またひとつ、穴が消えた。
アップルは9月7日(現地時間)、スティーブ・ジョブズシアターで、スペシャルイベントを3年ぶりにリアルで開催した。iPhone 14シリーズが発表される中、アメリカで売られるモデルに関しては、SIMカードトレイが廃止され、eSIMのみの対応となるとしたのだ。
もともとアップルはeSIMに対して積極的であった。
2016年発売のiPad Proから「Apple SIM」としてeSIMを内蔵。特定のキャリアや通信事業者のプランをオンラインで購入して契約情報を書き込めた。日本ではKDDIなどが対応する通信事業者として、名乗りを上げていた。iPad ProのeSIMにより、海外に渡航する際も比較的安価なデータ通信が可能であった。
2018年にはiPad Proにおいて、Apple SIMではなく、汎用性のあるeSIMに変更となり、契約する通信会社を自由に選ぶことができるようになった。
今回、アメリカではeSIMのみでの契約となるため、3大キャリアであるAT&Tやベライゾン、TモバイルUSとアップルは準備を進めてきたようだ。
eSIMになることで、オンラインで契約し、そのまま契約情報をeSIMに書き込むことができる。さらにこれまでは、eSIMを書き込んだiPhoneから別のiPhoneに機種変更する際は、新しいiPhoneにeSIMカードを再発行してもらう手続きをキャリアにお願いしなければならなかったが、iPhone 14からは、まるで電話帳のデータのように、eSIMの契約情報を古いiPhoneから新しいiPhoneにダイレクトに移行できるようになった。
これまで、古いiPhoneにピンを刺し、SIMカードトレイを空けて、小さなSIMカードを丁寧に扱って、新しいiPhoneにピンを刺し、SIMカードトレイを空けて、SIMカードを載せて、しまうといった面倒な作業をしていたが、これが一切、不要となるのだ。
アップルではeSIMのみの対応とすることで「安全性が高まる」としている。iPhoneが盗まれてしまった場合、プラスティックのSIMカードであれば、iPhoneから抜かれ、勝手に通信されてしまう。しかし、eSIMであれば、iPhoneにロックがかかっていれば、通信を勝手に使われることはないからだ。
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