10月19日、インテルのデスクトップPC向け第9世代Coreプロセッサー(コードネーム:Coffee Lake Refresh)が販売開始された。当初は「Core i5-9600K」のみのリリースという形をとったが、現在は「Core i9-9900K」および「Core i7-9700K」も発売済み。新チップセット「Z390」搭載のマザーボードは一部先んじて各社からリリースされており、第8世代Coreプロセッサーと一緒に使用することも可能だが、やはり8コア/16スレッドの「Core i9-9900K」など最新の第9世代Coreとあわせて購入したいという人が大多数だろう。
ASUSのZ390チップセット搭載マザーボード「ROG STRIX Z390-F GAMING」は、10製品を超える豊富な同社製Z390マザーボードのラインアップにあって、実売2万9000円前後とミドルハイクラスのゲーミングPCを組み上げるなら有効な選択肢となる。製品サンプルをお借りできたので、特長を見ていこう。
プリマウントI/Oシールド仕様、Armory Crateなど利便性も向上
「F GAMING」シリーズは、ASUSのゲーミングブランドである「ROG STRIX」の中でも、ミドルハイクラスをターゲットにした製品群だ。ゲーミング製品らしい外観はもちろん、PCの性能を担保するためのパーツ冷却や保護、ド派手なゲーミングPCを組み上げるためのライトアップといった部分にも注力しており、PCゲーマーはもちろん、特にゲームをプレイしないがデザインが気に入った、という人にもオススメできる。
デザインはZ370チップセットを搭載した前世代マザーボード「Z370-F GAMING」からやや変化があり、I/Oカバー部分のROGロゴや、カバー部分および基板上に施された各国語の文字の意匠“サイバーテキストパターン”が目立つものとなった。どちらかと言えば、AMD X470チップセット採用の「ROG STRIX X470-F GAMING」の流れを受けた外観と言えるだろう。これまでのF-GamingシリーズよりI/Oカバー部分のデザインが凝ったものになり、見栄えのインパクトがあるPCを組みやすくなっている。グラフィックスボードやキーボード・マウスなど、そのほかのROG系の自作パーツを採用し、PC全体の統一感を出すのもいいだろう。
ソケットはLGA 1151対応で、第9世代Coreプロセッサーのほか、前世代の第8世代Coreプロセッサーも使用可能。対応メモリーは最大64GB(DDR4-4266×4まで)で、ストレージはSATA 3.0(6Gbps)ポート×6のほか、2つのM.2スロットを備える(M.2_1はSATAおよびPCIEモード、M.2_2はPCIE 3.0x4モードのみに対応。なお、M.2_1がSATAモードで動作している場合、SATAポート2が使用不可となる)。
拡張スロットはPCIe 3.0/2.0 x16スロット×3(PCIe x16_1およびPCIe x16_2スロットはx16またはdual x8動作、PCIe x16_3は最大でPCIe 3.0x4接続となる)、PCIe x1スロット×3で、マルチグラフィックスはNVIDIA 2-Way SLI、AMD 3-Way CrossFireXに対応している。映像出力はDisplayPort×1、HDMI×1。インターフェースは、ギガビットLAN×1、USB 3.1(Gen2 Type-A)×1、USB 3.1(Gen1 Type-C)×1、USB 3.1(Gen1 Type-A)×2、USB 2.0×2、光デジタル出力端子×1、オーディオジャック×5。
堅牢さも特徴で、3つのPCIe 3.0x16スロットのうち上段2つが金属補強したセーフスロットとなるほか、あらたに背面のI/Oパネルがプリマウント仕様となった。これまでも高価格帯のマザーボードではこうした仕様の製品を見ることもあったが、最近はミドルクラス以下でも徐々にプリマウント仕様のマザーが増えている。PCを組み上げるときにうっかり忘れてマザーボードを取り外す……なんて事故が起きなくなるのはありがたいポイントだ。また、M.2 SSD冷却用のヒートシンクも標準で用意されている。
ライトアップ用の4ピン RGBコネクターは2つ用意されており、さらにアドレサブルRGB LED用のヘッダーを1つ備えているなど、ライトアップPCを組みやすいのもポイント。これでもコネクターが足りなくなる場合、最近は標準で分岐コネクターを備える製品も多いが、別途分岐ケーブルを購入するという選択肢もある。
また、今回のZ390チップセット搭載モデルから最新版の「ROG Armoury Crate」が利用可能になっている。ASUS関連の最新情報を届けるハイライト表示機能のほか、設定によってドライバーやユーティリティー類を自動で取得してくれるというものだ(NVIDIAの「GeForce Experience」をイメージすると分かりやすい)。グラフィックスドライバーなどの重要なものはもちろん、「AURA」のような最新バージョンのダウンロードを怠りがちなユーティリティー類も自動ダウンロードしてくれるため、積極的に利用するなら非常にありがたい存在となるだろう。なお、設定によってオフにすることも可能なので、そのあたりは自分で調整するといい。
オーディオ関連は、オンボードの高品質オーディオ「SupremeFX S1220A」やおなじみの設定ソフト「Sonic Studio III」、「Sonic Radar III」など、ゲーミングを意識した構成。オーディオ機能はあまり利用していないという人もいるだろうが、音にもう少し迫力が欲しい場合はEQを適用してみる、アプリごとに設定を変えてみるといったことも可能なので、デフォルトの環境に何かひと足ししたいなら試してみるのもアリだ。
実売価格は2万9000円前後。先に述べたとおり、同社製のZ390マザーはラインアップが非常に多いが、ゲーマーならずとも豊富な機能が利用できる魅力的な1台と言えるだろう。1点だけ懸念があるとすれば、CPU補助電源ピンが上位モデルのように8ピン+4ピン、または8ピン+8ピンとなっていない点が挙げられるが、実際に利用してみた限り、一般的な運用であればこれでもまったく問題はなかった。CPUオーバークロックの際に動作クロックや電圧を詰めていくならば、CPU補助電源ピンが多い上位モデルを推奨したいところだ。