PCやスマホを使って、英語学習を時短にする便利なサービスやツールなどを紹介する連載。今回は、英語の書籍を大量にラインナップするWeb図書館「Open Library」をご紹介します。
リーディングの力がついたハイレベルの人がさらに力をつけていくのに多読をオススメしたい。気をつけるポイントとして「自分の興味がある本を選ぶこと」そして「ある程度スラスラ読める難易度の物を選ぶ」というものがある。いきなり本を購入するのは気が引ける場合も、無料であればいろいろな本を試し読みしながら自分でも読めそうな物を選ぶことができる。なかなか外出できない今の時期に洋書にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
「Open Library」は、その名の通りオープンなデジタル図書館サービス。運営はWebサイトを過去に渡って収集している非営利団体のInternet Archiveだ。究極的には「すべての出版物を誰でも利用できるようにすること」が目的とされており、ボランティアによって出版物の情報を集めるとともに、その出版物へのアクセスを提供している。
基本的には出版物のリスト化が目的なので、発行年や作者、あらすじなどの情報が集約されており、それに加えて可能なものであれば出版物自体も閲覧できるようにしている。似たようなものでは「プロジェクト・グーテンベルク」があるが、こちらは著作権切れの出版物を電子化してインターネット上に公開するというもので、Open Libraryではプロジェクト・グーテンベルクで公開されている電子書籍があればそれにリンクを張る、といった形で情報を提供する。
ほかにも図書館に蔵書があればそれを検索できるサービスと接続したり、Amazonの該当ページへのリンクが用意されていたり、その出版物へアクセスできるようにしている。基本的には対象は米国に放っているが、それでも、Internet Archiveと連携することで、170万以上のパブリックドメインの書籍がダウンロードできるようになっているという。
例えば1611年発行のシェークスピア作の「ハムレット」が画像化されたPDFとして配布されているように、歴史的に価値のある本をそのまま読むことができるのも面白い点だし、書籍によっては当時の挿絵も一緒に見られるといったメリットもある。ただ、英語学習のために本を読む、という意味では他の方法がいい。
英語学習者にとっては、「K-12 Student Library」がお勧めだ。これは、その名の通り米国の教育期間である幼稚園から高校までの児童・学生をターゲットにしたもの。一般的に「子供向け」と言われるような書籍のデータが集められており、比較的平易な言葉で書かれていることが多い。
学年やリーディングレベルで分類されているので、自分のレベルにあった書籍を読むことができる。基本的にこのコーナーの書籍はデジタルデータ化されており、「借りる」という体裁で専用ビューワーを使った閲覧ができるようになっている。またPDF・EPUB形式でのダウンロードも可能なようだ。
Open Library自体は、すべての出版物をデジタルデータ化して保有しているわけではなく、最近の書籍は別途Amazonなどで購入するといった方式だが、著作権切れの作品を無料で視聴できるようになっているものも多く、中には日本の作品の英語版が見られるものもある。こうした作品なら、多少難しくても日本語と比較して勉強する、ということもできそうだ。
一冊の本を英語で読み切るというのは、慣れないと根気のいる作業ではあるが、楽しみながら学習できる手法でもある。新しい本に出会える可能性もあり、普段の学習の合間に盛り込んでみても楽しいかもしれない。