文面のテンプレートも提供、企業だけでなくフリーランス個人でも使いやすく
Dayz、規約や同意ログをクラウド管理する「ルールテック」α版提供開始
2022年07月28日 11時00分更新
インターネットサービス開発を手がけるDayzが2022年7月28日、規約管理クラウドサービス「ルールテック α版」(以下、ルールテック)の提供を開始した。規約文や契約文の作成/公開、バージョン管理、同意ログ(同意を得た履歴)管理といった機能を提供するSaaS。企業だけでなくフリーランスの個人事業主でも使いやすいように、リーガルチェック済みの各種規約文や契約文のテンプレートも提供する。
同サービスはすでに、ディスプレイメーカーのJAPANNEXTにおいてアンバサダープログラムの規約管理に採用されているほか、「OKINAWA Startup Program 2021-2022」に採択されている。Dayzではまずα版を無料公開し、ユーザーからのフィードバックを受けて機能強化と機能改善を進めたうえで、2022年中に正式版を公開予定だとしている。
規約と“拡張規約”の公開/管理機能を提供
Dayz 代表取締役の玉城 朝氏は、ルールテックが主な管理対象とするのは「規約、あるいは拡張規約」だと説明する。“拡張規約”というのは同社の造語だが、多数の相手と個別に結ぶ契約の中でもとくに契約文に共通部分が多い(個別性が低い)ものを指している。
これまで多く提供されてきた電子契約サービスは、個々にまったく異なる文面で契約を結ぶ「個別性の高い契約」にフォーカスしていた。これを“1:1の契約”とすると、ルールテックがターゲットとするのは“1:Nの契約(規約)”だという。多数のユーザーが利用するサービス利用規約やプライバシーポリシーをはじめ、社内規定、アルバイト契約、業務委託契約、秘密保持契約(NDA)など、文面の全部または大部分が同一で済むものを指している。
こうした規約文や契約文について、作成支援、バージョン管理、公開管理、同意ログ管理などの機能を提供するSaaSがルールテックというわけだ。
作成機能では、よく利用される規約/拡張規約のテンプレートが用意されており、法的な文書作成に慣れていないユーザーでも簡単に文面が作成できる。また、拡張規約については、個別にフォーム入力する部分(氏名や住所、その他の個別に異なる内容)と共通表示(共通の規約文)部分を分けて作成する機能を備える。
作成した規約/拡張規約には独自のURLが発行され、自社のWebページで公開したり、明示的に同意を得たい(契約を結びたい)個々の相手にメール送信したりすることができる。メール送信の場合は別途パスコードも送信し、第三者が閲覧/入力できないようになっている。
相手側の同意はすべてログ記録される。このとき、同意を得た時点での規約文や個別内容が記録されるようになっているので、個々にどのような規約同意を得たのかを正確に記録、確認できる。
玉城氏は、われわれの身の回りには数多くの規約や契約が存在しているものの、紙による保管の手間、過去の文面の保存(バージョン管理)、いつ誰と合意したかの記録(ログ管理)といった点で課題があったと指摘し、それらをルールテックで解決したいと話す。
またユーザーとしては企業だけでなく、フリーランスや個人事業主、さらには地域のスポーツチームといった小規模な組織も想定している。サービス利用価格は、さまざまなユーザーが利用しやすいように今後検討していく方針で、たとえば契約1件ごとの利用と一定件数までの固定額利用など、利用規模に応じて選択できる価格体系などが考えられると述べた。
「現在提供されている電子契約サービス市場は『契約書』に大きくフォーカスしている。一方で、ルールテックのような『規約をシステム的に運用する』という部分は、他のプレイヤーはまだ着手しておらず、未開拓の市場だと認識している。Dayzではこの市場に先行して参入し、ユーザーを獲得して信頼を得ていきたいと考えている」(玉城氏)
なおα版の無償提供は、企業、フリーランスのどちらでも応募できる(2022年9月30日まで)。α版利用者には、正式版(有償版)リリース後も一定期間、無料で利用できる特典を付与する予定だとしている。