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新社長の田井祥雅氏、「OTセキュリティの推進」「サービスビジネスの強化」などを掲げる

フォーティネットジャパン新社長が2022年度の事業戦略を説明

2022年09月05日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 フォーティネットジャパンは2022年9月2日、新社長の就任に合わせた記者発表会を開催した。今年7月に社長執行役員に就任した田井祥雅氏は、日本市場の優先課題として「顧客との関係性強化」「OTセキュリティの推進」「サービスビジネスの強化」という3つを挙げた。

フォーティネットジャパンの今年度優先課題

フォーティネットジャパン 社長執行役員の田井祥雅(たい よしまさ)氏。フォーティネットには2020年11月に入社。これまで副社長兼メジャーアカウント統括本部長としてエンタープライズビジネス、OTセキュリティなど新規分野を開拓してきた

 2000年に米国で創業したフォーティネットは、次世代ファイアウォール(NGFW)やUTMの波に乗って事業を成長させてきた。直近の会計年度(FY2021)におけるグローバルの売上は5629億円以上。また保有する特許は1255件に及ぶという。

 フォーティネットの差別化ポイントは、自社でASIC(プロセッサ)やOSを開発し、そこに独自の脅威インテリジェンスを統合することで効率的にセキュリティを提供することだと、田井氏は説明する。

 「汎用のCPUは“2年で2倍”というムーアの法則に沿って(性能が)成長するが、ネットワークを流れるデータの量は半年で2倍になる。つまりネットワークのセキュリティを保つとなると、2年で倍というCPUの成長スピードでは論理的に追いつかない。そこでASICを自社開発する必要性が生まれる」

 ASICを組み込んだアプライアンスの販売にフォーカスしたこともあり、NGFW/UTMアプライアンスの総出荷台数ベースではシェア35%以上、日本市場に限定すると55%以上のシェアを持つという。

エッジ/IoT、DX加速を支えるサイバーセキュリティを提供

 コンピューティングのトレントは常に変化を続けており、セキュリティもそれに追随していく必要がある。現在はこれまでのクラウド=集中型から、エッジ/IoT=分散型へとトレンドがシフトしている最中だ。また、あらゆる企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組み、コスト効率の改善から新たなビジネスの創造までを目指しているのも大きなトレンドの変化だ。

 このトレンドに呼応してフォーティネットが注力するのが「ゼロトラスト」だ。これをIoTにまで拡大して「超ハイブリッド時代のサイバーセキュリティ」を提供するという。

 従来のサーバーやPCとは異なり、IoTデバイスにはセキュリティソフトがインストールされていないものも多くある。田井氏は「フォーティネットはネットワークの中で、流れるものを守ることができる」と説明する。

 「DXの中で、自由度と創造性を作っていく時に足かせとなっているのがセキュリティ。ゼロトラストは、これに対する1つの答えになる」(田井氏)

自動車(コネクテッドカー)におけるゼロトラストモデルの例。自動車、IoT機器で動くセキュリティを開発し「どこにいてもセキュリティを守る世界を提供していく」とした

日本市場ではサービスビジネスも強化していく

 “超ハイブリッド時代”のセキュリティアプローチとしてフォーティネットが進めるのが、ファブリック戦略だ。次世代ファイアウォール、NAC、エンドポイントセキュリティなど同社が分野別に持つ約50種類ものセキュリティ技術をメッシュで繋ぐというアプローチだ。従来のSIEMでは得られないリアルタイム性が得られるとメリットを説明する。「お互いが連携することにより、セキュリティに悪い影響をもたらすものをより高速に止めることができる」と田井氏。

フォーティネットのファブリック戦略。このファブリック戦略を強化すべく、同社は特化した技術を持つ企業の買収、オープンなエコシステムの両輪で進めているという

 こうした方向性のもと、グローバルではファイアウォール(SMBからエンタープライズへ)、SD-WAN、OTセキュリティの3分野に注力していくという。Fortinet全体では、2025年にはグローバルで売上高100億ドルという目標を掲げている。

 日本市場における2022年度の優先課題としては「顧客との関係性強化」「OTセキュリティの推進」「サービスビジネスの強化」という3点を掲げる。

 まず「顧客との関係性強化」については年に2回、顧客企業の幹部レベルを招いてセキュリティ全体について話し合う「Fortinet Executive Forum」を開催している。さらに顧客が訪れる「エグゼクティブブリーフィングセンター」の設備拡充、サイバーセキュリティの情報発信を行う「サイバーセキュリティラウンジ」などの取り組みも継続する。

 「OTセキュリティの推進」では、9月に年次イベント「Secure OT Summit」を開催するほか、月例のOT座談会も開催しているという。

 「サービスビジネスの強化」も図る。現在提供しているサービスには、ネットワークとセキュリティをクラウドから提供する「FortiSASE」、攻撃者の視点でモニタリングする「FortiRecon」、クラウドネイティブを保護する「FortiCNP」、インテリジェンスの「FortiGuard」といったラインナップがある。

 現在、日本のセキュリティ市場は製品売上の成長率が10%程度なのに対して、サービス売上は30%程度と大きく伸びていると言われる。田井氏は「顧客が抱えているセキュリティの課題に対して、テクノロジーだけではなく全体として解決することが求められている」と述べ、セキュリティ人材の確保が難しくなっていることもあって、サービスに対する市場のニーズは高いと見ている。

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