本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「店舗の未来をAIカメラで切り拓くAWL株式会社」を再編集したものです。
こんにちは、ソラコムのパートナーマーケティング 小出です。
本日は、新たにSPSの「認定済ソリューションパートナー」となった、株式会社AWL(以下「AWL」)のAIカメラソリューションについて、代表の北出様へのインタビューの内容を交えてご紹介します。
設立6年目のAWLが早期に事業を立ち上げることができた経緯や、ユーザー課題を解決するための独自の取り組みなど、IoTプロジェクトに取り組む企業の皆様にも興味深い内容となっておりますのでぜひご覧ください。
IoTシステムにおいては、センサー、デバイス、通信、セキュリティ、クラウド、アプリケーションと複数の専門領域にまたがったシステム構築が必要となります。ソラコムはIoTのエコシステムとして「SORACOMパートナースペース」(以下、SPS)という国内最大級のIoTパートナープログラムを提供し、デバイス、テクノロジー、ソリューション、インテグレーションとそれぞれの分野で技術と知見をお持ちの企業との協業を進め、市場を拡げてお客様の課題を解決、新たな活用法の創出を目指しています。
AWLの紹介
ソラコム:AWLは2016年に北海道で事業スタートされたと伺いました。また、従業員数約80名という規模でありながら、すでに海外にも事業所を拡大されていることも印象的です。会社設立の経緯などをお伺いできますか?
AWL 北出社長 (以下、北出氏):私を始めとして北海道出身者、北大出身者が起業をしたところから、いまも北大発ベンチャー認定企業としてキャンパス内にもオフィスを構えています。地域を問わずに世界中から才能を集めたいという思いで、スタート時から留学生だけでなく海外現地からの採用も積極的に行っており、今はインド、ベトナムにも拠点を構えています。(より詳しい企業情報は、こちらをご覧ください。)
ソラコム:創業当初からグローバルを見据えていたということですね。また、株主に北海道では最大級の店舗数を持つドラッグストアチェーンの母体「サツドラホールディングス」(以下、「サツドラ」)が入っているのも印象的です。リテール店舗を持つ会社のIT企業への出資はそれほど一般的ではないと思うのですが、どのようないきさつだったのでしょうか?
北出氏 :もともとサツドラの店舗内で使うシステムの受託開発を行っていました。ちょうどそのころ、AIカメラ技術の製品化において実店舗でのデータを使わせていただきたいニーズがあり、IT業界にも理解のあるサツドラの社長にご相談したところ、資本提携を提案いただいた次第です。実際、200店舗を超える実店舗のオペレーションを通じて蓄積したノウハウにより、ソリューションの開発や発展にも大きく寄与しています。
AWLソリューションの特徴
ソラコム:なるほど、受託開発においての信頼関係、また北海道という地域の中での協業という意味でも、サツドラさんに早い段階で協力を仰げたことは、御社の躍進につながっていそうですね。
では、ここから具体的にAWLの主力ソリューションであるAWL Liteについてお話をお伺いできますか?
北出氏:「AWL Lite」は、店舗内に設置したカメラで撮影した映像をリアルタイムにAI解析し、視聴率や視聴者属性分析情報をもとにターゲットに合わせた広告を店舗内のサイネージに配信するというソリューションです。このソリューションの特徴は、デバイスの垣根なく、汎用的なカメラによる映像をAIで分析できる、というところです。開発初期は、特定のデバイス上で動作するソフトウェアとデバイスのセットで提供をしていましたが、ハードウェアの制約を受けずにソリューションを広範囲に提供していくためには、ハードウェア依存部分を可能な限り少なくし、お客様が既に持ちのデバイスにアドオンできる形にするのが重要だと考えました。
ソラコム:お客様の既設のデバイスを利用できることで、導入時の時間やコストを低減したということですね。また、ソリューションを大規模に展開していく際に直面した課題を解決するため、非常に先進的な技術を開発したと伺いましたが?
