高画質・高解像度設定だとかなりVRAMを使うようになっている。RTX 5070 TiのGDDR7 16GBというメモリーが活きてくる場面も少なくないだろう。
フレーム生成あり同士のRTX 5070 TiとRTX 4070 Tiを比べると、その差は30フレームほど。ただ、高解像度のテストだと、RTX 4070 Tiのフレームレートはあまり安定せず、4Kのテストでは部分的に30fpsを切る場面も見られた。RTX 4070 TiではWQHDまでの設定が無難かもしれない。
最後に、超重量級の『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』でも試してみた。ここでは、画質プリセットを「ウルトラ」に設定し、パスレイトレーシングは「フルRT」に設定してフルスクリーンモードで検証した。
ニューゲーム直後の密林の中で1分間歩いた際のフレームレートを、「FrameView」で計測している。アップスケーリングは「DLSS」、DLSSスーパー解像度は「オート」、DLSSレイ再構成は「オフ」。フルスクリーンモードでの計測となる。
なお、RTX 3070 TiではフルHDでも正常に動作しなかったため検証から省いている。RTX 4070 Tiの4Kも同様。
本作はマルチフレーム生成に対応しているため、RTX 5070 Tiでは「4x」に設定。RTX 4070 Tiは通常フレーム生成を意味する「2x」設定だ。本作はこれでも画質プリセットは最高ではないのだが、RTX 4070 Ti+通常フレーム生成だとフルHDでもやや厳しめのフレームレートになった。
しかし、RTX 5070 Ti+マルチフレーム生成なら4Kでも快適にプレイ可能。おそらくVRAM容量の差などもあるだろうが、今後画質を売りするゲームでは、マルチフレーム生成前提の負荷になることも考えられる。そうなるとRTX 50シリーズの有用性はさらに上がるだろう。
フレームレート向上技術はスペック差以上の恩恵をもたらす
マルチフレーム生成という新たなゲーム環境の扉を開いたRTX 50シリーズ。ゲームの対応が必要とはいえ、昨今の大型タイトルでは各社のアップスケール技術に対応している場合が多く、新機能も徐々に普及していくはずだ。
ちなみに、今回は検証の時間を取れなかったが、RTX 50シリーズではDLSS非対応のゲームでもドライバー側でフレーム生成を有効にする「NVIDIA Smooth Motion」という機能に対応している。マルチフレーム生成ほどではないが、非対応ゲームでもかなりのフレームレート向上が見込めるこの機能があるので、DLSS非対応ゲームを遊びたいユーザーにもメリットはある。
PCパーツ構成の更新を考えている人は、単純なハードウェア性能だけでなく、こうした新機能の対応状況も鑑みる必要がある。こうした機能に魅力を感じる人は、ROG Strix GeForce RTX 5070 Tiを選択肢として考えてみてはいかがだろうか。












