血中酸素レベルや睡眠サイクルの測定にも対応
ヘルスケアデータのトラッキング機能も、驚くほどに充実している。心拍数の記録はアプリの設定から「心拍数の継続的な監視」をオンにすると、デバイスを身に着けている間はユーザーの活動状況に応じた頻度で、心拍数を記録し続ける。心拍数の上昇、低下時にアラートを飛ばす機能もある。ただし本機能を有効にすると、バッテリーの消費が少し速くなるようだ。
TalkBand B6は血中酸素レベル(SpO2)の測定にも対応するウェアラブルデバイスだ。内蔵する心拍センサーにより赤血球のタンパク質に含まれる酸素量を測定する機能だ。TalkBand B6の場合は本体側面のボタンを押すと表示される機能リストから血中酸素が選べる。タップ後に開始する測定を1分程度続けると血中酸素レベルを知らせてくれる。
Apple Watch Series 6が搭載する、血中酸素ウェルネスもよく似た機能だ。TalkBand B6の方が少し測定にかかる時間が長めだが、それぞれのデバイスで何度か試してみても近いデータが測定できた。
アプリのデバイス設定から「ヘルスケア」を選択し、「HUAWEI TruSleep」機能を有効にすると、デバイスを装着したまま眠っている間の睡眠パターンをリアルタイムに解析し、睡眠の深さに分けた細かなクオリティ評価、睡眠障害の診断と改善アドバイスが受けられるようになる。本機能を有効にすると、やはりバッテリーの消費スピードに少し影響が出るようだ。
このほかにも本機を身に着けるユーザーのストレスレベルを常時計測したり、オンデマンドに測定する「ストレステスト」の機能もある。本機能は心拍数の変動による、自律神経の状態を測定する。測定方法については、中国科学院の心理学研究所による認定を受けているという。ユーザーのストレス値をスコアにして可視化してくれるので、仮に高いストレスレベルが検知された場合には、気持ちや体をリラックスさせるように普段のストレスケアにも気を配りたくなってくる。
TalkBand B6はスマホの通知を受けたり、日々の健康管理・増進に役立つベーシックな機能を一通り揃えつつ、血中酸素レベルや睡眠トラッキングなどいまどきの最新ウェアラブルデバイスに求められる機能も一通り揃えた。装着感も快適でスリムなデバイスによくこれほどの機能を詰め込んだものだと感心するばかりだが、そのうえ価格が2万円台前半であればコスパはとても良さそう。在宅ワークの健康管理・維持を強力にサポートしてくれるパートナーになるだろう。
不足に感じる部分があるとすればSuicaなど交通ICカードや電子決済系の機能だが、製品のコンセプトをあえてフィットネス・ヘルスケアに振って、価格に値頃感を出すことに注力したのだと考えれば合点がいく。代わりに本機のユニークな特徴である、音声コミュニケーション端末としての機能もあるわけなのだから。次回は、ヘッドセットとしての使い勝手を詳しくレポートしてみたい。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。