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買い替え相談をスムーズに行なう方法を模索

事前調査は怠るなかれ!知識ゼロの同僚にWi-Fi 6対応無線LANルーターを勧めた話

2020年10月26日 11時00分更新

文● ジサトライッペイ 編集●ASCII

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候補その3:2個パックで家中隅々まで届く「ZenWiFi AX(XT8)」

ASUSのWi-Fi 6対応無線LANルーター「ZenWiFi AX(XT8)」(2pack)。実売価格は6万9100円前後

簡易NAS機能対応のUSBポートや2.5Gb LANポートを搭載。ほかの2モデルと異なり、“ゲーミング”ではなく、一般的なインテリアとの親和性を考慮されたデザインを採用。1個パック(3万5000円前後)もあるが、今回はAiMesh機能で家中幅広く電波が届く、2個パックを提案してみた

 これらはいずれも最大4804Mbps(Wi-Fi 6 4×4接続)で接続できるモデルだ。今のところ、Wi-Fi 6対応PCやスマホのほとんどが最大2402Mbps(Wi-Fi 6 2×2接続)がせいぜいなので、将来的にもっと高速接続できるデバイスが出てきても十分対応できる。ではなぜ3モデルも用意したかというと、やはり家に置くものなので見た目やデザインにはこだわりがあると思ったからだ。

 RT-AX82Uはステルス機のようなデザインが特長的で、AURA RGBでLED発光カラーをユーザーの好みで変更できる。モバイルゲームモードやゲーミングLANポートといったゲーミング向けの機能も備え、ゲーム好きなユーザーならイチオシのモデルだ。そのRT-AX82Uより1ランク上の価格となるRT-AX86Uは、2.5GbのWAN/LANポートにGeForce Now QoS、OpenNATなどのさらにゲーミング向けの高位な機能を備えるモデルだ。

 しかしながら、この2モデルは見た目的にO山氏の琴線に触れることはなく、結局「見た目がかわいいから!」というごくシンプルな理由で、ZenWiFi AX(XT8)が選ばれた。初心者にデジタルガジェットを見繕う際は、デザイン的なバリエーションに幅をもたせることも肝心だ。いくら安くても、人間はデザイン的に気に入ったもの以外は絶対に買わない。無線LANルーターといった買い替えスパンが長いものならなおさらだ。

 と、偉そうに持論を書いてみたが、筆者自身は半ば冗談で2個パックで高価なZenWiFi AX(XT8)を候補に入れていた。筆者の美的センスだと、ゲーミング向けの2モデルでも十分「かわいい」と思うのだが……、このあたりは意見の分かれるところだろうとは思う。しかしながら、この選択の結果がのちに大正解だったことがわかる。

まさかのワイヤレスWAN回線契約!初動対応を反省……

 無線LANルーターが決まったので、次はO山氏宅(実家)の電波環境の調査だ。マンションか戸建てか、どういった間取りなのかを聞いたところ、細長い3階の戸建てであることがわかった。インターネット回線の種別や契約内容もうかがったところ、「よくわからない」という初心者にはありがちな答えをいただいたので、契約書類を探してもらった。すると、意外な事実が判明した。

 O山氏宅は築●十年の戸建てなのに、「Softbank Air」を使用していたのだ。

O山氏宅のインターネット回線はSoftbank Airだった。無線LANルーター機能を備える本体と、受話器と接続する電話ユニットを運用中

 一応Softbank Airをご存じない人に説明すると、利用ユーザーの多くは何らかの事情で固定回線が使えない人だ。例えば、引っ越しのタイミングですぐに定額でインターネット回線が使いたい人や、賃貸住宅で大家さんが許諾しないためにインターネット回線の工事ができない場合となる。もちろん、固定回線がそもそもひけない地域もあるにはあるが、O山氏の住む街は関東の中でもだいぶ都会だ。固定回線と比べると、その速度と価格を考えれば、決してコストパフォーマンスの良いものではない。

 つまり、長らく住んでいる戸建てでSoftbank Airを使うメリットはあまりない。そのため、完全に想定の外に追いやっていたのだ。思い返してみれば、「最近無線LANルーターが遅いと感じることが増えた」と最初に相談を受けた時点で、妙な話だとは思った。一般的に、戸建ての固定回線が遅くなることはない。家族が勝手に通信速度の遅い低額契約に変えるというのもあり得ない話ではあるが、光回線が当たり前の現代においてわざわざそんなコスパの悪い変更をするだろうか……。なので、「きっとなんとなくの感覚で言っているのだろう」、と筆者は流していたのだ。

 それが完全に裏目に出たわけである。Softbank Airならつまるところ、それはワイヤレスWANなので、スマホと同様、近隣のエリアでアクセスが高まれば必然その通信速度は落ちる。ゆえに、「最近無線LANルーターが遅いと感じることが増えた」というO山氏の表現は全然あり得ることだし、かなり正確な物言いだったということになる。初心者の戯言だと決めつけ、初動対応を誤った筆者の手痛いミスだ……。Softbank Airを使っている限り、無線LANルーターを買い替えても宅内の無線LAN通信速度は速くなれど、インターネット回線の速度(WAN)が改善するわけではない。

 しかし、O山氏にさらにリサーチしたところ、どうもインターネットの速度が遅いと感じ始めたのは、Softbank Airの本体を2階のリビングから1階の父親の書斎の近くに移動してからだという。そして、O山氏の部屋は3階とのこと。これなら宅内LANの速度が足を引っ張っている可能性が高い。つまり、無線LANルーターの買い替えでいくぶん改善が期待できる。

 さらに、ZenWiFi AX(XT8)の2個パックなら、1階にSoftbank Air、その横に有線接続したZenWiFi AX(XT8)、2階にZenWiFi AX(XT8)と中継器のように置ける(ASUSのAiMesh機能)ので、通信速度のロスは最小で済むはず。ここにきて、O山氏の選択が偶然にもベストだったということになった。「ひょっとして初心者であると偽り、こちらの出方を試しているのか?」と疑惑の念が脳裏をよぎったが、だとしたら都会の戸建てでSoftbank Airを運用して電波が悪いなどと言うわけないので、その考えは一瞬で霧散した。

YouTube視聴も厳しい現状

 O山氏宅の通信環境の現状を箇条書きにすると以下のような具合だ。

・3FでYouTubeを観ようとする視聴開始まで10秒ぐらい待たされる
・視聴中も音声と映像の不一致や、頻繁にロードがかかって待ち時間が発生
・20~30秒に1回は止まり、4分半の動画をすべて見終わるのに9分以上かかる

 この現状を改善できれば、今回の買い替えはプロジェクトは成功となる。

YouTube視聴時の画面。シークバーで赤色のライン(再生中)が、灰色のライン(ストリーミング済みのライン)まで追いついてしまっている。通信環境が良好であれば、通常このラインが追いつくことはないが、O山氏宅の3階は現状電波状況が著しく悪いため、このような現象に陥っているわけだ

こちらはNetflixのスピードテストサイト「Fast.com」を利用し、事前に計測してもらったインターネット速度。この速度は1FにあるSoftbank Air本体の近くで測ったベストの速度になる。下りは27Mbpsと動画ストリーミングサイトを利用するには十分な速度であることがうかがえる

一方で、こちらは3階で計測してもらったワーストの速度。下りは1Mbpsもなく、これでは確かに動画ストリーミングサイトを利用するには厳しいものがあるだろう

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