新サービス「Automation Anywhere Discovery Bot」を発表
RPAで自動化できない業務はない オートメーション・エニウェアが事業戦略を説明
2020年03月10日 15時00分更新
2020年3月10日、オートメーション・エニウェアは日本における事業戦略を発表するとともに、同社のRPAソリューション「Automation Anywhere Enterprise A2019」上で稼働する新テクノロジー「Automation Anywhere Discovery Bot」を発表した。また、日本のニーズに合わせた機能を開発する製品開発チームを東京オフィスに設置するほか、Enterprise A2019クラウドバージョンを日本のデータセンターからも提供を開始したことを明らかにした。なお、発表会はオンラインで行なわれた。
人と機械がコラボレーションする未来
オートメーション・エニウェアは、Botを使用したRPAを開発。RPAとAI、機械学習、分析などの機能を組み合わせた自動化プラットフォームを、Webおよびクラウドネイティブで提供している。現在、全世界90カ国以上で事業展開を行っており、金融や通信、製薬などの幅広い業種において、3500社以上が採用。170万以上のBotが稼働しており、これを、2020年中に300万に拡大する計画だ。F1のマクラーレンも支援しており、レース中に行なう意思決定をリアルタイムに支援するために同社のAIを活用しているという。海外では、マクドナルドやテスラ、オラクルなどが利用。日本では、第一生命やコカ・コーラ、アート引越センターなど、数100社が導入しているという。また、全世界1200 社のパートナーネットワークを持つ。
さらに、マーケットプレイスであるBOT STOREを通じて、20種類のデジタルワーカー、600種類のBotを提供。すでに10万以上のダウンロードがあるほか、Office 365のプラグインも提供し、ExcelやWordのプロセスを自動化ができる。
同社では、「人から“機械的な作業”を取り除き、人のような知性を “Bot” に与え、人の知力で “より偉大な事” を成し遂げる世界を創る(Enable human intellect to achieve greaterthings by taking the robot out of the human and putting human-like intelligence into the bot.)」ことをビジョンに掲げているほか、自動化とAIを活用した「デジタルワークフォース」を提唱。バックオフィス業務の生産性向上とコスト効率化の支援に乗り出している。
また、同社のインテリジェントオートメーションプラットフォーム「Automation Anywhere Enterprise A2019」は、「真のWebベースおよびクラウドネイティブのRPA-as-a-Serviceプラットフォーム」と位置づけており、「第5次産業革命をデジタルワークフォースで率いていくのが、我々の役割である。デジタルワークフォースは、自動化するEnterprise RPA、AI技術であるIQ Bot、アナリティクスを行なうBot Insightで構成する。だが、これは、AIやRPAを使うということだけでなく、エンタープライズ企業に実装することにより、繁忙期に労働力を追加することができる生産性向上のほか、一貫性の維持、正確性の維持、信頼性の維持、コンプライアンス遵守、コスト削減といったメリットがある。今後5年間のデジタルワークフォースで世界は飛躍を遂げることになる。未来は、人と機械がコラボレーションすることになる」などと述べた。
Enterprise A2019クラウドバージョンは日本のデータセンターでサービス開始
オートメーション・エニウェア アジア太平洋・日本地区担当エグゼクティブバイスプレジデントのエイドリアン・ジョーンズ氏は、約2年前から開始した日本およびアジア太平洋地域における同社業績について説明。
2019年度は、前年比300%成長を達成。500社以上の新規顧客を獲得。顧客数は700%増加し、2年前には17人だった従業員が現在は400人以上となっていることなどを示し、「この成長は、自動化したい、AIを活用したいというニーズが高まっていることを裏づけている」と好調ぶりを強調。
