欧州委員会（EC）が、App Storeにおいて市場での支配的地位を乱用したとして、アップルに18億ユーロ（約2930億円）を超える罰金を課したことについて、同社はコメントを公開。
安全で信頼できるマーケットプレイスを作ることを通じて、アプリ開発者に価値を提供してきたとすると自社の立場を表明。一方で、Spotifyは大きなシェアを持ち、アップルに対して何も支払っていないにも関わらず、自社にさらに有利になるよう、欧州委員会と連携してルールを書き換えようとしていると、名指しで強く非難した。
アプリ外でのサブスク課金について情報提供を禁止する
アプリ開発者との契約条項を問題視
まずは、欧州委員会の主張。アップルがiOSのアプリ開発者に対し、アプリ外で利用できる安価な代替サブスクリプションサービスやアプリ内課金とApp Store外での課金の料金差についてアプリ内で紹介すること、また代替サブスクリプションサービスのリンクをアプリに含めたり、既存ユーザーに電子メールで知らせることを禁止してきたことを問題視した。
代替のサブスク契約をユーザーに知らせないことで、料金が高止まりし、ユーザーに損害を与えたというEC側の主張
アプリ開発者に求めたこうした条項は、不公平な取引条件にあたると結論づけるとともに、約10年続いたアップルの行為により、多くのiOSユーザーが音楽配信サービスにおいて、より高額な料金を支払うことになったと推測。18億ユーロの罰金は、アップルの行為を抑止するのに必要だとしている。
Spotifyは現状のApp Storeのシステムで高いシェアを獲得
当局と連携してさらに有利になろうとしていると非難
一方のアップルは、前述のようにアプリ開発者に対して、安全で信頼できるマーケットプレイスを作るという部分で価値を提供してきたこと、アプリ開発者の大半（約86％）はアップルに手数料を支払っていないこと、ウェブ上でサブスクリプションを販売する場合はアップルに支払いが発生しないことを紹介している。
アップルは自社のアプリエコノミーへの貢献をアピールし、Spotifyがその上で成功を収めて、高い市場シェアを獲得しているにも関わらず、さらに要求を強めていると非難する
そして、このApp Storeを活用して、どこよりも成功ストーリーを体現しているのがSpotifyだとする。その後の段落では、Spotifyは欧州市場の音楽配信サービスで50％以上のシェアを持ち、特にiOS上でのシェアは、Android上のシェアを上回っている事実を記すことで、前述の主張が正しいことを暗に示唆している。
また、Spotifyのアプリはアップル製デバイスで1190億回以上ダウンロードされるとともに、Spotifyとアップルの各サービスが連携するよう協力するなど、アップル側は多くの努力と投資をしているにも関わらず、Spotifyは（アプリ外での課金システムを採用するため）何もアップルに支払っていない事実があるとする。
こうした関係にありながら、さらに要求を強めているのがSpotifyだとアップルは強く非難。また、欧州委員会に対しても、Spotifyが主張する証拠がない理論によって今回の決定がなされたこと、また今回の決定はトップシェアを持つ欧州企業（Spotify）の地位を強固にするだけだと反論。上訴するとしている。
