Core Ultra 200Sでの自作にさらなる選択肢
カジュアルゲーマー向けマザー“AYW”はなぜ生まれた?Z890 AYW GAMING WIFI Wに見えるこだわり
2024年12月08日 10時00分更新
ASUSのマザーボードは、ランク別にいくつかのブランド/シリーズ分けがされており、最上位のエンスージアスト向けである「ROG MAXIMUS」から、ハイエンドクラスのゲーミング向けである「ROG STRIX」、コスパ重視の「TUF Gaming」、ワークステーション向けの「ProArt」、安価でビジネス向けにも採用される「PRIME」シリーズなど、かなり製品の幅が広い。
そんな同社が、2024年5月に新たに投入した製品シリーズをご存じだろうか。その名も「AYW」シリーズ。「インテル 700 シリーズ」の世代から誕生した製品だ。
すでに多くのブランド/シリーズを展開している同社が、なぜ改めてAYWシリーズを展開するに至ったのか。この記事では、シリーズの最新製品である「Z890 AYW GAMING WIFI W」を見ながら、シリーズのコンセプトや特徴について紹介しよう。
AYWは“As You Wish”の略
Core Ultra 200Sシリーズでは、CPUソケットがLGA1700からLGA1851に変更になったため、従来のマザーボードとは互換性がなくなっている。マザーボードの買い替えが必須になるため、新たに登場したのが「インテル Z890」チップセットを搭載したマザーボードだ。
同社のラインアップは14製品登場しており、16万円を超えるものから4万円台のものまで、価格の幅が広い。
Z890 AYW GAMING WIFI Wの実売価格は4万8000円前後と、ラインアップの中では比較的安価な部類だ。通常、ゲーミング向けの製品は高価になりやすいが、AYWシリーズはゲーミングを意識した設計ながら、エントリー向けのPRIMEシリーズと同等の価格帯に位置している。
英字3文字のブランド名というと、ASUSにはROGがある。ROGは“Republic of Gamers”の略称だ。それに続いて登場したAYWとはどういう意味なのかというと、これは“As You Wish”の略だという。
訳すなら“あなたのお望みのままに”といった意味になる。「ユーザーが望むようなスペックであること」「ユーザーが望むように、好きなように使えること」を製品名にかけたという。
ASUSでは、ゲーマーの様々なニーズを満たすために、複数のゲーミングブランド/シリーズを展開しており、今回のAYWでは、その中でもよりカジュアル層のゲーマーをターゲットにした製品となっている。
同社によれば、デザインの美しさ、日常の仕事や学習などにも対応できること、そしてWi-Fiを備えたエントリー向けゲーミングマザーボードであることが多くのユーザーに求められているという。こうしたユーザーの声を聞いて生まれたシリーズだからこそ、“As You Wish”という名をつけられたのだろう。
Z890 AYW GAMING WIFI Wのデザインを改めて見てみると、ホワイトカラーが目を引く。ひと昔前ではゲーミングモデルというとブラックのパーツがほとんどだったが、昨今ではPCケースやビデオカード、CPUクーラーなども含め、ホワイトのものが流行している。
そのためマザーボードもホワイトのものが登場するようになっており、Z890 AYW GAMING WIFI Wもそうしたトレンドを取り入れた形だ。ヒートシンクまではホワイトやシルバーを採用するものも多いが、本機は基板までホワイトというこだわりっぷりだ。
また、同じ価格帯のPRIMEシリーズはかなりシンプルなデザインになっているが、AYWはよりゲーミングらしい外観なのも目を引く。こちらのデザインは、宇宙船をイメージしたハイテク感のある外観を目指したものだそうで、クリアパーツを使っているのも印象的だ。
また、ASUSのマザーボードではパーツの着脱をしやすくする「Q-Design」という設計を取り入れており、本機も一部それらの機能が取り入れられている。
まず、ビデオカードを取り付けるPCIe x16スロットには、ラッチを外側に延長した「PCIe Slot Q-Release」を採用する。昨今のビデオカードは大型化しており、旧来の形状のラッチではカードの下にラッチが隠れて押しにくくなっていた。
PCIe Slot Q-Releaseなら、ビデオカードに隠れることなく簡単にロックを外すことができるようになっている。
また、SSDを取り付ける際に便利な「M.2 Q-Latch」も搭載している。同社のM.2スロットは、以前からツールレスで固定できる機能が備わっていたが、今世代ではよりシンプルな操作で着脱できるように進化した。
M.2スロットはPCIe 5.0接続が1基、PCIe 4.0接続が3基の計4基を搭載している。エントリーのゲーミング向けマザーボードとしては十分だろう。
なお、今世代の上位マザーボードでは、高発熱なPCIe 5.0接続のSSDに対応する大型ヒートシンクを標準で搭載していたりもするが、本製品のヒートシンクは薄めなので、PCIe 5.0接続のSSDを使う場合は別途用意したほうがいいかもしれない。
