フォーティネットのセキュリティ基盤で業務負担を3割減に

真庭市、セキュリティ強化と業務効率化の両立を目指し「β’モデル」へ移行

文●福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 フォーティネットジャパンは、2025年4月16日、岡山県真庭市が自治体ネットワークの「β‘モデル」への移行に伴い、フォーティネットのネットワーク・セキュリティ基盤を導入したことを発表した。

 2024年10月に公開された「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改訂版では、クラウド利活用のための自治体ネットワークとして「α’モデル」「βモデル」「β’モデル」が示されている。この中で、業務システムと業務端末の両方をインターネット接続系に移行するβ’モデルは、業務効率性や利便性が高い一方で、厳格なセキュリティ要件や導入・運用コストが自治体のハードルとなっている。

 真庭市は、自治体ネットワークを従来の三層分離(αモデル)で構築していたが、リモートワークはもちろん庁内業務でも、多くの制約と負担が生じていたという。このような課題の解決やさらなるクラウドサービス活用のために、β‘モデルへの移行を決定。同市が移行に踏み切れたのは、2021年からDX戦略を推進してきたことやデジタル地域通貨「まにこいん」が市民の55%にまで浸透するなど、市民や市政上層部のデジタル活用に対する理解が進んでいたからだという。

 β’モデルへの移行に伴い、ネットワークとセキュリティの基盤として採用されたのが、フォーティネットの次世代ファイアウォール「FortiGate 600F」と統合エンドポイントエージェント「FortiClient」である。セキュリティ専用ASICによる高速性、ゲートウェイとクライアントソフトウェアとの連携が担保されて運用負荷が低減される点、さらには、将来の先進ITシステムにも対応できる拡張性などが評価された。

 β‘モデルへの移行は、2024年10月より試験運用が開始され、現在庁内200台以上に導入済。2025年秋に全庁でシステムの本格稼働が開始される予定だ。

真庭市のネットワーク構成

 新たな環境では、職員がより柔軟な働き方ができるような体制を構築。三層分離時に抱えていた、仮想ブラウザのライセンス数制限による遅延や、リモートワーク時に専用PCを別途持ち歩く必要があった問題などを解決している。職員がPCを外部に持ち出しても、FortiClientがネットワークの切り替わりを検知し、顔認証を経て自動的にVPN接続が確立、職員が意識することなく安全にリモートアクセスできる。

 また、FortiGateとFortiClientの組み合わせによって、インターネットの安全な利用環境を整え、より汎用的なMicrosoft 365などのクラウドサービスを積極活用できるようになっている。

 真庭市の総合政策部総合政策課 主幹である植木孝和氏は、以前に比べ大幅に利便性と安心が高まり、「日々の業務に要していた手間が三割は減った印象」とコメントする。

 今後はさらに、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)やローカルブレイクアウト(LBO)、テナント制御なども段階的に実現して、顔認証技術など他のソリューションとも統合していく計画だ。また、新基盤を上で、電子申請の活用やまにこいんのスーパーアプリ化など、住民向けサービスの強化も図っていくという。