本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「OCPPとは?EV充電ソリューションにとっての重要性を解説」を再編集したものです。
この記事は Soracom Global, Inc. の Jason Segarra による “What is OCPP and Why is it Important for EV Charging Solutions?” を翻訳したものです。
多くの環境保護論者が望むよりも慎重に進んでいるものの、近年、電気自動車(EV)の普及率は上昇傾向にあります。自動車業界と国際政府の両方の協力のおかげで、EVは2021年の世界の自動車販売の約9%を占めました。これは前年(2020年)の4%からの大幅な増加です。
2021年以降も 2022年 14% 2023年 18% と上昇を続けています
https://www.iea.org/data-and-statistics/data-tools/global-ev-data-explorer
投資家や消費者が電気自動車について調査を続ける中で、初心者にはすぐに理解しにくい用語に出会うことがあるかもしれません。EV充電インフラを検討している人が目にする可能性が高い用語の一つに「OCPP」がありますので、その意味について見てみましょう。
OCPPとは?
OCPPは「Open Charge Point Protocol」の略で、EV充電ステーションを中央管理システムに接続するために使用されるオープンなアプリケーションプロトコルです。現場の充電器からのデータを送信し、請求や保守に必要な情報、個々の充電ステーションの使用率を提供します。また、EV充電コミュニティ全体での相互運用性を実現するための世界的な主要プラットフォームとして浮上しています。
OCPPは、E-Laad財団によって作成され、新しい(OCPP準拠の)オペレーターが既存の設備を利用できるようにすることで、新しいおよび既存のEV充電インフラを最大限に活用するのに役立ちます。これにより、専用の充電場所に完全に依存することなく運営が可能になります。また、ハードウェアの設置を将来にわたって安全にし、消費者にとって充電ステーションをより信頼できるものにします。
OCPPが広く採用される前は、多くの充電ネットワークが独自のプロトコルを使用しており、EVオーナーは特定の充電場所に縛られていました。このことが走行距離不安症を引き起こし、潜在的なドライバーの普及を遅らせていた可能性があります。オープンソースであることは、顧客がほぼどのネットワークや充電ステーションでも使用できる自由を提供するだけでなく、競争力のある価格設定のための市場を開放し、ソリューションプロバイダー間でのさらなるイノベーションを促進します。
オープンソースのプロトコルであるOCPPは、技術的にはどのEV充電ステーションでも動作可能ですが、業界で最も人気のあるプロトコルであるにもかかわらず、まだ標準化されていません。これは、すべてのEVステーションがOCPPに準拠しているわけではないことを意味し、他のサービスプロバイダーと互換性のない機器に依存しているユーザーにとって潜在的な障害となる可能性があります。
唯一のプロトコルではない
OCPPはEV充電業界で最も人気のある通信プロトコルですが、他にも注目すべきプロトコルがいくつかあります。これらの中には以下のものがあります
- OSCP(Open Smart Charging Protocol):充電ポイント管理システムとエネルギー管理システムを接続します。主な目的は、物理的なネット容量を充電ステーションオペレーターに伝えることです。また、24時間の地域電力網の容量を見積もることで、利用可能な電力でサービスを提供できるEVの充電プロファイルを理解し、更新できるようにします。
- OCPI(Open Charge Point Interface):充電ステーションオペレーターとサービスプロバイダーを接続するオープンな通信プロトコルです。これにより、EVオーナーが複数の充電ネットワークを利用できるようになり、個々のステーションの位置、価格、および利用可能性を追跡します。また、ユーザーとオペレーターのためにリアルタイムの請求データを提供します。
- ISO 15118:この国際標準は、EVと電力網の間の通信プロトコルを定義します。これにより、車両を充電器に接続するだけで充電を行うことができ、電気自動車の充電プロセスを簡素化します。
- OpenADR(Open Automated Demand Response):高需要時に電気機器(充電器など)をシャットダウンするためのデータと信号を送信するために使用されるエネルギー管理標準です。これにより、電力供給と需要のバランスを取り、高精度のデータをユーティリティプロバイダー、システムオペレーター、およびエネルギー管理・制御システム間で共有することで、高電力コストを緩和します。
OCPPはセルラー接続に依存しています
EV充電ステーションの管理、保守、監視を行うためには、OCPP準拠の充電ソリューションはインターネットへの常時接続が必要です。多くの充電ステーションは通常インターネットが整備されていない場所にあるため、セルラー接続がこの問題に対する最良の解決策と言えるでしょう。
この常時接続は、EV充電の展開にいくつかのセキュリティリスクをもたらすものの、これらの脆弱性を制限するためのいくつかの方法があります。一般的な対策としては、配備されたデバイスのすべての更新やパッチを最新の状態に保つこと、公共インターネットへのアクセスを制限すること、充電ネットワークへのアクセスを確保するために適切な認証手法を利用することが挙げられます。
EV充電ソリューションを適切に展開し、安全に運用する方法について詳しく知りたい方は、無料ウェビナー「Taking Charge: EV Infrastructure Rollouts Done Right」をぜひご覧ください。EVソリューションプロバイダーであるAmpecoのPetar Georgiev氏とともに、EV充電ソリューションの展開に伴う運用上および技術的な課題を予測し、対処する方法についてお話しします。
翻訳はソリューションアーキテクトのtakuyaが担当しました。原文はこちらです。
― ソラコム takuya @okeee0315
投稿 OCPPとは?EV充電ソリューションにとっての重要性を解説 は SORACOM公式ブログ に最初に表示されました。
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