いつでもどこでも音声変化のルールが学べる
恵学社が自社開発したスマートフォン向けのリスニングアプリ「Listening Hacker Pro」。では、その内容を具体的に見ていきたい。
「Listening Hacker Pro」をタップしアプリを開始すると、「ベーシック」「確認テスト」と2つの選択肢が表示される。「ベーシック」をタップすると、覚えるべき音声変化のルールが6種類表示される。音声学などの専門分野では、もっと細かく区分されるが、恵学社では「これさえ覚えれば、リスニング力が飛躍的に向上する最も重要なルール」を厳選した。
それが「短縮」、「連結」、「脱落」、「同化」、「弱形」、「ら行化」の6種類だ。各ルールの代表例と例文を以下に示しておく。
・「短縮」は、be動詞やhas, had, will, wouldなど、特定の語が前の語とくっついて短くなること。たとえば、he’s cool。このルールだけは中学英語でも教えてくれる。
・「連結」は、単語の最後の子音と、次の単語の最初の母音がつながって発音されること。in a carなら、nとaが連結。「イナカー」のように発音される。
・「脱落」は、特定の条件で音が発音されなくなること。たとえば、get tiredのように同じ子音が隣り合うとき、前の子音が脱落して「ゲッタイアド」のようになる。文中で出てくる[h]も脱落しやすいため、for himは「フォイム」のように発音されることもある。
・「同化」は、音が連結して違う音に変化すること。たとえば、would youなら、wouldの最後の子音[d]が、次のyの音と同化して「ウッジュ」となる。
・「弱形」は、文中で意味的にあまり重要でない単語が弱く発音されること。主に冠詞や代名詞、前置詞などだ。ただし、文中で重要な意味を持つときは強く発音される。
・「ら行化」は、特定の条件で[t][d]が日本語の「ら行」に近い音になること。たとえば、it isのように母音に挟まれたり、littleのように[t]が母音と[l]に挟まれたりした場合だ。前者は「イリズ」と、後者は「リル」と発音される。
「Listening Hacker Pro」は、これら音声変化のルールを効率良く学べるように設計されている。たとえば「ベーシック」から「短縮」を選ぶと、トレーニング画面が表示される。耳のイラストをタップすれば、音声の後に「短縮」のルールが表示される。このとき、音声を真似ながらリピートして発音するのが効果的だ。しっかり覚えたら、下段の「覚えた」を。そうでないときは「まだまだ」をタップする。タップの結果は、次回のトレーニングのとき「前回の記録」として表示されるので、自分が苦手とする音声変化を把握しやすい。
特筆すべきは、アプリの使いやすさ。構成が極めてシンプルだから、数タップですぐに始めることができる。イヤホンをしていれば、通勤電車の中でも容易にトレーニングできるだろう。アプリの開発に携わったStudy Hacker事業部 エンジニアの吉原望美氏も、そのことに意識的だったと語っている。
「アプリの開発を始めたとき、じつはENGLISH COMPANYの受講生として90日間、パーソナルトレーニングを受けていました。毎日、アプリを開発しながら、トレーニングを受けていたので、あまり時間がありませんでした。そんな経験から、ちょっとした隙間の時間でも、すぐにトレーニングが始められるように、直感的に把握できるUIを作ったということはあります」
英語が苦手な人も拒絶反応を起こさないように、各アイコンのデザインにも凝ったという吉原氏。確かに柔らかい印象の親しみやすいアイコンだ。