北出氏:当社のソリューションを更に広く活用いただくためには、安価なハードウェア上でも動作できるように、分析に用いる機械学習モデルを軽量化することが必須ですが、汎用性と分析の精度を保ちながらそれを実現することは非常に困難でした。また最適化をハードウェア毎に行うには多大なコストがかかります。そこで当社は、機械学習モデルを極小化し、ハードウェア環境に合わせたチューニングを半自動化することで、低コスト・高精度な最適化を実現しました。この「ファインチューニング」は特許化し、「AWL Lite」を利用しないお客様やデバイス・ソフトウェアベンダーの方にも提供しています。この「ファインチューニング」の開発に際しては、先ほどお話のあがったサツドラさんの店舗にて、大規模な実証実験を行うことができたのが大変役立っています。
ソラコム:自社のソリューション展開のために開発された技術を、他社にも提供していくというのは非常に画期的ですし、AIカメラ全体の市場を活性化させていく非常に有意義な試みだと思います。そのようなところにも「業界全体を底上げしていく」という御社の意気込みを感じるとともに、「IoTの民主化」を掲げるソラコムとの親和性を感じました。
最後に、御社からソラコム、またはSPSへの要望・期待などはおありでしょうか?
北出氏:ソラコムとは、SPSに参加する以前から取引があり、IoT向けのサービス、ソリューションに常にチャレンジしている企業、という印象です。また、今回SPS認定パートナーになったことで3月のSPS会にてソリューション紹介をしたところ、その結果数社のパートナーから問い合わせをいただき、案件にもつながりそうです。引き続き、SPSのパートナーマッチングの機能に期待しています。
ソラコム:引き続き、パートナーの皆様のお役に立つ場をご提供できるよう頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました!
SPS参加のメリットとSPSへの参加方法
今回のAWLのように、SPSには様々なソリューションをお持ちのパートナーがあつまっており、その数は780社にも上ります。ソラコムは、SPSという場を通じて、引き続きパートナー同士をつなぎ、新しい価値を提供することで、IoTの広がりを支援していきたいと思っています。
まだパートナーとしてご登録いただいていない方も、SPSは随時参画企業を募集しています。登録にかかる時間は3分ほど、ぜひこちらからご申請ください。また、SPSについてより詳しくお知りになりたい方は、ぜひこちらの「IoTのパートナープログラム「SORACOMパートナースペース」に参加する3つのメリット」も参考になさってください。
今後とも、ソラコムはSPSパートナーのみなさまとともに、お客さま企業のIoT活用をサポートしてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。
― ソラコム 小出
投稿 店舗の未来をAIカメラで切り拓くAWL株式会社 は SORACOM公式ブログ に最初に表示されました。
この連載の記事
-
第466回
デジタル
カメラとAIで楽器演奏シーンを簡単に残す、IoTプロトタイピングの裏側 -
第465回
デジタル
数千を超えるIoT機器を管理!生成AIで設備運用を効率化するhacomonoの挑戦 -
第464回
デジタル
SORACOMのビジネスパートナープログラムに、新たに5社の認定済パートナーが参画、SORACOM Harvest Data で日時データをタイムスタンプとして利用可能に takuyaのほぼ週刊ソラコム 08/31-09/13 -
第463回
デジタル
SORACOM Lagoon 3 の Alert rule の考え方をマスターして、最適な通知を作成 -
第462回
デジタル
LTE USB ドングル UD-USC1 を SORACOM サービスと組み合わせて利用する -
第461回
デジタル
EV充電インフラを保護する5つの方法 -
第460回
デジタル
IoT プロジェクトの課題を解決する、SORACOM サービスの活用事例 -
第459回
デジタル
ATOM Cam 2 専用 LAN アダプターを販売開始、ソラカメのクラウド録画マルチストリーミング再生機能をリリース takuyaのほぼ週刊ソラコム 08/17-08/30 -
第458回
デジタル
IoTで接続された充電ステーションがEVの普及を促進する -
第457回
デジタル
SORACOM Napterがさらに便利に!リモートアクセスの安全性と利便性を両立したWebターミナルのご紹介