第63回 SORACOM公式ブログ

ソラコム公式ブログ

【Ask SA!】 産業用LTE ルーターを使い、閉域網内でPLCを遠隔メンテナンス:KEYENCE KV-8000 編

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「【Ask SA!】 産業用LTE ルーターを使い、閉域網内でPLCを遠隔メンテナンス:KEYENCE KV-8000 編」を再編集したものです。

こんにちは。ソリューションアーキテクトの桶谷(ニックネーム: takuya)です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨今、ソラコムにお寄せいただく声の中で多いのが、製造業でよく利用されている「PLC」(Programmable Logic Controller)を遠隔監視・操作したい、というご要望です。このご要望に対して IoT 通信を活用することで、遠隔地の状況を知ったり、機器の操作ができます。
以前に SORACOM IoT レシピ:IoTで、PLCを安全に遠隔メンテナンス というレシピで MELSOFT 接続をサポートする三菱電機製 PLC を対象とした設定方法をご紹介しておりますが、今回は KEYENCE 製 PLC を対象として KV Studio で接続する設定方法をご紹介します。

今回利用する PLC と産業用 LTE ルーター

KEYENCE 製 KV-8000産業用 LTE ルーター UD-LT1/EX を使用します。

こちらの KV-8000 に KV-PU1(AC 電源ユニット) を組み合わせています。

全体の構成は以下の図の形になります。

以降はレシピに沿って、レシピと異なる部分のみをご紹介していきます。

準備

レシピの準備と基本的には同じですが、KV-8000 の USB ポートは USB Type-B のため USB ケーブルは (USB A or USB C) – USB B をご用意ください。

PLCのEthernetポートにIPアドレスを設定する

パソコンと PLC の CPU ユニットを USB ケーブルで接続し、KV Studio から PLC に通信できる状態にしておきます。

KV Studio のナビゲーションで [USB] を選択します。

メニューから[モニタ/シミュレータ] – [PLC読出]を選択し、PLCの設定読み込みを行います。

読出項目の一覧から[ユニット設定情報] のチェックがオンになっていることを確認し、[実行] ボタンをクリックします。

KV Studio のメニューの [ツール] から [ユニットエディタ] をクリックし [ユニットエディタ] を開きます。

[ユニット設定(2)] タブをクリックし、 [基本] – [IPアドレス] に192.168.8.101を入力します。

[ルーティング設定] – [ルーティング設定]を「する」に変更し、[宛先IPアドレス1]に 10.128.0.0、[宛先サブネットマスク1]に 255.128.0.0、ルータIPアドレス1に 192.168.8.1 を設定します。

※デバイスサブネットIPアドレスレンジに 10.128.0.0/9 以外を設定する場合は、上記ルーティング設定も合わせて変更してください。

[OK] をクリックしダイアログを閉じます。

メニューから[モニタ/シミュレータ] – [PLC転送]を選択し、PLCへの設定書き込みを行います。

転送項目の一覧から[ユニット設定情報] のチェックがオンになっていることを確認し、[実行] ボタンをクリックします。

これで PLC の設定は完了です。

LTE ルーターのセットアップ

[転送設定] までレシピの通りに進めます。
KV Studio 接続を PLC に転送する DNAT を2つ設定します。メニューから [転送設定] をクリックし、 NAT タブの [追加] ボタンをクリックします。

1つ目は以下の通り入力します。

項目名 備考
切り替えタイプ DNAT
プロトコル all
初期アドレスタイプ interface
インターフェース modem
初期ポート 8500
マッピングアドレス 192.168.8.101 PLC に設定した IP アドレスを指定します。
タイプポート 8500 KV STUDIO が PLC と通信する際に利用するポートを指定します。
※ KV STUDIOの初期値が 8500 です

2 つ目の項目設定以降はレシピの通りに進めます。WireGuard 接続情報の AllowedIPs に 10.128.0.0/9 を追加するのを忘れないようにしましょう。

設定用パソコンのセットアップ

WireGuard を設定し、KV Studio から PLC に接続します。メニューから [モニタ/シミュレータ] – [通信設定] – [通信設定] をクリックして通信設定画面を開きます。

[パソコン側通信ポート] に [イーサネット] を選択し、[イーサネット設定] – [IPアドレス] に SIM の IP アドレスを入力します。

[接続テスト]をクリックして Ping と Tracert の結果が正しいことを確認します。問題なければ、PLC 読出を実行し、PLC の設定情報が読み込めるか確認します。接続処理中のダイアログが表示された後に、 PLC 読出のダイアログ(経路: イーサネット)が表示されれば接続に成功しています。

PLC 読出のダイアログで[実行]をクリックすると読出が開始します。セルラー通信を利用しているため、 USB 接続時の読出と比較して少し時間がかかります。

あとは、これまで通り PLC への任意の操作が遠隔から可能です。

LTE ルーターの DNAT 設定および[イーサネット設定] – [ポート番号]を変更することで、1 台の LTE ルーターに複数の PLC への転送を実現することもできます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。PLC に LTE ルーターを組み合わせることで遠隔からの監視/操作が簡単に実現できました。

他の PLC でも以下のポイントを確認することで LTE ルーターを組み合わせて遠隔から操作できる可能性があります。

  • イーサネット接続で設定ツールと通信し、操作できる
  • PLC からの通信にルーティング or 通信先ルータが設定できる

また、今回使用した 産業用 LTE ルーター UD-LT1/EX は通常 29,700円 → 限定価格 22,000円 【26% OFF】 (税込、送料別、月額費用別)と特価キャンペーンの対象となっています。2022/1/31まで、もしくは在庫限りで終了、どなたでも購入可能、となっておりますので是非この機会にご検討ください。 

他にも「◯◯のPLCの場合はどうしたらいいの?」というご質問やご要望、あるいは「◯◯のデバイスを LTE ルーターで遠隔制御してみたよ」実績がありましたら Twitter の ハッシュタグ #SORACOM で Tweet いただければと思います。

今後も 色々な PLC やデバイスと LTE ルーターの使い方をご紹介していきます。乞うご期待ください!

※記載されている会社名、製品名等は、それぞれ各社の商標または登録商標です。

投稿 【Ask SA!】 産業用LTE ルーターを使い、閉域網内でPLCを遠隔メンテナンス:KEYENCE KV-8000 編SORACOM公式ブログ に最初に表示されました。

この記事の編集者は以下の記事もオススメしています

過去記事アーカイブ

2024年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
2023年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2022年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2021年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月