日本においては、2019年5月から日本語対応を図ったほか、東京オフィスを拡張。新たに、日本のニーズに合わせた機能を開発する製品開発チームを東京オフィスに設置したこと、2020年1月からは日本のデータセンターを通じて、Enterprise A2019クラウドバージョンの提供を開始していることを明らかにした。さらに、IQ Botを日本語手書きに対応することも発表した。
「日本では、1兆1000億のプロセスが実行されており、まさに労働集約型の市場である。今後も日本の市場に向けて、社員の削減ではなく、社員を支援し、効率化を進めることができる製品を提供していく考えである。当社にとって、世界で2番目に大きな市場が日本であり、重量な位置づけを持つ。日本市場に対しては、今後数年にわたり、人と開発投資を続けていく」(ジョーンズ氏)。
IDCによると、世界のRPAソフトウェア市場は、2017年から2022年にかけて、49%増加し、37億ドルに達し、AI技術市場の37%増の成長率よりも高いという。また、別の調査では、エンタープライズ企業は、フロントオフィスやバックオフィス、あるいは組織、個人を含めて、平均で1500種類のアプリを利用しており、プロセスの自動化により、生産性と迅速性、正確性を実現し、複雑な業務プロセスを解消するためのニーズが高いという。
「RPAは幅広い業界で利用されており、自動化できないものはないと考えている。当社は調査会社の予測以上の成長を遂げており、今後は、市場全体でも予測以上の成長を遂げるのではないと見ている」(ジョーンズ氏)。
Botの開発をAIで支援する「Automation Anywhere Discovery Bot」
一方、新たに発表した「Automation Anywhere Discovery Bot」は、従業員が業務アプリケーション上で行っている作業プロセス全体を分析し、RPAによるプロセス自動化の最適化およびソフトウェアBotの開発を、AIを活用して支援する新たなテクノロジーだ。
業務プロセスを改善するための定義や分析に利用されるプロセスディスカバリーと呼ばれるテクノロジーをもとに開発。AIと機械学習を活用して、複数の業務アプリケーションを使用しながら行なうプロセス全体を記録。繰り返し行われるプロセスのパターンを検出し、分析する。「分析では、自動化により最大の効果を得られるプロセスを特定し、ROIの高さで優先順位づけを行い、記録したプロセス全体を、最適に自動化するBotを生成。これにより、業務プロセスを自動化するまでの準備時間を早めることができる。自動化することを自動化できる」としている。
同社のインテリジェントオートメーションプラットフォーム「Automation Anywhere Enterprise A2019」上で稼働。業務プロセスを自動で検出し、業務フローをビジュアル化。自動化に最適なプロセスの特定し、Botを自動で生成。必要に応じてBotを編集、最適化して、業務プロセスの自動化を実行する。クラウドネイティブで開発されていることから、クライアントへのインストールが不要で、事業部門のユーザー、IT部門、Bot開発者など、社内のどの部門でも利用できるという。
オートメーション・エニウェアのセールスエンジニア本部の由井希佳本部長は、「どうやって自動化する対象を見つけ出せばいいのか、ということがわからないという声が多い。当社の調査によると、自動化できるにもかかわらず、手作業で行なわれている業務プロセスの約8割は、自動化の対象として認識されていないことや、業務プロセスの狙いや目的が文書化されていない場合が多く、プロセスを理解、整理するための時間に65%が割かれていることがわかった。また、理由を聞いても、引き継いだ時にそうだったからという回答がもっとも多いのが実態である」と説明した。
「ガートナーでは、2023年までに、新しく開発されるソフトウェアロボットの半分が自動的に生成されると予測。それにより、自動化技術を利用する企業は、運用コストの 30 %を削減できるとされている。Discovery Botてば、それに先駆けた提案と活用が可能になる。買収によって組み合わせるサイロ型の製品ではなく、統合ソリューシヨンとして提供できる」とした。
Discovery Bot は、独立した製品として提供。現在、パイロットプロジェクト向けに提供を開始している。正式な販売は数カ月後の予定であり、日本での提供時期は検討中とした。また、価格も未定としている。由井本部長は、「Discovery Botの開発チームは、日本にもおり、日本のニーズが反映できる。Discovery Botは、日本のデータセンターから提供できるようになるだろう」と述べた。