リアルタイムサプライチェーン管理をAzure上に構築する「Surface Chain Visibility」
日本MS、Surfaceの製造管理ノウハウを国内製造業向けに外部提供
2019年02月12日 07時00分更新
日本マイクロソフトは2019年2月5日、製造業向けの取り組みに関する記者説明会を開催した。同社は2019年度経営方針として、ヘルスケア、メディア&コミュニケーション、教育、金融、自動車、政府&自治体、製造、流通の8分野に注力するインダストリーイノベーションを戦略の1つとして掲げている。特に、「製造業はデジタルトランスフォーメーションを強く求めている業種」(日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 製造営業統括本部 本部長 赤田将之氏)と位置づける。
同社は製造業に対して、業種の垣根を超えたクロスインダストリーが重要であると語る。建築に関わる製造業を例にとると、部品メーカーや設備メーカー、建設機械、建築サービスといった各業種が連係することで、現在の製造業に求められている「コト作り」が実現すると同社 エンタープライズ事業本部 製造営業統括本部 インダストリーマーケティングマネージャー 鈴木靖隆氏は言う。米Microsoftは製造業に「Factory of the Future」「Product as a Service」「Intelligent Supply Chain」の3柱を掲げており、日本マイクロソフトも同様の戦略を踏襲し、「製造業のコト作りをこの3つ柱で支援する」(鈴木氏)。
Intelligent Supply Chainは、Microsoft自身もSurfaceの製造で取り組んできた。米国本社では、Surfaceデバイスを構成するパーツの仕入れから顧客に販売するまでのエンドツーエンドを可視化・管理する「サプライチェーン コントロールセンター」を用意している。Surfaceシリーズは、ODM(委託者ブランドで生産するメーカー)と共に設計し、EMS(電子機器受託生産)へ製造委託して、107カ国に提供してきた。PCは「競合が多い業界のため、製品単価や1台あたりのマージンが低下するプレッシャーが常につきまとう。ECサイトによる当日配送は顧客の期待値を高めるが、在庫供給管理がタイトになる」(鈴木氏)。
このような背景を踏まえて設置したサプライチェーン コントロールセンターでは、複数のSurface Hubを並べてパーツの仕入れから製造拠点、販売までの状況をすべて可視化する。年間1億弱もの出荷台数を誇るSurfaceシリーズの出荷先は3万カ所。サプライヤーの数も390を超える。同センターで取得するデータ量は1TB/日におよび、これらを支えるためのデジタルサプライチェーン基板をMicrosoft Azure上に構築したという。
今回日本マイクロソフトは、米国本社のサプライチェーン コントロールセンターでの知見を外部の製造業の顧客に提供するべく、新たなコンサルティングサービス「Supply Chain Visibility ~サプライチェーン可視化ソリューション導入支援サービス~」を発表した。下図に示したようにコア部分はAPIゲートウェイとなるAPI Management、Webアプリの監視などに用いるApplication Insightsを設置。外部のERP(基幹系情報システム)やCRM(顧客関係管理)と連携しながら、Azure Data Factoryに代表される分析プラットフォームで、リアルタイムのサプライチェーンネットワークを構築する。