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第2世代Ryzen+ASUS B450マザーで完全ファンレス自作PCを作ってみる

2018年08月22日 11時00分更新

文● ジサトラショータ

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継続的な高負荷は厳しいが、ファンを1つでも装着すると……

 今回のPCは一切のファンを排した「完全ファンレスPC」という構成だが、これでどれだけ上手く発熱を処理できているかを、実際の用途やベンチマークで確認していこう。パーツ構成は以下の通りで、CPUは第2世代Ryzenのミドルクラスである6コア/12スレッドの「Ryzen 5 2600」。TDPは65Wとそれなりだが、まがりなりにも6コアのCPUをどれだけ冷却できるかは気になるところだ。

検証環境
CPUAMD「Ryzen 5 2600」(3.4GHz、最大3.9GHz)
CPUクーラーSilverStone「SST-HE02-V2」
マザーボードASUS「TUF B450M-PLUS GAMING」(AMD B450)
メモリーDDR4-2666 8GB×2
グラフィックスボードASUS「GT1030-SL-2G-BRK」(GeForce GT 1030)
ストレージIntel「SSD 600pシリーズ」(M.2、NVMe、256GB)
電源SilverStone「SST-NJ520」(520W、80PLUS PLATINUM)
PCケースCooler Master「K282」
OSWindows 10 Home 64bit版

 まずは、PCゲームでの使用が問題ないかどうかを確認してみよう。今回のPC構成は、グラフィックスボードにファンレス仕様のGeForce GT 1030を搭載しているため、軽めのPCゲームであれば問題なくプレイ可能だ。今回はゲーム起動から約30分間、ゲーム画質を「中」に設定した状態で、プレイ中のCPU温度を「Core Temp 1.12.1」を使って記録した。室温は約25℃だ。

フォートナイトをプレイ中のCPU温度の推移

 グラフを見れば分かる通り、プレイ中は徐々にCPU温度が上昇していくものの、約60℃ほどで頭打ちとなり、ゲームプレイに支障はなかった。最大CPU使用率は高くて30%ほどで、この程度の負荷であれば問題なく利用できると言ってよさそうだ。なお、GPUに採用した「GT1030-SL-2G-BRK」は、中画質で60fpsをしっかりキープできていたが、プレイ中に温度が約80℃まで上昇した。高いは高いものの、運用できないというほどでもなさそうだ。個人的には、「フォートナイト」や「リーグ オブ レジェンド」など軽めのゲーム用途であれば意外とアリなのでは、という印象を受けた。

 次にストレステストツール「OCCT」(Version 4.5.1)の「CPU:Linpack」を、AVX対応を有効にして実行し、その間のCPU温度(TMPIN0)を測定した。テストは1分間待機したのちに、CPU:Linpackを10分間実行し、その後5分間待機というサイクルを1セットにして実施している。室温は約25℃。ゲームAVX有効の「CPU:Linpack」はCPUに100%の負荷をかけ続ける非常に過酷なテストで、ファンレスPCにかける負荷としてはあまり現実的ではないが、最大温度がどれぐらいになるかを見るには有効だ。

OCCT「CPU:Linpack」テスト(AVX有効)の結果

 さっそく結果を見てみよう。PCは見事10分間のテストをパスしたものの、最終的なCPU温度は約90℃まで上昇した。ファンレスクーラーも一定時間の高負荷にはなんとか耐えられるが、テストの終了まで温度がじわじわと伸び続けていることに注目したい。SST-HE02-V2はヒートシンクの放熱を完全空冷に頼っているため、冷却が間に合わず時間をかけるほど温度が上昇していくのだ。このまま長時間テストすれば温度がさらに上昇することは明らかなので、ファンレスPCに長時間の負荷をかけるのは望ましくないと言える。

PCケースのフロントにファンを1基追加した状態でOCCT「CPU:Linpack」テスト(AVX有効)を実行した結果

 そして、試しにファンを追加してみるとどうなるかを見たのが上のグラフだ。ここではPCケースのフロントに12cmファンを1基だけ追加してみたのだが、これだけでも最大温度が76℃と劇的に冷却効果が出ているのが分かる。ファンを装着したことにより多少の動作音は出てしまうが、それでも約15℃の改善に成功していることは注目に値するだろう。とはいえ、こちらもCPU温度は徐々に上昇しており、あいかわらず長時間の負荷には不安が残る。

CPUクーラーにファンを装着した状態でOCCT「CPU:Linpack」テスト(AVX有効)を実行した結果

 さらにファンの位置を変えて、今度はCPUクーラーに装着してみた。最大温度は65℃と、さらに10℃下がっており、長時間運用もまったく問題ないレベルになった。温度上昇もかなりゆるやかに抑えられており、こちらの構成で運用する方が断然安心できるのは間違いない。

一長一短のファンレス化、室温にも気を配りたい

 完全ファンレスPCは、その名のとおりまったく動作音がなくなるため、その静音性に大きなメリットがある反面、継続的な高負荷には弱いというデメリットがある。組み上げる場合は、どちらの特性もよく考え、用途にマッチするかどうかを吟味する必要があるだろう。なお、1個でもファンを追加することで冷却効率が大きく高まるため、夏場は静音ファンをひとつ付けてセミファンレスPC、冬場は完全ファンレスPC、なんて使い分けもアリかもしれない。また、ヒートシンクの発熱は自然空冷となる都合上、室温にかなりの影響を受けるので、運用するなら室温には気を配ろう。

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