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NB-IoTで衛星通信を実現するSkylo CEOがサブライズ登壇

真のIoTはこれだったのか? もう1つの基調講演で安川CTOが問いかける

大谷イビサ 編集●ASCII

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モノ同士がフラットにつながる世界 そのアプローチの先は混沌だった

 最後、安川氏がテーマとしたトピックは「世界中の人とモノをつなぎ、共鳴する世界へ」のうち、「共鳴する」という部分。「つながるところまではだいぶ実現したが、共鳴するとはどういうことなのか」と安川氏は聴衆に問いかける。

 過去を振り返れば、IoTやユビキタスなどの言葉が使われ始めた頃、想定していたのはモノがもっとフラットにつながることだった。モノ同士が直接連携したり、集まったデータから恩恵を受けたりといったことを想定していたため、IPv6のような広大なアドレス空間の利用へと議論が進んだという。

 しかし、実際にそのアプローチの先にあった世界は実は混沌だった。監視カメラが悪用されたり、デバイスが乗っ取られ、ボットネットに参加させられたり、データが漏えいしたりといった事態だ。そのため、ソラコムが実現してきたのは知性とロジックを持つクラウドにデバイスを直結させるシステム。セキュリティの高くないインターネットはあくまでオプションという扱いだった。

モノがもっとフラットにつながる世界

その先にあったのは混沌だった

 セキュアな閉域網であるSORACOM AirやArcを利用すれば、通信の傍受は不可能だ。SORACOMプラットフォームはファイアウォールで守られており、ユーザーのシステムとも閉域網で通信されているので、攻撃できない。また、外からの傍受への耐タンパ性が高く、IMEIロックがかかったデバイスから認証情報を取得するのも難しい。ソラコムを利用すれば、それだけでセキュアなIoTシステムを構築できるのだ。

 一方で、本来想定されていたIoTとは組織やドメインを超えてモノ同士が連携し合う世界。「全然悪い意味ではないけど、これではインターネット of Thingsではなく、イントラネット of Thingsじゃないかなと最近よく思う」と安川氏は語る。

今の形はイントラネット of Thingsではないか

 ソラコムがこれまで実現してきたクラウドとデバイスのセキュアなIoTは一つの理想型かもしれない。しかし、当初描いていたのは監視カメラで混雑を検知したら、車が渋滞を避けてルーティングしたり、工事現場の映像を見ながら、建機が掘る方向を判断したり、異なるシステムやデバイス同士が連携して、価値を出すことのはず。まさに「共鳴する」世界だ。

本来実現したかったIoTへ 鍵はAI

 これを実現するためには安川氏は、やはり安心かつプライバシーに配慮したデータの共有、大規模データの保存とスケーラブルにクエリする仕組み、そしてAIや生成AIの利用などが鍵になると指摘。この取り組みの1つとして、プリンシパルエンジニアの松井基勝氏がソラコムにおける生成AIへの取り組みについて披露した。

ソラコム プリンシパルエンジニア 松井基勝氏

 ソラコムは従業員の福利厚生サービスとしてChatGPTの利用料金を補助している。ChatGPTとIoTをテーマにしたセミナーを開催したり、SlackでChatGPTのボットを運用したり、利用に関してはかなり前のめりだ。また、ソラコムのドキュメントを元に技術的な質問に回答してくれるボットも稼働し、ユーザーにも開放されるという。

 ここまでChatGPTやLLMが実用的なのであれば、蓄積されているデータでの洞察も可能なのではないかということで生まれたのが、「SOARACOM Harvest Data Intelligence」になる。文字通り、SOARACOM Harvest Dataで用意されたボタンを押せば、傾向や異常値チューニングしたプロンプトが選択でき、数秒で回答が戻ってくる。「データの内容についての類推はけっこうできる。簡単に利用できるにしては、かなり有用なインサイトが得られるので、ぜひご活用いただきたい」と松井氏は語る。

 安川氏は生成AIとIoTの可能性について、「アノニマイズやフィルターを自動化したり、異なるデータを共通フォーマットに変換することまで、自動化できるのかもしれない。こうしたことが積み重ねられていくことで、先ほど話したようなよりよいデバイスの連携ができる世界が見えてくる」と語る。本来のIoTの実現に向けて超えなければならないさまざまな壁も、今のAIのテクノロジーをもってすれば、超えることができるのでは?という意見表明であろう。

 最後、安川氏はIoT×AI、LLMなどの活用を模索していく東大の松尾研究所との共同ラボ「IoT× GenAI Lab」について改めてアピール。「アカデミックなリサーチをするつもりはなく、お客さまのデータでなにかできるかもしれないというプロフェッショナルサービスやプロトタイプの取り組み。もしここにIoT×AIを適用していったらいいのではというお客さまは、ぜひいっしょにお話しできればと思っています」と安川氏。顧客やパートナーとの共創こそが目指す世界を実現できるとアピールし、基調講演を終えた。

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