第67回 SORACOM公式ブログ

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産業現場で役立つIoTデバイスとは?PLCの遠隔監視システムも解説

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 本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「産業現場で役立つIoTデバイスとは?PLCの遠隔監視システムも解説」を再編集したものです。

みなさんこんにちは、ソラコムの熊崎(ニックネーム: nao)です。
本ブログは、先日多くの方にご参加いただいた、SORACOM Device Meetup #7 産業現場で使えるIoTハードウェア特集イベントのレポートです。本イベントの動画も公開されていますので、お時間がある方はこちらもぜひご覧ください。

SORACOM Device Meetupとは?

SORACOM Device Meetupは、IoTデバイスの概要や技術情報、活用事例を通じて、IoTで何ができるのか?どんなことに使えそうか?を皆さんと考えていく勉強会です。IoTデバイスの利活用や開発方法を学んだり、購入前の情報収集として参加いただけるイベントです。

IoT化に必要なデバイスの機能とは?

ソラコムテクノロジー・エバンジェリストの松下が、既存の機器をIoT化させる3つの方法と、産業現場で必要なデバイスの機能を解説しました。機器にIoTデバイスを取り付けることで現実世界をデジタル化して、データの分析や予測を可能にします。

現場の機器をIoT化させる3つの方法

現場の機器をIoTに対応する方法は、大きく3つです。

1. 既存の機器にダイレクトに通信機能を取り付ける(ダイレクトパターン)
機器に通信モジュールのオプションを取り付けたり、通信機能を持つUSBドングルを後付けする方法です。機器自体をIoTデバイス化するため、機能を最大限に使えたり、操作や制御が容易になります。

2. ルーターやゲートウェイの中継機を設置する(ゲートウェイパターン)
ダイレクトパターンが難しい場合は、機器から得られたデジタルデータを「中継機」によってクラウドと連携するゲートウェイパターンが考えられます。こちらは、機器と中継器がネットワーク(Wi-FiやBluetooth、有線LAN、シリアルポート等の通信) でつながることが条件となりますが、機器自体の変更は最小限で済むため、多くの現場で導入しやすいメリットがあります。

3. 取得したいデータをカメラで撮影する(カメラパターン)
現場の機器からデジタルデータを得られない、またはネットワーク接続もできない場合は、カメラで撮影することでアナログデータをデジタル化できます。例えばメーター読みや、在庫の有無などが考えられます。既存の機器に一切手を加えることなく始めることができる反面、設置環境やカメラとクラウドを連携するためのネットワークを検討する必要があります。

3つのパターン別IoTデバイス例

必要なIoTデバイスの要件

産業現場は家庭内と異なり、例えば温度や電源環境への配慮が必要となります。そこで、産業の現場で必要となるIoTデバイスの機能の検討方法を紹介しました。

最初に注目すべきポイントは稼働環境です。高温、氷点下、多湿、埃が舞った環境や、屋外に置く場合は雨風など、使われる環境を考える必要があります。さらに、防爆対策といった安全面や認証がついているかなど法規制の確認も忘れてはなりません。

ここまでは “動かすための機能” を見てきましたが、ハードウェアはいつかは故障します。ビジネスにおいて故障は機会損失になりえるため確認しておきたいポイントです。そこで最後は、故障に備えた心構えや対応策を紹介しました。デバイスの中でもよく故障する箇所として「稼働部品」「電源」「ストレージ」の3つであり、強化方法が産業向けハードウェアの価値だと締めくくりました。

産業用LTEルーターの特徴と利用事例 ― アイ・オー・データ機器

金沢に本社を持つ、PC/周辺機器のメーカーのアイ・オー・データ機器の斎藤様にご登壇いただき、ソラコムでも取り扱っている産業用LTEルーターUD-LT1/EXの特徴と利用事例をご紹介いただきました。

主な使い方としては、有線LANポートは社内/構内LAN、LTE通信でクラウドに接続して通信を中継する「ゲートウェイパターン」向けの機器です。LTE通信は、NTTドコモまたはKDDIに対応しており、SORACOM IoT SIMでも対応SIMが数多くあります。

産業用途デバイスは厳しい環境で使われることが多いからこそ、-20〜+60度の動作温度範囲を持っています。

UD-LT1/EX製品仕様

実際に雪国北海道・札幌で、玄関先や駐車場の雪を溶かすロードヒーティング機器を遠隔からON/OFFするために利用されています。本機機は防水対応ではないため、別途ケースは必要となります。冬はマイナス10度、夏は50度を超える環境で使われても安全なデバイスです。

講演資料(PDF)はこちら

PLCデータ収集に特化したIoTゲートウェイの特徴と事例 ― 金沢エンジニアリングシステムズ

工場内の機器制御によく使われるのがPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)です。昨今はこのPLCを遠隔で制御したいという要望があり、それを実現する方法として紹介いただいたのがKES IoT Logicです。こちらは金沢が本社の組込みソフトウウェア・システム開発企業、金沢エンジニアリングシステムズの宮上様から発表いただきました。

KES IoT Logicが対応しているPLCであれば、データ収集や制御がプログラム無しに行えるようになっており、PLCとの中継に特化した「ゲートウェイパターン」として利用可能です。

KES IoT Logicの製品仕様

お客様事例で紹介いただいたのが、新明和工業様のターボブロワ(排水装置)のIoT化です。ターボブロワーの制御に使用しているPLCとクラウドをつなげる部分にKES IoT Logicが使われています。遠隔から機器の稼働状況を確認したり、異常時にメール通知を受けたりすることが可能になり、設備管理業務の人手不足の解消を実現しています。

講演資料(PDF)はこちら

PLCに接続!バイオマスボイラーの遠隔監視を実現 ― ホクレア・システムズ

最後は、空調機の制御システムのIoT化を支援しているホクレア・システムズの鈴木様に、バイオマスボイラーの監視システム事例をお話しいただきました。

ボイラーの遠隔監視システム

ボイラーの遠隔監視をするため、センサーを取り付けてデータをPLCに集約し、そのデータを中継器(UD-LT1/EX)経由でクラウド連携しています。監視項目はボイラーが作る熱量に加え、要素として燃料チップの残量や水分量と多岐にわたります。このデータは可視化はもちろん、異常値の通知をするようにし、お客様と情報共有できる仕組みを作っています。

講演資料(PDF)はこちら

最後に ~ 次回の勉強会のご案内

今回は主に中継器を利用する「ゲートウェイパターン」のご紹介になりました。ソラコムではIoTの手順書「IoTレシピ」にてUSBドングル型LTEモデムによるリモートデスクトップへのアクセス(ダイレクトパターン)や、AIカメラによる文字読み取り(カメラパターン)も紹介しました。

その後、発表者・参加者全員※で記念撮影をして本会を終了しました。今回も数多くの方にご参加いただき、大変感謝しています!! (※ビデオがONにできる方へ呼びかけいたしました)

参加者との集合写真

2/21 IoT デバイスセキュリティを考える勉強会

ソラコムでは、定期的にデバイスや、IoTシステム構築に欠かせない要素をテーマに勉強会を実施しています。次回2/21(月)は、IoTデバイスのセキュリティを担保する「セキュアエレメント」をテーマに開催します。IoTデバイスセキュリティの考え方から、セキュアエレメントの特徴、その使い方まで幅広く学習できる機会です。興味のある方は、ぜひご参加ください。

概要やお申し込みはこちらのページをご覧ください。

― ソラコム 熊崎(nao)

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