アップルが提案するwatchOSアプリの「3つの基本レイアウト」
ウィジェットと間接的に関わるトピックとして、watchOS 10ではアプリのデザインが大きく変わります。Apple Watchのスクリーンを最大限までワイドに使ったり、例えば「ノイズ」アプリのように現況の環境ノイズレベルを「背景色で伝える」ような視覚表現にも広がりが生まれます。
アップルは、新たにApple Watchのスクリーンをフルに活用したwatchOSアプリ体験を引き出す「3つの基本レイアウト」を定義しました。これをデベロッパー向けのリソースとしてWidgetKitに追加して、提供を始めています。基本となるレイアウトは「ダイアル」「インフォグラフ」「リスト」の3種類です。
デベロッパーは従来通り、watchOSアプリのデザインを自由に決めてユーザーに提供することもできますが、アップルが提案する基本レイアウトを活用することで、革新的なアイデアを形にしたいデベロッパーが、アプリのデザインにかける負担を軽減しながら、高度なアプリをユーザーに提供できるメリットが生まれます。
watchOS 10のスマートスタックに対応する
ウィジェットが種類も充実しそう
最後にwatchOS 10の「スマートスタック」について少し深掘りしながら紹介します。スマートスタックはwatchOSのすべての文字盤に対応しています。文字盤の画面でApple WatchのDigital Crownを回すとスマートスタックが表示されます。
スマートスタックには、最大7件までのウィジェットを選択して配置できるようです。パブリックベータプログラムの段階でも、既にアップル純正のアプリ以外にもwatchOS 10のスマートスタックとしてウィジェットを追加できるアプリがありました。
スマートスタックを表示してから任意のウィジェットを長押しすると、ウィジェットが選択できる状態になります。ウィジェットの種類には長方形のものと、小さな丸いアイコンのものがあります。長方形のウィジェットは選択モードの状態で右上にある黄色いアイコンをタップすると、常にスマートスタックの最上位にピン止めができます。
watchOS 9からWidgetKitのフレームワークに組み込まれたことにより、デベロッパーが開発環境から該当するオプションを選択すると、Apple Watchの文字盤に配置するためのコンプリケーションをスマートスタックのウィジェットとしても簡単に提供できます。
同じようにiOSのロック画面用に作ったウィジェットも、コードを書き換えることによってwatchOSに流用できるそうです。各デバイスの最新OSが正式リリースを迎えた頃には、watchOS 10のスマートスタックとして使えるウィジェットがどれほど充実するのか楽しみです。
watchOS 10のパブリックベータ版は誰でも無料で試せます。ただし、ベータ版のソフトウェアは正式リリース前のものであることから、現在時点では不完全な状態で公開されています。導入したデバイスに動作の大きな不具合が発生する場合もあるので、可能であれば現在メインで使っていないデバイスにインストールして試用することをおすすめします。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。