ファーウェイは8月、中国・東莞市でスマートウォッチなどに用いる「HUAWEI TruSense」システムの発表会を開催した。筆者はファーウェイ・ジャパンから招待を受け、同発表会を取材してきた。また、同社の研究開発施設やフラッグシップストアなども取材することができた。
今回のメディアツアーには、多くの国のメディアが参加していたが、日本から参加していたのはフリーランスのジャーナリスト。記事化を求められたわけでもない。ファーウェイのスマートウォッチに対する“本気”を伝えるのが主旨だったと認識している。
実際、3日間にわたる取材で、ファーウェイの“現在”を知ることができた。本記事では、その「HUAWEI TruSense」の発表会と、スマートウォッチの開発のために研究が行なわれている「HUAWEIヘルスラボ」の様子をレポートする。
複数のモニタリングシステムを統合した「HUAWEI TruSense」を発表
「HUAWEI TruSense」の発表会は、東莞市内の高級ホテルで開催された。東莞市は広東省の省都・広州市と香港に隣接する深圳市の中間に位置する、著しく発展を続けている都市。ファーウェイは2018年から東莞市に広大な研究開発施設を構えている。
会場は250人ほどのキャパで、中国と国外のメディアが半々という印象。ほとんどのプレゼンテーションは中国語で、スライドは英語でも投影され、英語の同時通訳もあった。筆者は、ファーウェイ・ジャパンの方による日本語通訳を聞きながら取材した。
HUAWEI TruSenseは、従来それぞれ異なる目的のために開発された「TruSeen」「TruSleep」「TruRelax」「TruSport」などのテクノロジーを1つにまとめたもの。
個々のモニタリング技術を多次元のセンシングシステムに統合し、より高度な健康管理体験を目指している。統合によって、ウェアラブルデバイスでの測定項目が60以上に拡大され、複数の健康モニタリングに対応するシステムになるそう。ファーウェイがウェアラブル製品を手がけて約10年経つが、HUAWEI TruSenseをブランド化して、これからの10年を戦っていくという意図もあるようだ。
その後、国内でこの「HUAWEI TruSense」を採用したスマートウォッチの新製品「HAUWEI WATCH GT 5」シリーズが発表されている。
外部の大学や研究機関と連携していることもアピール
ファーウェイのヘルスケア技術は、同社だけでなく、国内外の150以上の団体や組織と提携して、研究が進められているという。発表会では、共同研究に関わる3名の専門家がゲストとして登壇し、スピーチをした。
最初に登壇した王継光教授は中国高血圧連盟の主席で、高血圧の専門家。血圧をモニタリングすることの重要性について語り、血圧を24時間モニタリングする「ABPM」の優位性など、最新トレンドを紹介した。ファーウェイは血圧計を内蔵したスマートウォッチ「HUAWEI WATCH D」を国内含めてリリースしているが、さらに機能を向上させたモデルの登場を期待してもよさそうだ。
浙江大学の徐欣博士は、メンタルヘルスの研究者。メンタル状態の予測や管理の重要性について語った。その中で、中国でも社会問題化している認知症についても言及。ウェアラブル製品を認知症の早期発見や予防に生かす取り組みも進められているという。
ヨーロッパと中国の大学などが参加して、ウェアラブル製品の標準化を推進する「INTERLIVE」というネットワークがあり、ファーウェイは2024年から2027年までの継続的なパートナーショップを結んでいる。
そのINTERLIVEを代表して、リスボン大学のLuis Sardinha教授が登壇。ウェアラブル製品の普及に合わせて、新しい指標が必要であることを説いた。ファーウェイには、HUAWEI TruSenseをより信頼性のあるブランドにしたいという意図もあるのだろう。